「提督、配送業者の代表の方をお連れしました」
「入れ」
大淀に案内されて入って来たのは背が高くかなり鍛え上げられた男性だった。自分もそれなりに背が高いほうだが、彼のほうが高いとすぐにわかるくらいだ。電話の声でも感じていたが、代表を務めるにしてはかなり若く、おそらく30代前半といったところか?
「さきほどお電話でご挨拶させて頂きました真柴です。食材や日用品なんかはうちで大概ご用意出来ますんで、今後とも宜しくお願いします。」
「改めまして新任の葛原です。今回は急な配送の依頼に応えて頂きありがとうございます。今後ともどうぞ宜しくお願いします。」
「なんのなんの、腹が減っては戦も出来ませんからね。それにしても随分と若い方ですねぇ、電話での雰囲気が落ち着いていらっしゃったので、もっと年上の方かと思ってましたよ。」
「若いとはいえ提督という責任ある立場ですので、あまり無様な姿は晒せませんよ。」
若さで舐められる訳にはいかないと多少の圧を込めて言ってみたが、真柴さんは興味深そうにニヤリと笑う。
「これは本当に良い提督さんが来られたようだ。ご安心下さい私達は商人です。お客様が求める物を売ってお金を貰う、そこがぶれない限り相手が誰であろうと関係ありません。特にお得意様なら多少の無茶はこなしてみせますよ。」
「とても頼もしいお言葉だ。今後とも頼りにさせて頂きます。そこでさっそく頼りにさせて頂きたいのですが。」
「ほほう、お話を聞きましょう。」
「うちの艦娘達は布団すら与えられて無い状態だったようで・・・なんとか人数分の布団を揃えてあげたいのですが、40人分なんとかなりますか?」
「なるほどなるほど、国を守ってくれる娘達を床で寝かせるなんて酷い話ですなぁ。ふーむ・・・特急料金上乗せして貰えるならば、今夜にも届けてみせますがいかがでしょう?」
「交渉成立ですね、料金は食材同様明石のほうに請求書を出しておいて下さい。では今後とも頼りにさせて頂きます。」
お互いにニヤリと笑いながら握手を交わす。流石に今日中には無理かと思っていたので、仕事が速くて助かる。
「こちらこそ宜しくお願いします。金払いの良いお客様にはしっかりサービスさせて貰いますよ。それでは急いで準備しますのでこれで。」
そう応えて真柴さんは会議室から退室していく、大淀に目線を送ると敬礼をして真柴さんの案内を請け負ってくれる。問題が一つ想定より早く解決したことに気分を良くしながら大淀の用意した資料に目を通していく。
――――――――――――――――――
駆逐艦 14名
島風 雪風 暁 響 電 雷
白露 時雨 夕立 春雨
吹雪 睦月 如月 曙
軽巡洋艦 5名
川内 天龍 龍田 夕張 大淀
重雷装巡洋艦 2名
北上 大井
重巡洋艦 3名
鈴谷 熊野 青葉
軽空母 1名
鳳翔
正規空母 4名
赤城 加賀 瑞鶴 翔鶴
戦艦 3名
長門 陸奥 大和
高速戦艦 4名
金剛 比叡 榛名 霧島
潜水艦 2名
伊168 伊19
工作艦 1名
明石
給糧艦 1名
間宮
練度については別紙にて
――――――――――――――――――
やはり戦艦や正規空母に偏っているな、駆逐艦ももう少し欲しいが、軽巡と重巡の数が少ないのも問題だな。事務仕事メインの大淀と開発メインの夕張は戦力としてあまり使えないため、軽巡は3名だと考えると結構キツイ。重巡も少し火力が欲しい時に便利で、状況次第で選べる装備の幅が広いのがメリットなのだが・・・まあ、無い物ねだりしても仕方がないので、このメンバーで運用を考えるしかないな。
「失礼する。遠征と哨戒の計画を作成したので確認して欲しい。それと相談なのだが・・・」
会議室に入って来た長門が気まずそうに話を切り出そうとする。
「大淀から聞いたが備品の件か?」
「そうなのだ、艦娘寮にはほとんど備品が無くてな、駆逐艦達には布団すら与えられず床で寝る娘も多く流石に不憫でな。提督は我々の待遇を改善して頂けると約束して下さった!ならば」
長門がこちらを説得しようとしてきたが、その件はもう終わった話だ。手で話を遮ったら長門が焦った顔で押し黙った。
「まだ大淀から連絡がいってないようだが、布団については手配を済ませている。今夜中になんとか出来ると言っていたから、納品されたらすぐに配れるようにしておけ。その他の備品に関してはリストを作成して持ってこい。」
