疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 前回の予告通りドロドロ感99%カット(当社調べ)のお話です。戦いの後くらいゆっくりしたいじゃないですか。


30話(2日目夕食)

 食堂に入ってみると、艦娘達が間宮の前に並んで食事を受け取っていた。島風は先に受け取ったらしく、既に食べ始めている。ちょうど今受け取っていた赤城のお盆を見ると、これでもかと盛った山盛りのご飯と特大ハンバーグが2段重ねだった。自分も18歳と若く食べ盛りではあるが、流石にあそこまでは食べられないな。付け合わせのサラダも大盛なので栄養が偏ることはないと思うのだが・・・そもそも艦娘達にとって栄養バランスは必要なのか?燃料さえあれば最低限の活動は出来るし、弾薬の補充と傷ついたら鋼材と入渠、艦載機が落とされたらボーキサイトで補充が可能だ。それでも人間らしい生活をする方が艦娘達にとって良いらしいので、食事を与えることを推奨されている。一応食事を与えなくても、財政の問題や食糧の入手困難などを理由に言い訳すれば、罰せられることは無いのだが・・・無駄にリスクを負う必要は無いし、艦娘達の士気を維持する為にも、食事は重要だと思っている。

 

「提督?どうかされましたか?」

 

 入り口付近で少し考え込んでしまったので、大淀を少し心配させてしまったか。

 

「いや、少し考え事をしていただけだ、気にするな。」

 

 自分が発言した途端に艦娘達の意識がこちらへと向く。食事のことで頭が一杯で、こちらに気が付いて無かったのだろう。慌てて敬礼してくる艦娘達に軽く手を上げて止めさせ、列の最後尾に並ぶ。

 

「あ、あの、提督?提督はここのトップですし、列に並ばずに先に受け取って頂いて宜しいのですが・・・」

 

「私は艦娘達への命令権を持っているが、こんなところで無駄に使う気は無い。別に急いでいるわけでは無いからな。」

 

 確かに士官学校では教官達から色々と言われたものだ。上官より先に食事に手を付けるなとか、上官を待たせるなとか、上官の私的な雑用を手伝わせたりとか。とにかく上下関係が大切だと言って、威張り散らしていたのを覚えている。演習で叩きのめしてスッキリしても、すぐに因縁を付けてくるので面倒な奴等だった・・・あんな奴等にはなりたく無いな。

 

「いえ、その・・・お気持ちはとても嬉しいのですが、前に並んでる娘達も気まずいので、先に食事を受け取って貰えませんか?」

 

 ・・・確かに艦娘達の視線もどこか微妙な雰囲気だな。権力を振りかざすつもりは無いのだが、艦娘達に余計な気を使わせるのも本意ではない、ここは自分が折れておくべきか・・・

 

「・・・分かった、そういうことならば先に頂こう。」

 

「ご理解頂きありがとうございます。」

 

 一礼する大淀を背に間宮の方へ向かうが、艦娘達からどことなくほっとした雰囲気を感じる。特別扱いされることにいまいち納得は出来ないが、感性の違いというものだろうか?こんなことでこちらの意思を押し付けるのも良く無いか・・・間宮の前に行くと、今のやり取りの間で準備したらしく、すぐに食事を手渡される。

 

「はい、どうぞ。今日は食堂で食べられるのですか?」

 

「ありがとう。まあ、成り行きでな。」

 

「そうですか、それは良かったです。一度も顔を見せて貰えないので、少し心配していたのですよ?」

 

 食事はきちんと食べていたはずだが、何を心配していたのだろうか?食事の質か?それとも食堂の運営状況を確認していなかったからか?言われてみれば他の現場は視察をしたが、食堂だけは間宮に任せきりになっていたな・・・

 

「今夜の食事も美味そうだな、この調子で食堂の運営を頼むぞ。」

 

「あ、はい、ありがとうございます。」

 

 ん?気にしていたのはこの案件では無かったのか?

 

「何か気になることがあるなら相談してくれ。」

 

「いえ、大丈夫です。あ、先程仕入れて下さった羊羮なのですが、どうされますか?」

 

「ああ、その件か。あれは要望で頑張ったご褒美に甘味が欲しいと言われてな、とりあえず試しで仕入れたものだ。今日出撃した艦娘達に渡すつもりだから、食後にでも出してやってくれ。」

 

「分かりました。私の方で配っておきますね。」

 

 間宮が微笑んでそう答えるが、突然ガタガタ!と音がしたのでそちらを見ると、食事を始めていた赤城が立ち上がっていて、後ろで椅子が倒れていた。驚愕に目を見開き、リスのように頬を膨らませた姿は、先程まで立派に旗艦を務めた存在とは別人かと思ってしまう。他の艦娘達も少なからず驚いているようだ。

 

「提督!提督!さっそく夕立のお願い聞いてくれたっぽい!?」

 

 列から飛び出して来た夕立が嬉しそうに聞いてくる。あまり間宮の前を塞ぐのも悪いので、少しずれてから対応する。

 

「士気を上げる為には悪くない案だったからな。それに今日は良い戦果を上げたのだ、実績はきちんと評価するべきだろう。今後も期待しているからな。」

 

「ありがとうっぽい!これからどんどん活躍して甘いものを貰うっぽい!」

 

 笑顔でお礼を言う夕立はやる気に満ちているようで、これだけ単純なら扱い易いものだな。他の艦娘達からもお礼を言われて声をかけていった。ここまで好評ならば、士気の高揚という目的は達成出来たと見て良い。夕立もなかなか良いアイディアを出してくれたものだ。




 ふぅ、たっぷりほのぼのしたので、これでまたドロドロ展開に突入出来るな。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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