疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 やっと5日目。今日もやる事が一杯ですね。


75話(5日目)

 窓の外から聞こえる鳥の鳴き声で目が覚める。昨日は疲れてすぐに寝てしまったが、わりと早めに寝れたので今朝はかなり調子が良い。やはり睡眠は健康を維持するのに重要な要素だな。いつ敵襲があるか分からない以上、休める時に休んでおくのも仕事のうちだ。着替えなどの支度をしていると、扉の向こうから人の気配を二人分感じる。いつもの如く大淀が来たのと、おそらくは曙だろう。

 

コンコンコン

 

「提督、起きていらっしゃいますか?」

 

「ああ、おはよう。」

 

「朝食の準備が整っていますがどうされますか?」

 

「身支度は整っているからすぐに行こう。」

 

 扉を開けると大淀の隣に曙が待機していた。少し眠そうなのは、昨日渡した教本を夜遅くまで読み込んでいたのだろう。

 

「て、提督、おはようございます。」

 

「ああ、おはよう。少し疲れているように見えるが、昨日渡した教本で勉強していたのか?」

 

「ええ、秘書艦補佐として勉強しないといけないことが多いから。」

 

「それは構わないが無理はするなよ?曙の仕事は秘書艦の補佐だけではない。いざと言うときに疲れて出撃出来ないなんて事にならないように気を付けろよ?」

 

「分かったわ!」

 

 なんだかここまで素直な曙というのも違和感があるな。士官学校時代に見た曙なら「当たり前でしょ!!馬鹿にしないで!!」とか言いそうなものだが・・・やはり艦娘も環境次第で性格が変わるのだろうか?むしろ艦娘の性格が変わってしまうほど酷い環境だったと言うべきか・・・まあ、真面目に働いてくれるなら問題ないか。とりあえず食堂に向かいながら今日の予定を確認する。

 

「大淀、今日の市長候補者との面会の予定はどうなっている?」

 

「9時から副市長の源さん、13時から明日への希望党の東雲さん、14時から再建部門の綾瀬さんです。」

 

「了承した。今日の予定だが、先日の演習で能力測定が出来ていない者達と帰還組で、改めて能力測定を行いたい。」

 

「分かりました。天龍さんと第六駆逐隊ですね。あと夕張さんも出来ていなかったですね。」

 

「それと昨日攻略した資材溜まり周辺の調査だな。新しく艦隊が派遣されている可能性もあるから、旗艦は鳳翔で護衛に龍田と白露型姉妹を付けよう。はぐれ程度なら狩ってしまうが、敵の艦隊が到着していれば偵察だけで構わない。」

 

「はい、手配しておきます。」

 

 とりあえずはこんなところだろうか?後は鳳翔の偵察の結果次第と言ったところか。

 

「あ、あの提督、少し報告したい事があるのだけれど・・・」

 

「あ、曙さん!?」

 

「ん?なんだ?」

 

「その、青葉さんが艦娘寮に艦娘新聞ってのを掲載してて・・・ちゃんと提督の許可は取っているのかしら?」

 

「・・・それは初耳だな。」

 

「一応前からたまに作ってたみたいだけど、今回は気になる内容もあって・・・」

 

「はぁ・・・食事の前に確認しよう。案内してくれ。」

 

「分かったわ!」

 

 真面目な顔の曙の隣で大淀が頭を抱えているので、あまり良い内容ではないのかもしれないな。

 

――――――――――――――――――

 

 艦娘寮の2階にある談話スペースに行くと、一部に人だかりが出来ていた。こちらに気が付くと全員が敬礼してきたので答礼すると、大部分がそそくさと去っていく。残っていたのは白露型姉妹と若干焦っている青葉と、あちゃーと言いたそうな衣笠くらいだな。

 

「し、司令官!?お、おはようございます。艦娘寮に何か御用事でしょうか?」

 

「青葉が艦娘新聞というものを掲載していると聞いてな。確認をしに来た。」

 

「そ、そうなんですか?いや~これはあくまでも趣味でやってる程度のお話ですので、正式なものではないですよ?」

 

