疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 皆大好きなドロドロ回です。しかも今回は平川市長とやり合うだけの回なので、安心して読める内容ですね。


49話(対話 平川市長)

 大淀に平川市長へと電話を繋げて貰った。さていったいどんな反応をするだろうか?

 

「もしもし、北九州鎮守府の葛原です。」

 

「貴様!!よくもわしを騙してくれたな!!貴様は久藤提督の傘下ではないのだろう!?」

 

「はぁ・・・私は一言も久藤提督の傘下の者だなんて言っていませんが?なんなら録音したものを確認されますか?」

 

「そんな事は問題ではない!実際にわしが騙されているのが問題なのだ!!」

 

 まったくこの豚は・・・自分が騙そうとした相手に騙されたから激昂するとは・・・騙されるほうが悪いだろう。

 

「はぁ・・・無駄話をするつもりはありません。久藤提督と話をつけた以上、艦娘の返却を行わなければ久藤提督が動くことになりますが、どうされるおつもりですか?」

 

「貴様ぁ!!わしを誰だと思っておるのだ!?」

 

「ただの地方の役人ですね。久藤提督の傘下で好き放題されていたようですが、この話を蹴るなら久藤提督から切られると思いますよ?それでも強硬姿勢を崩しませんか?」

 

「クソ!!そんなこと言われんでも分かっておるわ!!今晩わしの屋敷に艦娘達を集める事になっておる。明日貴様が確認して問題が無ければ、明日の夜に地下通路を使って返却する手筈だ。何か文句あるか!?」

 

 ふむ、なるほど。つまり明日自分が確認に行く時に憲兵隊を引き連れて、平川市長を逮捕する手筈だな。久藤提督も上手くやるものだ。

 

「いえ、手順には問題なさそうですね。集める艦娘のリストはもうありますか?」

 

「ふん!軽空母1、重巡4、軽巡3の8人だ。」

 

 この期に及んでまだこいつは誤魔化そうとしているな。往生際の悪い奴だ。

 

「駆逐艦3が抜けてますが?」

 

「チッ、分かっておるわい!わしの所に居るから数えてなかっただけだ!!」

 

 なるほど、自分の所にいる艦娘をちょろまかそうとした訳か。単純な奴だな。

 

「取引は正確にお願いしますね?」

 

「久藤提督からの指示だからな!最初から誤魔化す気など無いわい!!しかし貴様も覚悟は出来ているのだろうな?」

 

 ほう、声音からこちらを脅そうとする悪意を感じる。まだ強気な態度が取れると考えるあたり、余程自信があるのか?それとも余程の馬鹿なのだろうか?

 

「なんの覚悟ですか?」

 

「ここまでわしのメンツを潰してくれたのだ、ただで済ますはずがなかろう?クックックッ、わしを敵に回すと言うことは、この街を敵に回すという事だ。各方面に圧力をかけて、貴様は何一つこの街で取引が出来ないようにしてやろう。鎮守府の運営に失敗して、無様な姿を晒すが良い!!」

 

 なるほど、こいつは余程の馬鹿だな。もしもその目論見が上手くいったとして、この鎮守府が機能不全を起こしたとしよう。そうなれば深海棲艦の侵攻を止められず、街が大きな打撃を受ける事になる。まあ、そもそも明日逮捕される人間が何を出来るのか?って話なのだが、これは黙っておこう。

 

「はぁ・・・こちらは貴方の汚職の証拠を握っているのですよ?本来断罪されるべき状況なのに、久藤提督の計らいで艦娘の返却だけで済まそうという話なのですが・・・久藤提督のご厚意を無駄にされるおつもりですか?」

 

「それは今回の件で終わった話であろうが?それをまた持ち出せば久藤提督も黙っておらんだろうなぁ?」

 

 どうやらどうしてもマウントを取りたいようだな。これ以上付き合うのも時間の無駄だな。

 

「はぁ、ではお好きにされて下さい。今回の取引さえきちんとして頂ければ、私としては構いません。その後の事は別の対処をさせて貰います」

 

「ほほう?貴様に何が出来ると言うのだね?」

 

「さあ?こんな所で手札を明かすような愚かな真似はしませんよ。」

 

「貴様!!必ず後悔させてやるからな!!」

 

「そうですか。では明日の取引までの関係になりそうですが、それまで宜しくお願いしますね。」

 

「生意気な小僧め!!必ずだ!!必ず後悔させてやるから覚悟しておけ!!」

 

 そう言って平川市長は電話を叩きつけるように切ったようだ。とりあえず艦娘を集めて貰えるのならば、後の事は気にする必要も無いだろう。

 

「提督、お疲れ様です。コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「ああ、頼もう。ミルクと砂糖を多めに入れてくれ。」

 

「はい、少々お待ち下さい。」

 

 大淀が淹れてくれたコーヒーを楽しみつつ、大きな問題が一つ解決の目処がついたことを喜ぶ。後は久藤提督に明日の段取りを確認すれば問題ないだろう。ついでにもし自分に何かあった場合は、証拠を鶴野提督に渡すように大淀に指示を出して、その件を久藤提督に伝えておこう。そこまで釘を刺しておけば、自分を害するよりも平川市長を切る方を選ぶだろう。最後まで油断は出来ないがな・・・

 

――――――――――――――――――

 

 その後久藤提督に電話をして、明日の確認を済ませた。本来軍人ではない平川市長を逮捕するのは警察の仕事なのだが、艦娘関連の事件であることと、久藤提督の影響力があることが理由で、やはり憲兵隊を使うようだ。明日の朝にうちの鎮守府に憲兵隊が来て、共に平川市長の逮捕に向かう事になった。その後の平川市長の運命は・・・久藤提督のみ知るところだ。




 平川市長の出番の終わりが近づいて来ました。再登場までもうしばらくかかりそうですが。

―追記―
 Ifの方で『響If』公開中です。是非そちらの方も宜しくお願いします。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
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  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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