疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お陰様でUAが10万を突破しました。気まぐれの見切り発車で始めたこの作品が、ここまで続いたのも、応援して下さる方々がいてくれたおかげです。今後も宜しくお願いします。

 あと誤字修正して下さってる方々も、いつも助けて頂きありがとうございます。


32話

 時間は午後9時と少し遅かったが、カメラの有無は重要なので早めに知っておきたい。執務棟を駈け降りて艦娘達の寮へと向かう。青葉がカメラを持っている可能性にもっと早く気が付いていれば、色々と証拠の写真を撮らせていたのに!!とは言えいきなり部屋に押し掛けるのも良くないだろう・・・いつもなら大淀に呼び出して貰うのだが、秘書艦だからと言って常に一緒にいる訳ではないからな。艦娘寮の一階にたどり着くと鈴谷が歩いているのを見つける、鈴谷に呼び出して貰うか。

 

「あれ?提督じゃん。こんばんは。」

 

 こちらに気が付いた鈴谷が声をかけてくる。面談前の暗い雰囲気は、少しだけ改善されたようだが、まだまだ士官学校に居た鈴谷のような明るさは無い。まあ、これから少しずつ改善すれば良いだろう。

 

「ああ、こんばんは。青葉に用事があって来たのだ、悪いが呼んで来て貰えるか?」

 

 そう伝えると鈴谷は一瞬驚いた顔をしたが、何かを考えるように唸り始めた。

 

「う~ん、青葉なら部屋に居ると思うけど・・・その、もし良かったらその用事鈴谷が代わっても良いよ。ほら、同じ重巡洋艦だし、鈴谷もけっこうあるほうだし、提督のこと悪くないかなぁとは思っているし、うん。」

 

「何が言いたいかはよく分からないが、今用事があるのは青葉だ。呼んで来てくれ。」

 

「・・・は、はい・・・」

 

 鈴谷はがっくりと肩を落として、青葉を呼び出しに行ってくれた。青葉とはまだ話をしていないので推測にはなるが、鈴谷達同様にあまり良い待遇ではなかったのだろう。だから青葉を心配したのだろうが、流石に鈴谷がカメラを所持しているとは思えないので仕方ない。

 

 数分後、少し暗い雰囲気を取り戻してしまった鈴谷が、顔を真っ青にして震えている青葉を連れて来た。

 

「提督、青葉を連れて来ました。」

 

「ありがとう、下がって良いぞ。」

 

「はい・・・おやすみなさい。」

 

 青葉を残していくことに後ろめたさを感じるのか、やはり暗い雰囲気で鈴谷が去っていく。明日にでも少し話をしておくべきだろうか?

 

「し、司令官!青葉型重巡洋艦青葉です!ど、どのようなご用件でしょうか?」

 

「では単刀直入に聞こう。カメラを所持しているか?」

 

 そう聞いた瞬間にビクッ!と飛び上がらんばかりに動揺していた。これは持ってるな。そう思って少し気を抜いた瞬間に、視界から青葉が消えたかと思うと、足元で青葉が綺麗な土下座をしていた。

 

「どうか、どうかカメラだけはご勘弁下さい!あれは青葉にとって大事なもので、青葉の心の拠り所なんです!無闇に使用したりしませんので、どうかお許しください!!」

 

 大事な物を奪われたくないのは分かるが、土下座しながら大声で騒がないで欲しい。何の騒ぎかと艦娘達が遠くから様子を伺っているようだ。この状況を見たら、自分が青葉を追い詰めているようにしか見えないだろう。

 

「待て待て、カメラを取りあげたりはしないから落ち着いて話を聞け。とりあえず土下座はやめてくれ。」

 

「ほ、本当でしょうか?」

 

 土下座の姿勢から頭を上げて、涙目で見つめてくる青葉。いくら希少品とはいえ、上官の権限で奪うような真似はしたくない。しかしカメラの重要性は高いので、協力して貰えるように交渉が必要だな。

 

「もちろん部下から私物を奪うような真似はしない。ただし協力して貰いたいことがある、ここは人目につくから、カメラを持って会議室について来て欲しい。」

 

 素直にそう伝えると、青葉はがっくりと肩を落として、ただ「分かりました。」とだけ言って、とぼとぼ歩いて部屋にカメラを取りに行ってくれた。かなりカメラを大事にしているようなので、あまり協力的ではないようだが、ここはなんとか協力して貰えるように交渉していきたい。

 

―――――――――――――――――

 

「え!?汚職の調査の為にカメラを使用したいってことですか!?」

 

 汚職調査の件を伝えたら、青葉が物凄く驚いている。なんだか一々リアクションが大きい奴だ。

 

「ああ、そうだ。本来なら証拠は全て撮影して記録として残しておきたかったのだが、カメラを所持していなくてな・・・そこで青葉のことを思い出したので、協力して貰おうと思ったのだ。」

 

「い、いや~そういうことでしたか~あはは~」

 

 驚いたかと思えば急に顔を赤くして、挙動不審になっている。いったい何を考えていたのやら?

 

「それで協力して貰えるか?」

 

「はい、青葉でお役に立てるならばもちろんです。それに調査ってなんだかドキドキします!」

 

 先程までの暗い雰囲気から一転し、興味津々だと目を輝かせている。

 

「それでどこを調査するのでしょうか?」

 

「まずは先程一人で調べて来たのだが、営倉の奥に隠し扉があってな、その奥の倉庫と隠し通路を調べたい。もう遅い時間だが構わないか?」

 

「はい!隠し扉に秘密の地下通路!これは俄然やる気が湧いてきました!!」

 

「それでは大淀に連絡してくれ、地下通路の探索を行うから、有事の際は青葉を通して連絡してくれと。それから工廠に行って懐中電灯を貰ってきてくれ。」

 

「分かりました。でも司令官、どうせなら探照灯のほうが良いのでは?青葉が居れば電池が切れる心配もないですよ?」

 

「探照灯か・・・あれだと出力が強すぎるのではないか?」

 

「いえいえ、ある程度は調整が出来ますのでご心配なく、青葉にお任せ下さい!」

 

 まあ、調整が出来るなら問題無いか。

 

「分かった、青葉に任せよう。」

 

「はい、恐縮です。では探照灯取ってきます。」

 

 走って会議室から飛び出した青葉を見ると、どうやって協力を取り付ける交渉をするか考えていたのが馬鹿らしくなる。でもこれで調査がよりスムーズに進むな。




 鈴谷と青葉がいったい何を考えていたのか?謎ですね。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

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