疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建

48話

　話の展開的にしばらくドロドロ成分多めになりそうです。決着までまだまだ時間がかかりそうですが・・・

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　青葉を伴って会議室に戻ると、大淀が資料をまとめていてくれた。やはりリストにあった艦娘達は遠征で全艦轟沈した扱いになっていた。そしてその日付に平川市長から多額の資金を得ている事も確認出来た。しかし平川市長を通したやり取りの為、誰がどこに売られたかまでは確認出来なかった。

「こうなると平川市長の動き次第で厄介な話になるな・・・一応久藤提督からの指示で動き始めているはずだが・・・」

　そう呟くと大淀が困った顔で質問してきた。

「あの、提督、私はこの件に関してあまり説明を受けておらず、断片的な話しか分からないのですが・・・」

　そう言われれば大淀にも話していない事が多かったな。大淀には秘書艦として補佐をして貰わなくてはならないし、そろそろ情報を開示しておいたほうが良いか。

「分かった、情報を共有しておこう。その前に青葉、撮影した写真の現像ってどうやってやるんだ？」

「え、えっと、青葉のカメラは妖精さんが作ったものなので、工廠にある機材で現像をしますけれど・・・」

「ならば今から証拠写真の現像をしてくれ。」

「ええ！？現像するのは良いですけど、青葉だってお話聞きたいですよ！ここまでお手伝いしたんですから、ちょっとくらい教えてくれても良いじゃないですか～青葉すっごく気になります！！」

　青葉が涙目ですがって来るが、まだ不確定要素が多い状況だ。妹の衣笠の件で焦って余計な行動をしてしまいかねないので、悪いがまだ全てを明かす事は避けたほうが良いだろう。

「悪いな、衣笠も含めて悪いようにはしないつもりだから、今は大人しくしていろ。」

「うぅ・・・青葉は信頼されているのか分からなくなってきました・・・およよ・・・」

　わざとらしい演技をしながら崩れ落ちて、こっちをチラチラ見ていたが、こっちが折れる気配が無い事を悟り、がっくりと肩を落としながら会議室から出て行った。

「提督、宜しかったのですか？」

「重要な情報だからな。扱いにも慎重になる。それと・・・盗み聴きしてないでさっさと現像してこい！！」

「ひ、ひぃ！ごめんなさぁぁぁい！！」

　ドアの向こう側から聞こえた、バタバタと走り去る音にため息を吐く。好奇心が強すぎるのも考えものだな・・・

「青葉さん・・・それにしてもよく気が付きましたね？」

「一時期は孤児として過ごしていたからな、人の気配には敏感なんだ。後は士官学校でも悪意に晒されてたから余計にな・・・」

「そうでしたか・・・」

「今は私の話はどうでもいい。今調査している案件のほうが重要だ。」

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　大淀に前任者の大森提督が艦娘の販売に手を出していた話をした。大淀は鎮守府にいる艦娘が、客人相手に接待を強いられていた事は知っていたが、売られていたのは知らなかったようだ。時々大淀も接待に参加させられて、その時は秘書艦を別の者に代わって貰っていたようで、その時に遠征での全艦轟沈も多かったようだ。詳しい話は教えて貰えず、その時秘書艦をしていたのが誰かすら分からない状態で引き継ぎすら無かったので、大淀も不審に感じながらも調べる事は出来なかったらしい。それにそんな都合の悪い調査を大森提督がさせるとは思えないしな。

「それで久藤提督と交渉して、販売を仕切っていた平川市長に艦娘を返却するように圧力をかけて貰ったと。」

「ああ、交渉の内容は言えないが、そういう事だな。そして証拠も十分揃っているし、平川市長には責任を取って捕まって貰うつもりだ。」

「それも久藤提督は了承していると考えて良いのですか？」

「ああ、今のところ協力してくれるように話をつけてある。だから久藤提督の気が変わらないうちに終わらせたいところだ。」

　大淀は数秒目を閉じて黙考し、ため息を吐いた。

「はぁ・・・分かりました。ずいぶんと大きな事件になっていたのですね・・・提督にもお考えがあるのでしょうから、久藤提督とのやり取りについては聞きません。私達艦娘としては売られた仲間が無事に帰ってくるのが一番ですから・・・」

　こうやって割り切ってくれるのは非常にありがたい。これが青葉だったら絶対にごねているだろう。

「それで、これからどうするおつもりですか？」

「とりあえず平川市長をつついて様子を見てみようと思う。久藤提督からどんな命令が出されたかも気になるし、それによって今後の動きを考える必要がある。」

「分かりました。それではさっそく電話を繋ぎましょうか？」

「ああ、頼む。」

　さてと、今度はどうやって情報を引き出すべきかな？

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　次回は豚さんが活躍してくれるはず。

―追記―
Ifのほうで北上さんのお話を追加しました。