疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 気がつけばいつの間にかUA30万突破しておりました!皆さんの応援に感謝しております。そんな記念すべき回は、平川市長との決着となりました。もちろんドロドロした内容ですので、覚悟を決めて読まれて下さい。


61話(艦娘奪還)

 正門前で待っていると、春雨が艤装を背負って走って来た。今回は連絡要員なので主砲や魚雷等の武装を外した状態だ。

 

「て、提督、お待たせ致しました、はい。」

 

「まだ時間まで余裕がある。少し今日の予定を話しておこう。昨日も言ったが、今から平川市長のところに憲兵隊と一緒に行って、平川市長の逮捕と売られた艦娘達の保護をする。基本的には憲兵隊が全て手筈を整えてくれているから、私はその確認と艦娘達への指示だけで十分だ。春雨には連絡要員としてついて来て貰うのと同時に、万が一の場合に備えて、護衛の役割も果たして欲しい。」

 

「護衛・・・ですか・・・」

 

「ああ、そうだ。今回に関しては人間が相手だ。だから他の艦娘には難しい仕事だ。だから春雨の力を貸して欲しい。ただしこれは人を殺せと言う意味ではないから勘違いしないでくれ。だから力の使い方には十分注意が必要だ。それに春雨が人を攻撃出来るという事実は極力隠したい。だから春雨が護衛として働くのは、本当に追い詰められた時だけだ。」

 

「分かり・・・ました・・・私の力が、悪雨ちゃんの力が提督のお役に立てるなら・・・大丈夫です、はい。」

 

 それでもやはり不安なのだろう。昨夜人に手を出してしまったばかりなのに、無理をさせ過ぎてしまっただろうか・・・

 

「・・・流石に無理を言い過ぎたか。過度な負担になるのであれば、私の本意ではない。誰かと代わって貰うか?連絡要員としてならば他の者でも良いのだが・・・」

 

「い、いえ!その・・・提督は今から危ない所に行くのですよね?」

 

「一応事前に上手くいくように準備は整えたが、それでも何が起こるかは分からない。だから危険な場所かも知れないな。」

 

「だったら私が護衛の任務頑張ります!その、提督が死ぬのは嫌ですから、はい。」

 

 まっすぐこちらを見つめてくる瞳には、強い意思が感じられる。信頼を込めて軽く頭を撫でると、春雨はとても良い笑顔になった。これならば大丈夫そうだな。

 

「ならば護衛も含めて宜しく頼む。」

 

「お任せ下さい、はい!」

 

 ちょうど憲兵隊の車両が数台鎮守府の前に停車した。さて、大仕事の仕上げに行くとしよう。

 

 

 

「ふっふっふ。話は聞こえませんでしたが、これは良いものが撮れました!さっそく記事の準備をしなくては!!」

 

――――――――――――――――――

 

 憲兵隊の護送用の車両に乗って平川市長の私邸に着いた。この車両なら今日返還される艦娘達も乗れるから、まとまって行動出来るような配慮がされているのだろう。私邸の前を手際良く封鎖して、私邸に乗り込んで行く憲兵隊の後をついて行くと、平川市長の私室で平川市長が取り押さえられたのか、大声で叫んでいるのが聞こえて来た。

 

「な、なにをするか無礼者!!わしを誰だと思っておるのだ!?わしに手を出せば久藤提督が黙っておらんぞ!?」

 

 憲兵隊はその言葉を無視して、淡々と手錠をかけた平川市長を引き摺り出して来た。平川市長はこの時間にも関わらず寝間着姿で本当に無様な様子だった。そして自分と目があった瞬間に顔が青ざめてた。

 

「な、なぜ貴様がここにいる!?いったいどういう事だ!?」

 

「なぜも何も今日お伺いする予定でしたよね?私が生きていることがそんなに不思議ですか?」

 

「馬鹿な!?あ、いや、こ、これはいったいどうなっておるのだ!?なぜわしが逮捕されなくてはならんのだ!?話が違うであろうが!?わしはきちんと艦娘達を集めてやっておるのだぞ!!」

 

 はぁ・・・この反応は尋問するまでもなく、暗殺者を送り込んで来たのは平川市長で間違いなさそうだな。鶴野提督かもと警戒していたのが馬鹿みたいだ。

 

