春雨が退室してからしばらくすると、大淀がやって来た。連絡があった時間帯を考えれば、寝ていたところを起こしてしまったのであろうが、服装も含めてきっちりした格好なのは流石だ。
「提督、お呼びでしょうか?夜間哨戒に出た川内さんからは特に・・・って、提督!?足を怪我されてるじゃないですか!?」
「ん?ああ、少し銃弾がかすっただけだ、心配するな。」
「銃弾がかすっただけって!そんな軽いものではないですよ!!すぐに救急車を!!」
「待て待て!本当に大丈夫だ。あれだ、救急箱とかあるか?」
「すぐにお持ちします!!」
ドタバタと走りさって少しすると、救急箱を持って来た。艦娘だらけの場所だが、きちんと人間用に用意していたのだな。
「手当てしますから、早くズボンを脱いで下さい!!」
そこまで焦るような怪我ではないのだがなぁ。制服のズボンは穴が開いて、血が滲んでしまったので廃棄だな。
「少し落ち着け、いくら人間が弱いからと言ってこれくらいで死ぬ事は無い。とりあえず自分で処置をしながら要件を説明するから、ちょっと深呼吸しろ。」
「す、すみません・・・」
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深呼吸をして一旦落ち着いた大淀だったが、すぐに奥で死んでいる暗殺者に動揺し、さらに自分が殺されかけた事を話した時にも、顔を真っ青にしていた。ちなみに怪我の手当ては別室で行い、ついでにズボンを履き替えておいた。
「・・・お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ございません。それで提督はどうされるおつもりですか?通常なら憲兵隊に連絡して対応して貰うものだと思いますが?」
「死んでいるから尋問も出来ないからなぁ。かと言って素直に憲兵隊に話をしたら、鎮守府内で起きた事件の捜査の為って言いながら、荒らされるだろうな。ついでに言えばこの件だけでなく、他の件の証拠隠滅に手を出すかも知れない。」
「ではどうされるおつもりですか?」
「うちの門番をしている憲兵達は久藤提督の傘下だ。話をつけるなら久藤提督だろう。」
「久藤提督ですか!?でも久藤提督が刺客を送り込んだ可能性もあるのでは!?」
「おそらくだがその可能性は低い。せっかく汚職事件が収まりそうな状況なのに、提督の暗殺なんて事件が起きれば騒ぎが大きくなる。あの人のメリットは低いだろう。大淀、久藤提督に連絡を繋げてくれ。」
まあ、可能性はゼロではないが、話を通さないとなるとこちらで隠蔽工作をするしかない。艦娘の力があればそれくらい可能だろうが、見付かった場合のリスクが大きすぎる。見張られている可能性もあるからな。
「分かりました・・・少々お待ち下さい。」
今回は流石に久藤提督も寝ているだろうから、取り次ぎに少し時間がかかっているな。時間は現在夜の2時だから、普通に考えたら電話するような時間では無いから仕方ない。
「提督お待たせしました。」
「ありがとう。」
さて、交渉を始めるか・・・
「もしもし、北九州鎮守府の葛原です。」
「こんな時間に電話とはなんのつもりだ?余程重要な要件なんだろうなぁ?」
「いえ、先程こちらにプレゼントが届きましたので、そのお礼をと思いまして。」
「はぁ!?なんの話だ!?ふざけてねぇでさっさと要件を言え!!」
「私の元に暗殺者を送り込んだのでしょう?なら交渉決裂ですので、宣戦布告のお電話ですよ。」
「暗殺者だと!?その話は本当か!?」
ふむ、この反応はやはり白か?
「ええ、先程襲われたばかりです。幸い撃退しましたので軽傷で済みましたが。」
「犯人は捕らえているのか!?捕らえているなら拷問でもして吐かせろ!!少なくとも俺は暗殺者を送ったりはしていない!!」
「やはりそうですか・・・試すような真似をしてすみません。申し訳ないですが、犯人は揉み合いとなった時に棚にぶつかってしまいまして、打ち所が悪かったようで即死しました。」
「てめぇ初めから俺の指示じゃねぇと読んでやがったな?」
「当然ですね。本当に依頼人だと思っているなら電話なんてしませんよ。」
そう応えると電話の向こうから大きなため息が聞こえてくる。こっちもそれ相応の緊張をしているのだから、こっちがため息を吐きたいくらいだが、まだ油断出来る状況ではない。
「まったく・・・かまかけて来るとは良い度胸だな。それで、犯人の心当たりはあるのか?」
「そうですね。本命が平川市長で対抗が鶴野提督でしょうか?平川市長はこちらを凄く恨んでいるようでしたので、そっちなら話が簡単なのですがね。」
「鶴野提督が候補に上がった理由はなんだ?」
「単純に利益の話です。もし私と久藤提督の取引が鶴野提督に伝わっていた場合、妨害の為に送り込んで来たというのが自然な流れかと。とりあえず明日平川市長を締め上げれば、どちらが犯人か分かるでしょう。」
「それで?わざわざ電話して来たんだ、何か用件があるのだろう?揉み消しか?」
流石に頭の回転が速いな・・・話がスムーズに進むのは悪くないが、敵としては厄介な奴だ。
「大事にしたくないのと、リスクを残したくないので。うちの鎮守府にいる憲兵隊だけで簡単に処理をして頂きたい。それならば一応憲兵隊の捜査が入ったと言い訳出来ますし。久藤提督のメリットとしては、大本営の憲兵隊が捜査に来れば、鶴野提督の傘下の憲兵も来るでしょう。その時に色々と探られるのは困るでしょうから、それを防げますよ。」
「分かった。そちらの憲兵に指示を出すから。さっさと遺体を片付けさせろ。」
「ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します。」
「ああ。上手くやれよ。」
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その後憲兵に犯人の遺体を引渡し、ほとんど捜査しないまま帰っていった。これでゆっくり眠れるな。
「提督、お疲れ様です。川内さんから報告です。夜間哨戒をしたところ、遠征の目的地の一つである資材溜まりに、敵艦の気配が多数あったとの事です。戦闘を避ける為に帰還するとの事です。」
「ご苦労様。明日に詳しい報告を聞くと伝えてくれ。流石に眠い・・・」
「分かりました。ではお休みなさい。」
「ああ、大淀も夜遅くまで働かせて悪かったな。ゆっくり休んでくれ。」
「はい、ありがとうございます。ですが念のために、応接室の隣で控えさせて下さい。提督に何かあっては困りますので。」
「・・・分かった。無理はするなよ。キツイなら別の誰かを呼んでも構わないからな。」
「はい、お任せ下さい。」
これでようやく眠れるな。鎮守府のセキュリティの強化も考えなくてはならないか・・・
問題はまだまだ山積みです。暗殺者の次は過労死が提督に襲いかかる!!
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!