疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お待たせ致しました、ドロドロ感増し増しのお話です。メンタルが削られるから、早く市長をぶっ潰して気分爽快になりたいですが、まだまだ必要な話があるのですよ・・・


40話(面談 五航戦)

 一航戦との面談後いつものように大淀が来たので、演習の様子を確認した。演習用の標的を準備する間に、航行系の演習を始めているらしい。航行速度に関してはやはり駆逐艦の独壇場で、特に島風は飛び抜けた性能を持っているようだ。最高速度も勿論だが、障害物を置いた状態でも難なく走破したらしい。次いで雪風と夕立の成績が良かったとの事だ。逆に駆逐艦の中では吹雪と曙の成績はあまり良くなかったので要注意だろう。引き続き演習を続けるように伝えて、五航戦の二人を面談の為に呼び出した。

 

――――――――――――――――――

 

コンコンコン

 

「失礼します、五航戦の翔鶴と瑞鶴です。」

 

「入れ。」

 

 五航戦の二人が会議室に入って来たが、一目見ただけでかなり酷い精神状態だと分かる。あらかじめ長門や赤城から聞いていたが、確かにこんな状態では戦闘に参加させるのは無理だろう。翔鶴は全てを諦めたような悲しい目をしており、瑞鶴は酷く怯えているような印象だ。とりあえず二人を席に座らせて話が出来る場を整える。

 

「では改めて、新しくこの鎮守府に着任した葛原だ。宜しく頼む。」

 

「正規空母五航戦の翔鶴と瑞鶴です。」

 

 静かに翔鶴が答えたが、瑞鶴は震えながら目を合わせようとしない。

 

「・・・ふむ、一応長門と赤城から軽く話を聞いている。二人とも精神的に不安定だから、戦場には出られないと聞いた。」

 

「・・・そう・・・ですね。正直に言って今出撃しても足手まといにしかならないと思います。」

 

「分かった、こちらが大丈夫だと判断するまでは出撃させるつもりは無いから安心して欲しい。」

 

 そう伝えると翔鶴は一瞬顔をしかめたが、すぐに元の表情に戻った。瑞鶴は俯いていた顔を上げて絶望したような表情をしている。これは何かしらトラウマに触れてしまったか?

 

「お気遣い頂きありがとうございます。それではお休みの間に私達は何をすれば宜しいのでしょうか?」

 

「体が鈍らないように演習はして貰うつもりだ。それ以外となると・・・そうだな、鎮守府の中を見て回って欲しい。」

 

「鎮守府の中をですか?」

 

 意外な話だったのか、翔鶴はきょとんとした顔で尋ねてくる。

 

「ああ、そうだ。お前達二人は前任者によってかなりのトラウマを植え付けられたと聞いている。だが今の鎮守府の環境は私が着任したことで大きく変わっている。それを私の口から伝えても、お前達が信用するとは思えない。だから自分の目で確かめろ。それがお前達が今やるべき事だと思う。」

 

「・・・分かりました。それが提督の命令ならば従います。」

 

 なんだか全く手応えを感じないが、一先ず翔鶴については一歩前進だろう。問題なのは震えたままの瑞鶴だ。

 

「瑞鶴は今の話はちゃんと聞いていたか?」

 

「ッ!!だ、大丈夫です。ちゃんと聞いてます。」

 

「では私は何をして欲しいと伝えた?」

 

 そう問いかけると顔を真っ青にして答えに詰まってしまう。やはりまともに聞いていなかったようだ・・・

 

「え、えっと・・・出撃はしないと・・・」

 

「それで?」

 

「あ、いや、その・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・罰なら私がちゃんと受けるから!他の娘や翔鶴姉には手を出さないで下さい!!」

 

 なるほど・・・強気な瑞鶴も龍田のように姉妹艦や他の艦娘に罰を与える事で、心を折られてしまったのか・・・自分のせいで仲間が罰を与えられるのが、艦娘達には一番辛いようだな。前任者は戦艦や空母をそれなりに重用していたはずだが、そういう嫌なやり方で従えていたのか・・・

