疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お正月はゆっくりと執筆の時間が取れるので嬉しいですね。明日まではお休みなのでのんびりモードです。(内容はのんびりしてませんが)


59話

 春雨が退室してからしばらくすると、大淀がやって来た。連絡があった時間帯を考えれば、寝ていたところを起こしてしまったのであろうが、服装も含めてきっちりした格好なのは流石だ。

 

「提督、お呼びでしょうか?夜間哨戒に出た川内さんからは特に・・・って、提督!?足を怪我されてるじゃないですか!?」

 

「ん?ああ、少し銃弾がかすっただけだ、心配するな。」

 

「銃弾がかすっただけって!そんな軽いものではないですよ!!すぐに救急車を!!」

 

「待て待て!本当に大丈夫だ。あれだ、救急箱とかあるか?」

 

「すぐにお持ちします!!」

 

 ドタバタと走りさって少しすると、救急箱を持って来た。艦娘だらけの場所だが、きちんと人間用に用意していたのだな。

 

「手当てしますから、早くズボンを脱いで下さい!!」

 

 そこまで焦るような怪我ではないのだがなぁ。制服のズボンは穴が開いて、血が滲んでしまったので廃棄だな。

 

「少し落ち着け、いくら人間が弱いからと言ってこれくらいで死ぬ事は無い。とりあえず自分で処置をしながら要件を説明するから、ちょっと深呼吸しろ。」

 

「す、すみません・・・」

 

――――――――――――――――――

 

 深呼吸をして一旦落ち着いた大淀だったが、すぐに奥で死んでいる暗殺者に動揺し、さらに自分が殺されかけた事を話した時にも、顔を真っ青にしていた。ちなみに怪我の手当ては別室で行い、ついでにズボンを履き替えておいた。

 

「・・・お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ございません。それで提督はどうされるおつもりですか?通常なら憲兵隊に連絡して対応して貰うものだと思いますが?」

 

「死んでいるから尋問も出来ないからなぁ。かと言って素直に憲兵隊に話をしたら、鎮守府内で起きた事件の捜査の為って言いながら、荒らされるだろうな。ついでに言えばこの件だけでなく、他の件の証拠隠滅に手を出すかも知れない。」

 

「ではどうされるおつもりですか?」 

 

「うちの門番をしている憲兵達は久藤提督の傘下だ。話をつけるなら久藤提督だろう。」

 

「久藤提督ですか!?でも久藤提督が刺客を送り込んだ可能性もあるのでは!?」

 

「おそらくだがその可能性は低い。せっかく汚職事件が収まりそうな状況なのに、提督の暗殺なんて事件が起きれば騒ぎが大きくなる。あの人のメリットは低いだろう。大淀、久藤提督に連絡を繋げてくれ。」

 

 まあ、可能性はゼロではないが、話を通さないとなるとこちらで隠蔽工作をするしかない。艦娘の力があればそれくらい可能だろうが、見付かった場合のリスクが大きすぎる。見張られている可能性もあるからな。

 

「分かりました・・・少々お待ち下さい。」

 

 今回は流石に久藤提督も寝ているだろうから、取り次ぎに少し時間がかかっているな。時間は現在夜の2時だから、普通に考えたら電話するような時間では無いから仕方ない。

 

「提督お待たせしました。」

 

「ありがとう。」

 

 さて、交渉を始めるか・・・

 

「もしもし、北九州鎮守府の葛原です。」

 

「こんな時間に電話とはなんのつもりだ?余程重要な要件なんだろうなぁ?」

 

「いえ、先程こちらにプレゼントが届きましたので、そのお礼をと思いまして。」

 

「はぁ!?なんの話だ!?ふざけてねぇでさっさと要件を言え!!」

 

「私の元に暗殺者を送り込んだのでしょう?なら交渉決裂ですので、宣戦布告のお電話ですよ。」

 

「暗殺者だと!?その話は本当か!?」

 

 ふむ、この反応はやはり白か?

 

「ええ、先程襲われたばかりです。幸い撃退しましたので軽傷で済みましたが。」

 

「犯人は捕らえているのか!?捕らえているなら拷問でもして吐かせろ!!少なくとも俺は暗殺者を送ったりはしていない!!」

 

「やはりそうですか・・・試すような真似をしてすみません。申し訳ないですが、犯人は揉み合いとなった時に棚にぶつかってしまいまして、打ち所が悪かったようで即死しました。」

 

「てめぇ初めから俺の指示じゃねぇと読んでやがったな?」

 

「当然ですね。本当に依頼人だと思っているなら電話なんてしませんよ。」

 

 そう応えると電話の向こうから大きなため息が聞こえてくる。こっちもそれ相応の緊張をしているのだから、こっちがため息を吐きたいくらいだが、まだ油断出来る状況ではない。

 

「まったく・・・かまかけて来るとは良い度胸だな。それで、犯人の心当たりはあるのか?」

 

「そうですね。本命が平川市長で対抗が鶴野提督でしょうか?平川市長はこちらを凄く恨んでいるようでしたので、そっちなら話が簡単なのですがね。」

 

「鶴野提督が候補に上がった理由はなんだ?」

 

「単純に利益の話です。もし私と久藤提督の取引が鶴野提督に伝わっていた場合、妨害の為に送り込んで来たというのが自然な流れかと。とりあえず明日平川市長を締め上げれば、どちらが犯人か分かるでしょう。」

 

「それで?わざわざ電話して来たんだ、何か用件があるのだろう?揉み消しか?」

 

 流石に頭の回転が速いな・・・話がスムーズに進むのは悪くないが、敵としては厄介な奴だ。

 

「大事にしたくないのと、リスクを残したくないので。うちの鎮守府にいる憲兵隊だけで簡単に処理をして頂きたい。それならば一応憲兵隊の捜査が入ったと言い訳出来ますし。久藤提督のメリットとしては、大本営の憲兵隊が捜査に来れば、鶴野提督の傘下の憲兵も来るでしょう。その時に色々と探られるのは困るでしょうから、それを防げますよ。」

 

「分かった。そちらの憲兵に指示を出すから。さっさと遺体を片付けさせろ。」

 

「ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します。」

 

「ああ。上手くやれよ。」

 

――――――――――――――――――

 

 その後憲兵に犯人の遺体を引渡し、ほとんど捜査しないまま帰っていった。これでゆっくり眠れるな。

 

「提督、お疲れ様です。川内さんから報告です。夜間哨戒をしたところ、遠征の目的地の一つである資材溜まりに、敵艦の気配が多数あったとの事です。戦闘を避ける為に帰還するとの事です。」

 

「ご苦労様。明日に詳しい報告を聞くと伝えてくれ。流石に眠い・・・」

 

「分かりました。ではお休みなさい。」

 

「ああ、大淀も夜遅くまで働かせて悪かったな。ゆっくり休んでくれ。」

 

「はい、ありがとうございます。ですが念のために、応接室の隣で控えさせて下さい。提督に何かあっては困りますので。」

 

「・・・分かった。無理はするなよ。キツイなら別の誰かを呼んでも構わないからな。」

 

「はい、お任せ下さい。」

 

 これでようやく眠れるな。鎮守府のセキュリティの強化も考えなくてはならないか・・・




 問題はまだまだ山積みです。暗殺者の次は過労死が提督に襲いかかる!!

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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