「だが多くの艦娘が読んで影響を与えるものだろう?先に私に確認を取るべきだと思うが?」

 

「も、申し訳ございません。」

 

「とりあえず内容を見せて貰おう。」

 

 青葉が作った艦娘新聞はなかなか上手く出来ていると思う。見出しとしては売られていた艦娘が帰還した事と、昨日の大規模戦闘の勝利がメインのようだ。帰還組との再会を喜ぶ写真と祝勝会の写真も掲載されており、夕食の時にされたインタビューの内容も載っている。

 

「ふむ、内容としては悪くないな。今後は掲載する前にきちんと許可を取るように。」

 

「はい、恐縮です。」

 

「では最後に一つ聞きたいのだが?」

 

「な、なんでしょう?」

 

「一番下のこれはなんだ?」

 

 そこには「提督にも人の心があった!!艦娘への歩みよりの姿勢を見せる!!」との見出しと共に私が春雨の頭を撫でている写真があった。内容としては肯定的に捉えて、不用意に提督を恐れる必要は無いとの事だったのだが・・・

 

「内容はともかくとして、この写真は明らかに盗撮した物だよな?盗聴の次は盗撮か?」

 

「あ、いや、その・・・申し訳ございませんでした!!」

 

 即座に土下座をする青葉だが、流石にこれは看過出来ない。

 

「先日情報漏洩の危険性について話もしたし、盗聴の件でも注意をしたはずだが・・・理解出来ていなかったようだな?私と春雨の会話も盗み聞きしたのか?」

 

「いえいえいえ!!会話が聞こえるようなところまでは近寄ってないです!!なんか良い雰囲気だったので、他の艦娘達を安心させたくて撮っただけです!!」

 

 この話の真偽は分からないが、恐らく盗み聞きまではしていないのだろう。もし盗み聞きをしていたのならば、悪雨について気になって聞いてくるだろう。

 

「とりあえず青葉は営倉行きだな。」

 

「そ、そんなぁ・・・」

 

「あー、これは仕方ないね・・・青葉、お勤め頑張って。」

 

 衣笠がやれやれとばかり青葉の肩に手を置いて慰めている。

 

「さて、この新聞のほうだが・・・内容はともかく盗撮の写真が載っているからなぁ・・・春雨はどう思う?」

 

「は、はい!?私ですか!?」

 

「春雨も盗撮の被害者だからな。春雨が嫌だと思うなら今すぐ剥がして処分するが?」

 

「え、えっと・・・嫌ではないですが・・・」

 

「嫌ならばきっちり青葉に言っておいたほうが良いと思うが?」

 

 そう伝えると春雨は少し考えて、こそこそと青葉に耳打ちをし始めた。

 

「ええ、もちろん良いですよ!!なのでどうか情状酌量の余地を・・・」

 

「えっと、提督、私は大丈夫です、はい。」

 

 ふむ、何かしら青葉と取引をしたのだろう。春雨が良いと言うなら、新聞は残しておくか。

 

「分かった。ならこの新聞は残しておこう。内容自体は悪くはないからな。では大淀、青葉を連れて行ってくれ。食事はちゃんと届けてやれよ?」

 

「分かりました。では青葉さん、行きますよ。」

 

「うぅ・・・分かりました・・・」

 

 とぼとぼと大淀と曙に連行されて行く青葉を見送ったが、これで懲りてくれれば良いのだが。

 

「さて、食事にするとしよう。」

 

「提督さんも一緒に食べるっぽい!?」

 

「ああ、あまり間宮を待たせるのも良くないし一緒に行くか。」

 

「じゃあ提督さんの隣は貰ったっぽい!!」

 

「ああ!!またお姉ちゃんより先に!!」

 

「まあまあ、姉さん落ち着いて。姉さんも反対側に座ったら良いじゃないか?」

 

「おお、時雨あったま良い~」

 

「あー、青葉も居なくなったし、衣笠さんも一緒に良いかな?」

 

「もちろんです、はい。」

 

 今朝は賑やかな朝食になりそうだな。




 青葉(前科一犯)

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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