疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 皆様お待ちかねの犠牲者一号・・・ではなく市長の登場です。


27話(平川市長登場)

 北上達が退室してしばらくすると、いつも通り大淀・・・ではなく明石が来た。

 

「ん?明石、どうしたんだ?」

 

「大淀さんは市長の案内とかで忙しいので、私が盗聴とか録音とかを頼まれたんですよ。大淀さんは市長を出迎える為に正門で待ってますよ。」

 

「なるほど、宜しく頼むぞ。それにしても面倒な仕事だな・・・汚職の調査なんてさっさと打ちきりたいのだがな・・・」

 

 そう言うと明石はきょとんとした顔をしている。

 

「えっと、提督?資金の帳簿が見つかったから、証拠は十分なのでは?後は芋づる式に捕まえれば良いものかと?」

 

 なるほど、動かぬ証拠があれば憲兵に捕まえられると思っているのか・・・純粋な奴だな。

 

「甘すぎる考えだな。大本営も憲兵隊も汚職の巣窟だぞ?証拠なんて握り潰されて終わりだ。」

 

「えっ?じゃあ、どうするんですか?」

 

「いくつか案はあるが、どれが使えるかを探ってみなくては始まらない。だから地道に情報を引き出すしかないんだよ・・・面倒だがな・・・」

 

 明石にもめんどくさい案件だというのが伝わったのか、とても嫌そうな顔をしている。

 

「あ、提督、大淀さんから連絡です。市長が来たので応接室に案内しますとのことです。」

 

「分かった、明石も準備してくれ。」

 

「了解しました!」

 

――――――――――――――――――

 

 大淀に案内されて来た男は、無駄に着飾っている太ったおっさんで、つい前任者の石像を思い出してしまった。さぞかし前任者とは気が合ったのだろう。そして自分を見た瞬間に若造だと侮ったのか、少しだけ口元が緩んだのを見逃しはしない。内心成金豚野郎と罵りながらも、キリッと軍人らしい表情でやり過ごす。

 

「新しい提督が着任したと聞きまして、ご挨拶に伺いました。この街の市長を勤めております、平川と申します。宜しくお願い致します。」

 

「新しく着任しました葛原です。若輩者ではございますが国防の要として、精一杯勤めさせて頂きます。急な着任だったため、ろくなおもてなしも出来ませんがご容赦下さい。」

 

「いえいえ、慌ただしい時に急にご挨拶に伺ったのですから、お気になさらないで下さい。」

 

 しばらくは社交辞令という無駄な遊びに付き合わなければならないかと思っていたが、先に話を切り出して来たのはぶ・・・平川市長だった。

 

「さっそく一つお聞きしたいのですが、前任者の大森提督はどうされたのでしょうか?急に新しい提督が着任されると聞きまして、我々も驚いているのですよ。」

 

 どういうことだ?この平川市長は前任者が殺された事件を知らないのか?事件のことは軍の不祥事なので一般には公開されていないが、この街の汚職集団の取り纏めで、前任者と関わりが深かったはずなのに知らないのか・・・情報を回して貰ってないと言うことは、あまり重要視されていない人物ということか?

 

「申し訳ありませんが、軍規に関わることですので私の口からはお伝え出来ません。平川市長と前任の大森提督は親しくされていたようですので、心配されるのは当然だとは思いますが・・・申し訳ございません。」

 

 そう伝えるとかなりイラッときたのか、こめかみの辺りが震えている。それでも一応自制はしたようだ。

 

「軍規に関わるのであればこれ以上詮索は出来ませんなぁ。しかし大森提督と私達は色々と取引などもさせて頂いておりましてな。急に居なくなられると困りますなぁ。葛原提督は取引等については何か引き継ぎをされているのですかな?」

 

「申し訳ございませんが、何一つ引き継ぎはされておりません。」

 

 そう言った瞬間に平川市長はニヤリと笑った。大方知らないことを良いことに、約束をでっち上げる気だろうが、その程度で騙されるほど馬鹿ではないぞ?

