疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建

36話

　話の重さに妄想力の限界を感じ始める今日この頃。なんで自分はイチャイチャものやギャグものを書かなかったのだろうか？

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　そこから改めて大淀から事件当時の話を聞く。その日村雨を旗艦として春雨・五月雨・涼風の４人で遠征に出撃したが、運悪く敵艦隊と遭遇。即座に資源を捨てて離脱する許可を求めたが許可されず、資源を満載したままの撤退を強いられた。当然速度が出ないため敵艦隊に追い付かれ、激しい攻撃を受けることになり、春雨以外は轟沈してしまい、春雨だけは轟沈寸前の状態で鎮守府へと帰還した。そのまま春雨は叱責を受けるために呼び出されたそうだ。大淀が会議室で報告書等をまとめていると、突如砲声が鳴り響き建物の一部が崩れ落ちる音がした為に、慌てて執務室へと駆け込んだ。

　執務室の照明は壊れており、廊下からの明かりを頼りに見た光景は、蹲って震える春雨と破壊された執務室、そして飛び散った大森提督だった。上半身は損傷が酷く、足が落ちていなければ本人確認もままならないような状態だった。大淀も酷く混乱していて、春雨から事情を聞こうと声をかけてみたが、不明瞭な発言を繰り返すばかりで会話にならなかったそうだ。一先ず落ち着かせないと会話にならなかったので、白露型の姉妹を呼び出して春雨を入渠施設へと運ばせた。提督不在の為無断で高速修復材も使ったそうだ。その後長門と明石と相談してこの話は隠し、原因不明の事件として大本営に連絡したとのことだ。

「はぁ・・・なるほどなぁ・・・それにしても良く大本営の連中から隠し通せたな。あいつらも当然艦娘を疑っていたはずだから、知っていることを全て話せと命令してきたはずだが？」

「勘違いされている方も多いですが、私達艦娘への命令権を持っているのは、所属する鎮守府の提督だけです。普段なら大本営の方々の命令に逆らうことはしませんが、強制力があるわけでは無いのです。なので秘密を守ることが出来ました。」

「それで情報が得られずに大本営は諦めた訳か、あいつらからしたら艦娘が命令に逆らうなんて思っていないだろうからな。」

　あの連中にとって艦娘達は都合の良い兵器だ。まさか自分が嘘をつかれているとは思わないだろう。艦娘が嘘をついていると主張する時は、自分に都合が悪い証言をしている時くらいだろう。

「話はだいたい分かった。だが一つ疑問なのだが・・・春雨、なんでこの事を私に伝えようと思ったのだ？姉妹達はお前を助ける為に功績を上げたかったようだが、まさか恩赦が得られる程の功績を上げたとは思って無いだろう？」

「そ、それは・・・もうお姉ちゃん達に無理をして欲しくないんです・・・もう・・・姉妹が沈むのを見るのは嫌なんです・・・今日白露お姉ちゃんは小破で済みました、でも私を庇った天龍さんは中破です。こうやって足を引っ張って誰かが傷つくのはもう嫌なんです！いつ沈んでしまうのかって怖いんです！！」

　相変わらず艦娘達は姉妹思いな奴等だ。姉妹の恩赦を求める為に頑張る姉達と、そんな姉達に無理をさせない為に罪を認めたと・・・

「甘い考えだな。」

「え？」

「それでお前が解体されれば、姉妹が楽になるとでも思っているのか？馬鹿を言うな！！守ろうとした妹が自ら解体されに行ったなど、どれだけ心を抉られると思う！？それでも戦争中なんだ、お前の姉妹はそんなボロボロの状態でも、戦闘に行かされるぞ？生きる気力を削がれた奴が、生き残れるほど甘い場所ではないぞ！？」

　春雨は自分の言葉で嫌な未来を想像してしまったようで、膝から崩れ落ち頭を抱えて震えている。しかしそんな甘ったれた奴にこれ以上かける言葉は無い。

「て、提督！落ち着いて下さい。」

　慌てて大淀が止めに入ってくる。半泣きの大淀を見て一旦深呼吸をする。ふぅ・・・つい熱くなって怒鳴ってしまった・・・自分としては犯人が自ら罪を告白してきたのだ。都合が良いと喜ぶべきものなのに、ここまで感情的になってしまうとはな。しかしせっかくやる気になった白露型姉妹達を、絶望させるのは惜しいな。だが彼女達との話は避けて通れないだろう。

「大淀、白露型姉妹を呼んでくれ。すぐにだ。」

「は、はい！少しお待ち下さい。」

　さて、どうやって話をするべきか・・・今後に響かずに、落としどころを決められないだろうか？

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　ということで今回は説明メインのお話でした。次回の白露型姉妹のお話の下準備と言ったところですね。