疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は食事回ですが、あまりほのぼのではない感じですね・・・忙しいから仕方ない・・・


60話(4日目)

コンコンコン

 

「提督、起きていらっしゃいますか?」

 

 大淀の呼び掛けで目が覚める。人の気配で目覚めないとは、やはり疲れが残っているか・・・時間は7時、憲兵隊は9時に来る約束だから、今から準備すれば問題無いだろう。

 

「今起きたところだ。準備をしたら食堂に行くから先に行ってくれ。」

 

「分かりました。先に行ってますね。」

 

 とりあえず今日は平川市長との件を片付けるのと、川内が昨日言っていた深海棲艦の調査、出来ればその殲滅までやりたいところだ。これだと座学のテストは明日に回したほうが良いかも知れないな。

 

――――――――――――――――――

 

 食堂に着くとやはり起きるのが遅かった為、艦娘達は食事を済ませた者もちらほらいるようだ。流石に4日目にもなると、食事中に畏まった挨拶は不要だという事が浸透してきたのか、食事中の者は急いで立ち上がって敬礼するような事はなくなった。席に座ったまま敬礼したり、声をかけてきたり、黙って頭を下げる等の個性が出始めている。それらに軽く応対しながら間宮の元に向かって、朝食を貰いに行く。

 

「提督さん、おはようございます。今日は少しお疲れのようですね・・・昨夜はあまり眠れなかったのですか?」

 

「いろいろとあったからな。しかしこの程度で泣き言は言っていられないからな。気にするな。」

 

「あまり無理はなさらないで下さいね?」

 

「体調の管理くらいは自分でやるさ。いざという時に動けませんじゃ話にならないからな。ふむ、今朝は煮物メインの和食か、楽しみだな。」

 

「ありがとうございます。しっかり食べて元気になって下さいね。」

 

 間宮に礼を言って座る場所を探そうとすると、川内がフラフラしながらこっちに来た。

 

「ふぁ~提督・・・食事中に悪いけど・・・昨日の報告させてくれないかな?提督が起きるの待ってたから眠たくて・・・」

 

「分かった、無理をさせて悪かったな。」

 

 川内に連れられて食堂の隅に行くと、大淀と長門が居て周囲の席には誰も座らないように配慮されていた。二人とも食事を済ませたらしく、机には地図が用意されていて、準備万端と言ったところか。

 

「遅くなった。では報告を聞かせてくれ。」

 

 簡易的な報告会を始めると、大淀が地図を指差しながら説明をしてくれる。

 

「時間も限られていますし、手短にお伝えしますね。先日戦闘があった場所からさらに奥に進むと、普段遠征で使用していた資材溜まりがあるのですが、その付近で川内さんが多数の敵艦隊の気配を感じたそうです。戦闘は厳禁でしたので詳細は調べられませんでしたが、それなりに大きな艦隊だと思うので、改めて空母を含めた偵察部隊を編成するべきかと思います。」

 

 資材溜まりに敵艦隊か・・・自然と資材が溜まっていく場所の事を資材溜まりと呼び、そういう場所から遠征任務等で回収する事で、鎮守府の運営を行うものだ。一応鎮守府も一種の資材溜まりとなっていて、少しずつだが資材が増えていくものだが、それだけで艦隊を維持するのは困難だろう。基本的に資材溜まりは小さな島になっていて、深海棲艦の発生以前には確認されていなかった島も多数報告されている。例外として海底に溜まるポイントもあって、そういう場所には潜水艦が向かうのが一般的だ。この資材が溜まっていく現象については未だに解明されていないが、深海棲艦が拠点にすると、資材が多く溜まっている事が多いという報告もある。そのため深海棲艦も同じ資材を使っていて、拠点にした場所に資材を輸送しているのではないかと言われている。

 

「なるほど・・・うちもそろそろ資材の確保をしたいから、資材が豊富そうな拠点は魅力的だが、深海棲艦の勢力が未知数なのが怖いな。」

 

「あ~、提督、かなり大規模そうだったし、厄介な相手だと思うよ・・・この前よりかなり数も多そうだったし。」

 

 この前より多いか・・・川内の感覚を信じるならばかなりの強敵だな。

 

「それは厄介な話だな。前回でもうちの鎮守府としてはかなりの戦力を投入したからな・・・」

 

「提督、一ついいか?」

 

「長門、どうした?」

 

 長門は少し言いづらそうにしていたが、意を決して顔を上げた。

 

「情けない話ではあるが、他の鎮守府に増援を頼む事は出来ないのだろうか?無理に我々だけで対処するべきでは無いと思うのだが。」

 

「それも視野に入れているが、せめて偵察をして敵の勢力をある程度確認してからだな。よく分からないけれど敵が居るので援護してくださいなんて言っても、絶対に相手にされないからな。」

 

「それもそうだな。少し弱気になりすぎたようだ。すまない。」

 

「気にするな。慎重になるのは指揮官としては良い事だ。特に今の鎮守府の内情ならば不安にもなる。とりあえず今日は鳳翔を旗艦として、偵察部隊を派遣する。随伴艦は龍田と暁型姉妹にする。ただし航空機での偵察が目的だ。相手が反撃するようならば、即座に撤退しろ。その後の対応は私が平川市長の元から戻ってから対応する。大淀と長門は私が居ない間の留守は任せる。一応連絡要員として一人連れていくつもりだ。」

 

「分かりました。それではそのように手配します。それで誰を連れていかれるおつもりですか?」

 

「出来れば春雨を連れて行きたい。」

 

「春雨ですか!?」

 

 大淀がかなり驚いた顔をする。昨夜深海棲艦化した事は伝えていないが、昨夜春雨が暗殺者から助けてくれた話はしたし、暗殺者が首を折って即死していたので、大淀も思うところがあるだろう。昨日は深くは聞かずにいてくれたが、気になっていない訳はない。長門も驚いてはいるようだが、口出しをするつもりは無いようだ。川内はもう半分眠っているみたいだな・・・

 

「これは本人の意思を確認してから決めようと思う。それと川内、疲れているだろうからもう休んで良いぞ。」

 

「はっ!あ、ありがとう提督。おやすみなさい。」

 

「ああ、おやすみ。」

 

 フラフラと川内が去っていくのと入れ替わりに、春雨がやって来た。大淀が名前を叫んだので気になったようだ。

 

「その、提督、おはようございます。えっと私の名前を呼ばれたようですが、何かご用でしょうか?」

 

「ちょうど良い、今日私は外出するのだが、連絡要員としてついて来て欲しい。頼めるか?」

 

「ふぇ!?わ、私ですか?わ、私でよろしければお供します、はい。」

 

 若干顔を赤らめながら承諾してくれた。とりあえずこれで朝の指示出しは終わりだな。

 

「では春雨で決まりだな。では偵察部隊の編成の準備が整い次第出発してくれ。他の艦娘達は有事に備えて、いつでも動けるようにしておいて欲しい。では後は頼んだぞ。春雨は9時に憲兵隊が来る予定だから、10分前には正門に来てくれ。」

 

「「「はい!」」」

 

 大淀と長門が立ち上がって敬礼し、指示を出しに行く。春雨は食事の途中だったようで姉妹達の元に戻り、他の姉妹から質問攻めにあっているようだ。さてと、これでようやく落ち着いて朝食を食べる事が出来る。この美味い食事だけが、鎮守府内で唯一の楽しみだ。ありがたく頂くとしよう。




 次回ようやく待ちに待った平川市長との決着編になりそうです。ここまで長かった・・・

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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