そう伝えると一瞬狐に摘ままれたような顔をしていたが、安心したようだ。
「ありがとう提督。これで駆逐艦の娘達に辛い思いをさせずに済む。その・・・予算とかは大丈夫なのだろうか?前任者はお前達に使う金など無いと言っていたが・・・」
「前任者が浪費や賄賂に使ってただけだろ。とりあえず前任者が残した金がそれなりにあるし、深海棲艦と戦闘があれば国から報奨も貰える。あまり贅沢はさせられないが、必要な物はきちんと購入するつもりだ。」
「そうか、それなら安心出来る。提督は我々を人間として扱ってくれるのだな。」
「ん?悪いがお前達艦娘を人間として見ることは出来ない。」
そう正直に伝えると安心と多少の信頼が混ざりあった表情が凍りつく。こういう認識については誤魔化すと後々大きな問題になりかねないので、早めに伝えておきたい。
「・・・そうか、やはり我々は兵器なのだな。」
「それも違う。お前達艦娘は艦娘だ。私にはどうして人間か兵器かで分けようとするのかが分からんくらいだ。」
「・・・すまない、言っている意味がよく分からないのだが・・・」
「例えばカモノハシという動物がいる。一応哺乳類に分類されるが、平たい嘴を持ち子供を卵で産む。つまりは鳥類の特徴を合わせ持っている。どう分類すべきか悩んで、結局卵生を持つ非常に珍しい哺乳類ということになった。しかし哺乳類としても鳥類としても違和感しか感じない生き物だ。つまりは既存の分類で分けようとすると矛盾が生じてしまうのだ。」
前々から考えていた持論だが、長門は唖然としているだけだ。この例えは分かりにくいのだろうか?
「つまり艦娘を人として考えた場合、艤装や建造など兵器としての特徴と矛盾する。しかし兵器として考えた場合、意思を持って行動し人間と同じ感情があるところに矛盾が生じてしまう。だから私は艦娘は艦娘としてしか分類出来ないと考えている。」
「つまり我々は兵器でも人間でもないと?だが艦娘として扱うとはどうなるのだ?」
「そこをはっきりと決めるには人間は艦娘のことを知らなさ過ぎる。艦娘が現れてからたったの十年しか経っていないからな。」
「ならばせめて提督が我々をどう感じているのかを教えてくれ。」
「ふむ、個人的な考えで言えば軍人という言葉が一番近いだろうか?精神的には人だが軍人として戦う定めにあるし、軍の一員として国を守り規律ある行動が求められる。だから轟沈すると分かっていても、命令を出さなければならない時が来るかも知れない。まあ無駄に沈める気は一切無いが。」
「ありがとう、なんとなく提督の考えは分かった。とりあえず軍人として扱って貰えるなら本望だ。この命提督に預けよう。」
そう言って笑う長門の表情を見ると、どうやら迷いは吹っ切れたようだ。余計な迷いは戦場で死をもたらす。早めに潰せて良かった。
「それにしても提督は独特の考えを持っているんだな。」
「私自身は合理的な考えだと思っているのだがな。どうにも周りとは合わないらしい。
話は終わりだ。遠征と哨戒の計画書を見させて貰おう。長門には引き続き備品のリストを作成して貰う。」
「任された。今回の話を他の艦娘達にも伝えて構わないだろうか?皆とても不安に思っているのだが?」
「そこは任せる。好きにしろ。」
「ありがとう提督。それではリスト作成の任に戻る。」
これで艦娘達が理解してくれれば良いのだが、どうなるかは全く読めないな。
わりと無理矢理なカモノハシのお話は、どこかで入れたかったやつです。だって思い付いてしまったのだから。
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
-
主人公葛原提督率いる問題児四天王
-
大淀
-
長門・陸奥
-
第七駆逐隊
-
川内・神通
-
明石・夕張・間宮・鳳翔
-
第六駆逐隊
-
北上&大井
-
青葉&衣笠
-
金剛姉妹
-
伊19・伊168
-
赤城&加賀
-
翔鶴&瑞鶴
-
白露型姉妹
-
島風&雪風
-
天龍&龍田
-
龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
-
朝潮・木曾・陽炎・不知火
-
叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
-
俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!