曙と共に私室で待っていると大淀がやって来た。
「提督、どうされましたか?」
「今曙と話をしてな、大淀にもきちんと話しておこうと思ってな。」
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それから曙の補足を受けながら、曙の過去について話をした。大淀は秘書艦としてやはりショックな内容だったが、さすがに曙を責めるような真似はしなかった。
「それで曙さんは罰を求める為に提督の元を訪れて、自分を解体して欲しいと言ったのですね?」
「ああ、だが私としては曙に非があるとは思えなかったので、規律を守る為にもそれは出来ない。しかし何も無しでは曙が納得しなくてな。妥協案として曙には厳しい仕事を任せる事で、罰の代わりとする事になった。」
「厳しいお仕事ですか?」
「ああ、曙には大淀の下で秘書艦の補佐をさせようと思う。」
「秘書艦の補佐ですか!?」
まあ、大淀が驚くのも無理は無いか。今まで大森提督の指示で汚職に加担させられていた者を、補佐とは言え秘書艦に抜擢しようと言うのだ。
「曙本人の意思は確認済みだ。曙が秘書艦にトラウマを持っている事も承知している。それでも前に進む為にもやらせてみようと思っている。」
「大淀さん、私頑張るから。お仕事を教えて下さい。」
深々と頭を下げて大淀に頼み込む曙。士官学校時代に見た曙は常にツンツンしていて、こんなに素直に頭を下げるイメージはなかったが、本来真面目な性格だしそれ相応の覚悟を持っているのだろう。
「そ、それは・・・その・・・提督、私が何か至らない事をしてしまったのでしょうか?」
「ん?なぜそんな話になる?」
「その・・・急に曙さんを秘書艦にするなどと言われたもので・・・私は秘書艦の仕事に責任を持って取り組んでいます!戦場ではお役に立てない私が唯一活躍出来る場所なんです!!この鎮守府こそが私の戦場なんです!!葛原提督が着任されてようやくまともにお仕事が出来て、私が全力で支える事が出来る提督に巡り合えたのに・・・今度こそ仲間を守ると決めたのに、私はこの仕事を奪われてしまうのですか!?私が春雨さんを庇おうとしたから信用を失ったのですか・・・?」
急に泣き出しながら大淀が取り乱し始めた。普段は冷静な対応をしていただけに、かなり意外な反応だ。
「待て待て、大淀を秘書艦から外すなんて言っていないぞ!?曙はあくまでも補佐だ。大淀の仕事に不満は無い。だが秘書艦はハードな仕事だから、補佐くらいは付けたいとも思っていただけだ。書類関係に電話対応に来客対応、さらには出撃や遠征の管理と通信、敵襲時の対応やその他雑事等仕事が多すぎる。深夜に急に呼び出す事もあるのだから、満足に睡眠が取れるかも怪しい仕事だぞ?」
「私は艦娘です!!人よりも強い体を持っています。他の艦娘の皆さんだって、数日かけて遠征する事だって可能です。もちろんお仕事は忙しいですが、それは秘書艦として責任を持ってやる事です。ですからどうか私から秘書艦の仕事を奪わないで下さい・・・」
「だから秘書艦は変えないで、補佐を付けると言っているだけなのだが・・・」
まさかここまで反対されるとは思わなかった。秘書艦の仕事にここまで責任感を持ってくれているのは嬉しいが、補佐を付ける事に過敏に反応しているのは困ったな・・・
「見たか曙?大淀はこれだけの覚悟を持って秘書艦をやってくれている。補佐とは言え秘書艦の仕事の重要さは理解出来たか?」
「ええ、大淀さんのこんな姿は初めて見たわ。提督の言ってた通り、秘書艦の仕事は大変なものだって分かったわ。でも私も引く気は無いわ!!せっかくやり直せるチャンスを貰ったのだもの。雑用でもなんでもやってやるわ!!」
「一応言っておくが、曙は専任で秘書艦の補佐をやらせるつもりはないからな?曙には出撃や遠征にも出て貰わないと困るからな?」
「ええ、分かったわ。それも仕事ならきちんとやるわ!!」
曙の方も譲る気は一切なしか。やる気に満ちているからには、有効に活用したいものなのだが。
「大淀、落ち着いて考えて欲しい。今うちの鎮守府で中核を担っているのは誰だ?」
「そうですね・・・秘書艦としての私、軍事関係や艦娘達の取り纏めをしている長門さん、工廠と資材の管理や物資の買い付け等をしている明石さんでしょうか?」
「食事関係を担っている間宮もだな。そして長門には陸奥がいるし、明石には夕張がいる。間宮も今日の昼は吹雪達に手伝って貰っていたし、夜は鳳翔や翔鶴に手伝って貰ったと言っていた。だから他の艦娘達に頼る事は悪い事では無い。むしろ仕事を円滑に進める為には、時には人手が必要な場合もある。」
「そ、それは・・・そうですが・・・」
「さらに言えば曙は大淀の下で仕事をするのだから、大淀が管理をする必要がある。曙がどれだけの能力があって、どの仕事を任せられるかの判断をして、大淀の指示で仕事をさせるのだ。だから曙の行動に大淀が責任を持つ必要がある。もちろん私が直接指示を出す場合もあるが、それは私が大淀の上にいるからで、その責任は私が負うべきものだ。組織を上手く機能させるには、人を上手く使う必要がある。むしろ大淀は秘書艦としてそういう能力が求められていて、普段は出来ているではないか?だから曙も秘書艦の補佐として上手く使ってやれ。」
「・・・分かりました。提督がそこまで言われるのであれば期待に応えてみせます。曙さん、宜しくお願いしますね。」
「こちらこそ宜しくお願いします。」
これでようやく話がまとまったようだな。
「では大淀、曙の教育も含めて任せたぞ。それと曙にはあれを渡しておこう。」
数少ない私物の中から一冊の本を取り出す。
「これは?」
「士官学校時代の教本だ。提督としての職務について、戦闘指揮から書類関係まで全て載っている。まずはこれで勉強して、秘書艦としての基礎を学んでおけ。」
「はっ!!」
「では話は以上だ。明日からもまた頼むぞ。」
「「はい!!失礼します!!」」
ふぅ・・・なんとかなったようだな。これでやっと眠ることが出来るな・・・
前回事件の予告をしていたら、思ったよりも反響があって驚きました。大丈夫、事件はひとまず解決です。
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!