 

「落ち着け、この程度なら口頭での注意で済む話だ。だから深呼吸をしろ。」

 

「はぁはぁ・・・罰はないの?」

 

「ああ、だから息を整えて落ち着いて話を聞け。」

 

 そこから瑞鶴の呼吸が整うまでにしばらくかかった。これはそうとう厄介な状態だな・・・

 

「ごめんなさい・・・少し落ち着いたわ。」

 

「それでは先ほど言った話だが、出撃が許可されるまでの間に、体が鈍らないように演習に参加すること。そして鎮守府を見て回って欲しい。」

 

「鎮守府を見て回る?」

 

「そうだ。この鎮守府は私が着任したことで、大きく変わっている。それをきちんと自分の目で確かめろ。それがまず始めにやるべき事だ。前任者の時代はもう終わった。」

 

「もう、罰はないのかな?」

 

 不安そうに見つめてくる瑞鶴だが、ここで罰は無いなどと優しい嘘は絶対に無い。

 

「悪いことをすれば当然罰を与える。しかしそれは悪いことをした本人が受けるべきだし、理不尽な内容にするつもりは無い。」

 

「そっか・・・」

 

「そうだ。規律を守る為には罰が必要な時もある。しかし組織に必要なのは信賞必罰だ。つまり活躍したものにはきちんと報いることも重要だと考えている。実際に夕立から頑張ったご褒美に甘いものが欲しいと要望があってな、昨日の戦闘に参加したものには羊羮を与えた。だから何か要望があるなら言って欲しい。その要望に見合うだけの成果をあげたなら、出来る限り叶えてやりたい。それがお前達の士気を高めることに繋がるからな。」

 

 そう伝えると瑞鶴は俯いて何かを考えている様子だ。

 

「要望・・・なら私はもう無理矢理犯されるのは嫌です・・・」

 

「そこに関しては元々艦娘達に手を出すつもりは無いから安心しろ。」

 

「嘘よ!!提督だって男だもの!!きっと我慢出来ずに手を出すはずよ!!」

 

「まあ、口で言っても仕方ないだろうが、そもそも私はお前達艦娘をそこまで信用していない。」

 

「信用していないの・・・」

 

 瑞鶴の表情がまた絶望に染まる。

 

「いや、この言い方は誤解を招くな。正確に言うなら女性として、つまり体の関係を持とうと思うほど信用はしていないと言うことだ。仕事に関してならそれなりに信用している者もいる。」

 

「えっと・・・犯すのに信用がいるの?」

 

「まず規律を守る為に艦娘を犯す事はしないのだが・・・体の関係を持つことは、弱点を晒すことになる。いくら艦娘が人を傷つけられない存在だとしても、そんな真似は私には出来ない。」

 

 瑞鶴はよく意味が分からないといった感じの表情だが、とりあえず犯される心配が無いことだけ伝われば良いか。

 

「長くなってしまったが、そういうところも含めて今後は鎮守府の中を見て回って欲しい。私の下で戦えるかはその後に判断しろ。」

 

「うん、分かったわ。」

 

「翔鶴は他に言いたいことはあるか?」

 

「いえ、大丈夫です。今後も瑞鶴共々宜しくお願いします。」

 

 そう言って頭を下げる翔鶴は、少し憑き物が落ちたような感じだ。これならば戦線復帰も遠い話ではないだろう。

 

「こちらこそ宜しく頼む。では面談は以上だ、演習に戻ってくれ。」

 

 五航戦姉妹を見送ると、ついついため息が出てしまった。分かってはいたが、やはりキツイ面談になってしまったな・・・




 瑞鶴の性格上酷い目に合うのは確定事項だったのですよ・・・口直しにIfストーリーの方も是非読んでみて下さい。(ダイマ)

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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