 

「いや~それは困りましたなぁ。直近で言えば交流会の予定などもありましたが、もちろん準備されていないのですかね?」

 

「交流会ですか?どのようなことをされていたのですか?」

 

「我々一般市民にとって艦娘とは馴染みが無いものでして、感情を持った兵器として恐れる者も少なく無いのですよ。いえ、もちろん私は国の為に戦ってくれる英雄だと思っておりますが。そこで悲しい誤解を解くために、街の有力者を集めて艦娘達と交流会を定期的に行っていたのですよ。駆逐艦の響がおるでしょ?あの娘と私は仲が良くてですなぁ、よく交流を深めたものですよ。」

 

 良いように言っているが、実態は抵抗できない艦娘達にやりたい放題する乱交パーティーだろ。

 

「そうなのですか?参考までにどれくらいの規模で行っているのですか?」

 

「そうですなぁ・・・多い時なら20人くらいの有力者を集めますな。艦娘達も駆逐艦から戦艦や空母まで、分け隔てなく参加しておりましたな。」

 

 戦艦や空母まで要求するチャンスと見たか。嘘なのは分かるが、ここで追及するのは悪手だな。

 

「そうなのですか・・・前任者とのお約束を守れずに申し訳ございませんが、現在急な着任で鎮守府も慌ただしい状況です。しばらくは交流会を行う余裕はないかと・・・」

 

「なんだと!?こちらは人を集める準備も終えているのだぞ!!せっかくの人と艦娘が歩み寄る機会をなんだと思っているのかね!?」

 

 ほほう・・・自分の意見が通らず激昂しだしたか、都合が良い。

 

「艦娘達は国を守るのが第一の仕事です。それを疎かにする判断は私には出来ません。」

 

「それは貴様が無能だから出来んのではないのか!?提督ならば国を守るのは当たり前だ。その上で地域との関係を上手くやるのも、提督の仕事だろうが!?」

 

「深海棲艦の動きも活発になっており、この鎮守府の戦力も十分とは言えません。しばらくは交流会をする余裕などありません。」

 

「貴様はワシをなめておるのか!?ワシのバックに誰が付いていると思っておるのだ!?呉鎮守府の久藤提督じゃぞ!!貴様のような新人の小僧など消すのは簡単なのだぞ!?」

 

 とりあえず言質も取れたが、もう少し深く探ってみる頃合いかな?

 

「少し落ち着いて下さい。熱くなられているようですし、ご一緒に散歩でもして気分転換しませんか?」

 

「何を言っておるのだ貴様は!?馬鹿にするのもたいがいにしろ!!」

 

「まあまあそう言わずに・・・ここでは話し難いこともありますので・・・」

 

 意味深にそう伝えると途端に黙り込む、いくら馬鹿でもここまで言えば伝わるか・・・

 

「では大淀、少し歩いて来る。私達が戻って来るまでこの部屋で待機しておくように。」

 

「分かりました。それではお気をつけて。」

 

 平川市長を連れて外へと向かう、とりあえず黙って付いて来てくれているが、これではまるで犬の散歩・・・いや、豚の散歩だな。珍妙な光景だが、誰の目もないのだから気にする必要はないか。

 

「さて、この辺りなら良いでしょう。応接室ですと誰が聞いているか分かりませんからね。」

 

「・・・それで話とはなんだね?」

 

「今この鎮守府は汚職の件で、憲兵隊から目を付けられているのですよ。」

 

「馬鹿な!?呉の久藤提督がバックに付いているのに、そんなことが起こるはずがない。」

 

 余程久藤提督の権力を信じ込んでいるようで、簡単に喋ってくれそうだ。

 

「久藤提督と舞鶴の鶴野提督が仲が悪いのはご存知で?」

 

「むぅ・・・あいつの仕業か・・・自分も汚職しておる癖に、我々の邪魔ばかりしおって!!」

 

「そういう訳で今は派手に動く訳にはいかないのですよ。それと購入された艦娘達はどうされていますか?」

 

「もちろん情報が漏れんように各自が管理を徹底しておるわ。それがどうしたのだね?」

 

 お、艦娘の人身売買も認めたか。味方のふりをしただけで良く喋ってくれるものだ。

 

「最悪家宅捜索が入る可能性もあるので危険かと。こっそりと返却して頂ければ、こちらで上手くやることも可能ですが?」

 

「う~む。ワシの一存だけでは決められぬことだな。有力者の皆にも相談しよう。もし返却することになったら地下通路を使って返却しよう。」

 

「地下通路ですか?」

 

「知らぬのか?鎮守府の営倉の奥に隠し扉があってな、そこから街の外れへと抜けられるのだ。」

 

「ありがとうございます。後程確認しておきます。ではあまり長くなると怪しまれますので、今日はここまでとしましょう。ご検討のほうを宜しくお願い致します。」

 

「うむ、危険を知らせてくれて助かった。」

 

 こちらこそ、貴重な情報を吐いて下さって助かりました。ボイスレコーダーでばっちり録音させて頂いております。




 という訳で情報収集のお話でした。市長が悲惨な目に合うのを期待していた方々には申し訳ないですが、人を陥れるのには事前の準備が必要なのです。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
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  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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