「これで提督暗殺未遂も確定ですね。」

 

 なおも騒ぐ平川市長を憲兵隊が黙らせて、艦娘達の居場所に案内して貰う。憲兵隊は事前に場所を把握していたようで、スムーズに隠し部屋へと入って艦娘達を発見した。

 

「これは酷いな・・・」

 

 そこにいた艦娘達の多くは傷だらけで、特に漣・朧・潮の傷が酷かった。艤装を付けて無い状態でも、人間よりはかなり丈夫な艦娘達だが、その代わり入渠しなくては傷が治らないというデメリットがある。艦娘達は人が入って来てもほとんど反応せず、せいぜい目線をこちらに向ける程度だった。

 

「球磨達になんの用事クマ?」

 

 唯一ほとんど損傷の無い球磨が代表で尋ねてきた。かなり疲労はしているようだが、まだまともに話せそうか。

 

「まずは自己紹介をさせてくれ。北九州鎮守府に新しく着任した葛原だ。今日は不正に売られていた艦娘達の保護に来た。お前達は全員北九州鎮守府の所属で間違いないか?」

 

「球磨達は全員北九州鎮守府の所属で間違い無いクマ。新しい提督クマ?前の提督はどうしたクマ?」

 

「前任者は死んだ。とにかく全員鎮守府に連れ帰って入渠させる。ついて来い。」

 

 そう言うと艦娘達がのろのろと立ち上がったが、漣達は自力で立てないようだ。球磨が近寄って手助けをして、漣に肩を貸している。

 

「春雨、朧と潮の手助けをしてくれ。」

 

「はい!」

 

 その後平川市長の私邸を出て、護送車に乗せて行った。人員の確認を済ませたので、春雨を連れて憲兵隊の責任者の元へと報告に行く。

 

「艦娘達は全員護送車に乗り込みました。ご協力ありがとうございます。」

 

「了解しました。最後に平川市長に会って貰えますか?」

 

「ん?分かりました。」

 

 憲兵隊の責任者が嫌な笑顔を見せた事で、かなり警戒心を抱いたが、すぐに平川市長が引き摺られて来た。かなり騒いでいたが、耳打ちをされて少し大人しくなったので、さらに警戒する。平川市長は手を後ろで拘束されているので、たいした事は出来ないはずだが・・・

 

「貴様!!この恨みは絶対に忘れないからな!覚悟しておけ!!」

 

 そう言うと平川市長は体当たりで憲兵を突飛ばしドタドタと逃走を始めた。いや、この状態だとすぐに捕まるだろ・・・すると憲兵隊の責任者が拳銃を取り出して追い掛け始める。・・・そういう事か・・・

 

「春雨、こっちに来い。」

 

「あ、はい。」

 

 春雨を近くに呼んで、春雨の目を手で覆う。こんな人間の汚い部分を見る必要も無いだろう。

 

「止まれ!!それ以上逃げるなら撃つぞ!!」

 

 平川市長の足元に威嚇射撃をしながら、憲兵隊の責任者が叫ぶが平川市長は止まる様子は無い。おそらく平川市長は逃げる手筈を整えているとでも言われたのだろう、そしてこの流れも演技だと思い込んでいるのだろうな・・・

 

パンパンパン!!

 

 銃声が鳴り響き平川市長が倒れる。頭に一発と背中に二発、まず助からない。倒れた平川市長に憲兵隊が駆け寄るのを背に、責任者が戻って来た。

 

「お見苦しい所をお見せしてしまって申し訳ございません。」

 

「逃走されたのであれば致し方ない措置です。では我々は鎮守府へと戻ります。」

 

「分かりました。護送車を出すように伝えます。」

 

 春雨と共に護送車に乗って鎮守府へと帰還する。やはり人間の悪意が一番恐ろしいものだな。




 とりあえず。当初予定していた話までは終わった感じです。途中で色々と思い付いた話を入れたので、かなり長くなりました。物語的には一つの山場を越えましたが、目の前には険しい山脈が待ってる感じですかね?これからも応援頂けると有難いです。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
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  • 第六駆逐隊
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  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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