疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

3 / 239
 亀投稿ながらゆっくりのんびり投稿中
 次の話から本格的に艦娘が出る予定です。


1話

 大淀に連れられて鎮守府の中を案内して貰ったが、正直気味が悪いくらい静かだ。大淀曰く「全艦自室にて待機しております。ご命令があれば全員を即座に集合させることが可能です」とのことだが、艦娘が住まう寮の付近を通っても話し声一つ聞こえてこないのは異常だろう。大淀も案内と説明はきちんとしてくれるが、雑談は一切なく極力目線を合わせようとしないところを見ると、出来るだけ関わりたくはない、目をつけられたくはないと言ったところか。おそらく前任の秘書艦が大淀だったのだろうがとんだ貧乏くじを引いてしまったのだろう。

 

 

 

 大淀の案内で鎮守府の大まかな作りを把握した。建物は大きく分けて3つのエリアに別れていて、正門から見て左側が艦娘の寮や入渠施設と食堂などの生活用の施設。中央が執務室や会議室と応接室などの主に提督が使うための施設。右側が出撃港や工房と倉庫などの施設となっているようだ。そして正門と中央の施設の間に集会や訓練が出来そうな広場があって、裏側の海には海上演習場があるらしい。

 

 そして気になったのはそれらの施設が綺麗に清掃してあることだ。前任者の評判が悪かったので荒れ果てた状態を想像していたので、これは嬉しい誤算と言うやつだろう。資材のほうも潤沢とは言えないものの、直近で困るような状況ではないのが嬉しいところだ。その代わり食糧に関してはかなり少なく、早めに業者に連絡して仕入れなければならない。とりあえず後は執務室と自室を確認したら、艦娘を召集して着任の挨拶と今後の指示をするとしよう。

 

 

 

「提督、この先の執務室なのですが・・・」

 

 

 

 執務棟の三階にある執務室の前に着くと、大淀が震えながら話かけてくる。

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「本部の方から提督が確認するまでは現状維持に努めろとのご命令で、艦娘は一切立ち入りが出来なかったため、中は荒れ果てた状態です。ご容赦下さい」

 

 

 

「上の命令なら仕方ないな、事件の現場が見られるのは正直助かるし。

 

 ・・・ん?艦娘はってことは他の人は出入りしてたんだよな?本部から調査に来た人間とか」

 

 

 

「はい、本部の方々は調査のために度々中に入られておりましたが、我々が近づくことは許されませんでした。」

 

 

 

 なるほど、つまりは証拠隠滅し放題って状況か。この分だと事件のほうも汚職のほうも有力な証拠なんて見つかるとは思えないな。そもそも真面目に捜査する気もあまり無いけど。

 

 

 

「あー、ちなみに捜査の内容についてどれくらい知っている?」

 

 

 

「ッ!!執務室で何者かが前提督に砲撃を行い殺害したと言うことだけです。本部の方からいくつか質問はされましたが、これ以上のことはほとんど知りません。他の艦娘も一緒かと思います。」

 

 

 

 明らかに動揺していたが、何かを隠しているからなのか、もしくは本当に何も知らないからこその恐怖なのかは判断が難しいな。これまでの流れから艦娘も疑われているということくらいは理解しているだろうし。

 

 

 

 まあとりあえずは部屋の中を確認してから考えるか。そう頭を切り替えそれなりに重厚な扉を開いてみる。

 

 

 

 ・・・あれだ、海の見える部屋と言えば聞こえは良いが、壁をぶち壊してまでやることではないな。正面の壁には大穴が空いていて、部屋には瓦礫と机の残骸が散らばっており、所々血痕が飛び散っているのが事件の凄惨さを示している。人間がやるには大砲でも持ち込まないと無理なので、深海棲艦か艦娘の仕業で間違いないだろう。おそらく前提督は執務室の机ごと砲撃されたようだが、砲撃の角度からして這いつくばりながら撃ったのかもしれない。とりあえず後でざっと調べたら妖精さんに頼んで部屋を修理して貰うか。

 

 

 

「大淀、私室を確認したら着任の挨拶をしたい。30分後に広場に集合するように伝えてくれ」

 

 

 

「ハッ!!ご命令承りました。」

 

 

 

 そう言うと大淀はきびきびと歩いて行った。命令に忠実なのは非常に助かるが、集合の命令程度で物凄い緊張感が感じられてしまう。前任者はよほど短気な奴だったのか?まあとにかく私室のほうもさっさと確認するか。

 

 

 

 そう思いながら執務室の隣にある提督の私室の扉を安易に開けてしまった。開けた瞬間なんとも言えない甘ったるい香の匂いがして吐き気を催す。吐き気を我慢しながら中を見てみると、なんとも豪華な部屋だった。まず間取りが一人で住むには異様に広く、大きなベッドもタンスや窓なんかも豪華な装飾付きだし、極めつけにはシャンデリアなんて付けてやがる。壁には絵画が飾られており棚には高価そうな壷が並べてある。なにより一番気持ち悪いのは石像だ。海軍の軍服を着た小太りのおっさんが敬礼してる石像で、おそらくは前任者がモチーフなのだろうが、自分の部屋に自分の石像を置きたがる神経が理解不能だ。どんだけ自分が好きなんだよ。こんなところで寝るくらいなら学生時代によくお世話になった営倉のほうが遥かに良く眠れそうだ。

 

 

 

 調査が終われば即刻改装することを決意し扉を閉めて、新鮮な空気を求めて窓を開ける。甘ったるい空気に侵された肺が新鮮な空気に喜んでいるようだ。気持ち悪いので即刻改装したいのだが、一応私室の調査はしなくてはならないだろう。嫌な作業に憂鬱になりながら外を眺めて見ると、広場に艦娘達が続々と集合しているのが見えた。大淀に指示を出してから5分くらいしか経ってないはずだが、全員が走って集合し整列すると気をつけの状態で微動だにしなくなる。いくら軍隊とは言え訓練されすぎな気がする。

 

 

 

 艦娘の状態にかなりの不安を抱きつつ、直立不動のままずっと立たせておくのも気になるので、予定より早く広場に向かうことにした。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。