疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 50話到達しました。連載開始から3ヶ月、本格的に書き始めてから2ヶ月程度でここまで来れました。評価や感想が励みになって頑張れたので、今後も応援頂ければ嬉しいです。


50話

「提督、哨戒に出た天龍さんから連絡です。敵影無し、これより帰投するとの事です。」

 

「了解した。」

 

 着任3日目にしてようやく戦闘の無い日を迎えられそうだ。深海棲艦と戦うことが仕事とは言え、毎日戦闘するのは勘弁して欲しいものだ。

 

「そろそろ演習も終わった頃だろうか?」

 

「そうですね。一通り終わったようですので、今は片付けをしているようですね。」

 

「分かった。片付けが終わったら各自補給をして、休息して構わない。長門には演習の結果をまとめて報告書を提出するように伝えてくれ。」

 

「分かりました。提督はこの後どうされるおつもりですか?」

 

 この後か・・・いい加減に執務室と私室の改装に手を出したいところだが・・・

 

「その前に一つ聞いておきたいのだが、ここに着任してから妖精さんの姿を見ていないのだ。艦娘達が出撃している以上存在しているとは思うのだが・・・何か心当たりはないか?」

 

「・・・そうですね。その、妖精さん達は前任者から怒鳴られたりしていたので、怯えて隠れてしまっているものかと。私達艦娘の前には姿を現してくれますし、搭乗して戦闘や通信などのサポートをしてくれていますが・・・」

 

「また前任者か・・・本当にろくな事をしないな・・・大方希望する艦娘が建造されなかったとかで怒鳴り散らしていたのだろう?」

 

「はい・・・時には床や壁に投げつけたりの暴力を振るう事も・・・なのでここの妖精さん達は隠れてしまって・・・大声で召集すればしぶしぶ出て来るとは思います・・・」

 

 本当に面倒な状況を作ってくれたものだ。提督の第一条件は妖精さんが見えて意志疎通が出来る事だ。未だにその存在は分からない事が多いが、妖精さんなくして鎮守府は成り立たない。自分は人権派ではないので、妖精さんと仲良くするべきだとは思っていないが、その技術と鎮守府を支えてくれる事に敬意を持って接するべきだと考えている。確かに気まぐれなところがあり、思うようにコントロール出来る存在ではないが、そもそも妖精さんが持つ未知の技術について、完璧にコントロールしようなど無理な話だろう・・・

 

「まずは妖精さんとの関係を構築するところから始めるべきだろうな。ああ、そうだ。営倉の掃除もさせるのだったな。そっちは大淀が監督して白露型姉妹と長門と明石でやるように。ただし隠し扉は開けないようにすること。それと隅々まで綺麗にする必要もない。ある程度汚れと臭いが落とせれば十分だろう。」

 

「分かりました。それと妖精さんに会いに行かれるのでしたら、工廠が一番会いやすいかと。建造や開発担当の妖精や艤装の制御を担当する妖精が集まる場所なので。」

 

「なるほど、助かる。」

 

 ではさっそく妖精さんに挨拶に行くとするか。

 

――――――――――――――――――

 

 さっそく工廠に向かおうと思っていたが、手土産も無しに挨拶に行くのもどうかと思い、まずは食堂の間宮の元を訪れた。間宮は夕食の下拵えをしていて、その手際は素人目で見ても素晴らしいものだな。

 

「間宮、作業中悪いが少しいいか?」

 

「あら?提督さん、どうされましたか?」

 

「昨日明石に頼んで入荷した甘味はどこにしまっている?」

 

「えっと、こちらにありますが演習のご褒美とかですか?」

 

「いや、今回は妖精さんに挨拶に行こうと思ってな。その時に手土産もないのはどうかと思ったからな。」

 

 そう伝えると間宮が優しく微笑んだ。

 

「それはとても良いことですね。きっと妖精さん達も喜ぶと思います。そういう事でしたら金平糖がお勧めですよ。他のお菓子だと小さく切り分けないといけませんが、金平糖なら妖精さんも食べやすいですから。」

 

「なら金平糖を貰っていこう。助かった。」

 

「どういたしまして。私達艦娘にとって妖精さんは大事なパートナーですから。妖精さんを大事に扱って頂けるのは嬉しいです。」

 

 やはり艦娘と妖精さんは関わりが深いので、愛着も湧くものなのだろう。間宮はとても嬉しそうにしている。今後は妖精さんの扱いにも留意すべきだな。

 

――――――――――――――――――

 

 金平糖を手に入れて工廠に向かうと、夕張が演習で使った機材を手入れしていた。他の艦娘のような制服姿ではなく作業着を来て作業する姿は、ベテランの職人のようだ。そう言えば夕張とはまだまともに話をしていなかったな。

 

「整備は順調か?」

 

「あ、提督、お疲れ様です。演習で使っただけなので、簡単な手入れだけで済みますから。明石さんがいなくてもこれくらいなら大丈夫です!」

 

「頼もしいな。何か困った事があれば早めに報告してくれ。」

 

「ありがとうございます。あー、困った事ってほどではないのですが・・・」

 

 そう言いながらも夕張は困った様子で頬を掻いている。何か言いにくい事があるのだろうか?

 

「どうした?」

 

「一応確認なのですが、私は実戦で使えないと考えられてるのではないかなぁと思いまして。もちろん工廠でのお仕事は大好きなのですが、実戦でもお役に立てればなぁと思いまして。確かに速力や耐久力に不安がありますが、装備を他の軽巡よりも多く積めますので、そこら辺の強みを生かして貰えたらなぁと思いまして。」

 

 なるほど、確かに装備開発などの工廠で仕事をしているイメージだったが、戦闘能力が低い訳ではないのか。しかし軽巡洋艦で速力に不安があるのと、ただでさえ弱点の耐久力に劣る事は、明確な弱点だろう。重雷装巡洋艦のような長射程の攻撃も出来ないとなると・・・護衛を付けて高火力で一気に勝負を決める運用になるか?それとも旗艦としての指揮能力を求めるべきだろうか?

 

「ふむ、前線での戦いも出来る事は頭に入れておこう。しかし工廠での整備や開発も重要な仕事だから、明石の手が回らない時はそちらの応援を優先させて貰うぞ?」

 

「ええ、それはお任せ下さい!先程もお伝えしましたが、工廠のお仕事も大好きですので!」

 

 薄汚れた作業着でニコニコ上機嫌に笑う姿は、本当に工廠での仕事が好きなのだろうと感じる。しかし実戦投入も可能ならば、今後使える選択肢が増えて助かるな。

 

「あ、そう言えば提督は何かご用があったのでは?」

 

「妖精さん達に挨拶に来たのだ。本当は着任後すぐに来るべきだったのだろうが、そこまで気が回らなくてな。詫びと言ってはなんだが、手土産も持って来ている。」

 

「わぁ、それは良いことですね!きっと妖精さん達も喜びますよ!ちょっと呼んで来ますね。」

 

 そう言って夕張は工廠の奥の方へと駆けて行った。確かに直接私が呼ぶよりは夕張を通したほうが、あまり警戒されずに済むかもしれないな。




 ついに妖精さんの出番がやって来ました。正直妖精さんの設定で色々迷いましたが、原作の設定プラスで他の作品の設定も参考にさせて貰いました。妖精さんは艦娘より謎が多くて困る。

―追記―
 榛名If公開中です。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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