疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は対深海棲艦戦のほのぼの回です。砲弾飛び交う戦場がほのぼの回という謎。


29話

 会議室にて開戦の報告を待つ。送り出してしまった以上、あとは現地の艦娘達の活躍に期待するしかないのだが、どうしても気になってしまう。明石に一つ仕事を依頼してからは、会議室で戦況を気にしている。幸い哨戒に出ていた龍田達は敵艦載機の攻撃を受けたものの、被害は軽微で既に戦線を離脱したとのことなので安心した。

 

「提督、赤城さんからまもなく交戦距離に入るとのことで、艦載機の発艦許可を求めています。」

 

「許可する。航空戦を開始せよ。重雷装巡洋艦の二人には自分達の距離になったら、各自の判断で雷撃を開始するよう伝えろ。出来るだけ大物を狙うようにな。その後は旗艦の判断で砲雷撃戦に入れ。」

 

「分かりました。航空戦開始します。」

 

――――――――――――――――――

 

 新しい提督に代わってから初めての実戦で、いきなり第一艦隊の旗艦に任命された。提督とはまともに話をしていないが、長門さんが私を推薦してくれて、提督が私に任せると決めたらしい。私自身が提督に信頼されたのではなく、長門さんの判断を信頼したというところに、思うところが無いわけではないが、この戦いに勝利して提督の信頼を勝ち取りたい。

 

「鎮守府より入電。航空戦を開始せよ。北上・大井は射程距離に入り次第先制雷撃を開始、その後は旗艦の指示のもと砲雷撃戦へと移行します。加賀さんいきますよ!」

 

「ええ、一航戦の誇り見せてあげましょう。」

 

「第一次航空隊発艦!!」

 

――――――――――――――――――

 

「報告します、赤城・加賀により制空権確保しました。航空攻撃に成功し、空母ヲ級中破、戦艦ル級小破、重巡リ級轟沈1、駆逐イ級轟沈1。こちらに損害はありません。」

 

「ほう、二人がかりとは言え敵空母を抑えこんだか、なかなかやるではないか。」

 

 空母ヲ級を中破まで追い込んだならば、もう艦載機は飛ばしてこれないはずだ。そうなると制空権は完全にこちらのものか。そして次は・・・

 

「先制雷撃命中です!!戦艦ル級轟沈、重巡リ級もう一隻轟沈です!!」

 

 良い走り出しだ。これで敵主力艦隊は使えない空母と駆逐イ級が一隻だ。

 

「第二艦隊、敵水雷戦隊との交戦に入ります。榛名さんが砲撃で援護して、敵水雷戦隊の軽巡ホ級を沈めました!第二艦隊砲雷撃戦入ります。」

 

 さあ、敵艦隊はボロボロなんだ。しっかり止めを刺せよ。

 

――――――――――――――――――

 

 その後砲雷撃戦できっちりと止めを刺して勝利した。こちらの損害は天龍が春雨を庇って中破したのと、白露が小破。哨戒部隊の龍田と吹雪が撤退時に受けた艦載機の攻撃でそれぞれ中破と小破。この程度の被害であの敵艦隊を倒せたのだ、十分に許容範囲だろう。戦闘後龍田達哨戒組と合流し鎮守府へと帰投し、旗艦を勤めた3人から報告を受けたところだ。

 

「全員よくやってくれた。特に赤城と加賀は敵空母を抑えこんだ上で敵艦隊にかなりの打撃を与えてくれた。今後も期待している。」

 

「ありがとうございます。一航戦の誇りにかけて今後も頑張ります。」

 

 胸を張って受け答えする赤城を見れば、長門が信頼していたのもよく分かると言うものだ。

 

「提督~北上さんも大活躍だったんだけど?」

 

「フフッ、そうだな二人で戦艦ル級と重巡リ級を仕留めたのだったな。やはり重雷装巡洋艦の火力は侮れないな。」

 

「でしょでしょ~まあ、今回は赤城さん達がしっかり空を守ってくれたから、安心して魚雷を撃てたのも大きいけどねぇ。」

 

 ドヤ顔の北上とその北上をうっとり見つめる大井・・・いや、大井も一緒に活躍したはずなんだが、まるで北上一人で戦果を上げたみたいに見えてくる。

 

「あとは状況を見て第二艦隊の援護に回った、榛名の判断も良かったし、砲雷撃戦で止めを刺した第二艦隊の働きも見事だった。」

 

「そんな、特別な評価なんて、榛名にはもったいないです。」

 

「ッチ・・・俺は被弾しちまったからな、でもこいつらはしっかり活躍したんだから、そこんとこ分かってくれてるなら良いけどよ。」

 

 照れる榛名と不貞腐れる天龍、榛名はともかく褒めているのに不貞腐れるのは面倒な奴め。

 

「賛辞くらい素直に受け止めておけ、天龍の被弾も春雨を庇ったものだと聞いているぞ。」

 

「悪ぃかよ!」

 

「確かに旗艦が庇うってのはあまり良くない行動かも知れないな。しかし結果として第二艦隊の戦果は十分だ。だからその程度のことをグチグチ言うつもりは無いさ。」

 

「・・・そうかよ。突っ掛かって悪かったな。」

 

 なんだ、天龍はかなり素直になったものだな。隣で龍田が唖然としているぞ?

 

「ではこれにて解散とする、各自休息をとるように、ただし入渠は負傷した者が優先すること。ご苦労だった。」

 

 敬礼で締めると、艦娘達も揃って敬礼する。これでやっと一息つけるな。そう思っていると傍に控えていた大淀と長門が近づいてくる。

 

「提督、艦隊の指揮お疲れ様でした。新人の提督とは思えないほど見事な指揮でした。」

 

「うむ、この長門も安心して彼女達を送り出せたものだ。特に駆逐艦達を盾に使わないで良いのは本当にありがたい。」

 

「お前達艦娘が上げた戦果だ。私は大した事はしていない。」

 

「ハハハ!賛辞くらい素直に受け止めておけ、だったか?発言には責任を持つべきだと思うが?」

 

 長門がニヤニヤしながらそう言ってきて、大淀も思わずクスリと笑ってしまった。これは長門に一本とられたな。

 

「・・・長門の言う通りだな。ありがとう。」

 

 しばらくニヤニヤしていた長門だが、何かを思い出したかのように、急にソワソワし始めた。

 

「あー、ところで提督、仕入れておいた例のあれなのだが・・・彼女達に伝えなくて良かったのか?」

 

「ああ、そうだったな・・・まあ、間宮に伝えているから問題無いだろう。私達も仕事は終わりだ、食事して休むとしよう。」

 

「そうですね、今回の戦闘に参加しなかった方達は、もう食事を済ませていますしね。提督も一緒に食事をしましょう。」

 

 大淀が笑顔で提案してくる。いや、それだと艦娘達が落ち着いて食事が出来ないだろ。

 

「ああ、いや、私は会議室で食事をするから、悪いがまた持って来てくれるか?確認しておきたいことがある。」

 

「提督?先程仕事は終わりだとおっしゃいましたよね?私達に気を使って頂いているのは分かりますが、あまり避けられるような真似をされると、ちょっと悲しいですよ?」

 

 気付かれていたのか・・・しかしここまで言われたらお手上げだな。

 

「分かった、このまま食堂に向かうとしよう。」

 

 なんだか艦娘達の扱いが緩くなってしまった気もするが、軍としてのケジメさえ守れば問題はないか。




 このほのぼの雰囲気は次回まで続くのじゃ。ドロドロ展開に向けて少し休憩です。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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