疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 皆様お待ちかねのおもてなし回です。
 今回はわりと長くなってしまったのですが、2話に分けるには中途半端な長さ・・・まあ、これくらいはきっと許容範囲です。


78話

 一通り指示を出して出航の準備を整えて応接室へと戻る。天龍からはかなり怒鳴られたが、とりあえず指示には従ってくれるようだ。

 

「源さん、お待たせ致しました。ついて来て頂けますか?」

 

「おお、準備が整いましたか?いったいどのような趣向を用意して下さったのですか?」

 

「せっかく鎮守府に来て下さったのですから、鎮守府にしか出来ない事が良いかと思いまして。良いものをお見せ出来ますよ?」

 

「ほほう!それは楽しみですなぁ。」

 

「ええ、お楽しみ頂けると思いますよ?」

 

 上機嫌な源さんとは対照的に、大淀は顔が青ざめていた。無線でやり取りしていたのを聞いていたのだろう。

 

――――――――――――――――――

 

「いやー、まさか輸送船でのクルージングとは、なかなか豪気なお方ですなぁ。」

 

 曙が運転する輸送船の甲板に椅子を用意して、海を駈ける爽快感を味わう。周囲には護衛として天龍を旗艦として摩耶・吹雪・睦月・如月が付いている。

 

「深海棲艦が現れてからは海に出る事なんてなくなりましたからね。せいぜい漁師が沿岸部や瀬戸内海で漁をする程度です。しかし艦娘が護衛につけば問題ありませんから。」

 

「いやはや恐れ入りましたよ。十年以上も海に出ていませんでしたが、これほど爽快なものだとはすっかり忘れていましたよ。」

 

「ご満足頂けたようで何よりです。もう少し余興を用意していますので、お楽しみにして下さい。少し指示を出してきますね。」

 

「はっはっは、まだ何かあるとは!物凄く贅沢なおもてなしですなぁ!」

 

 ご満悦の源さんを放置して運転している曙の所へと行く。ちなみに船に乗っているのは私と源さんと曙だけだ。大淀も付いて行きたいと言っていたが、有事の際に対応して貰わなくてはいけないので、鎮守府に残って貰った。

 

「鳳翔からは連絡があったか?」

 

「・・・はぐれのイ級3隻を発見したそうよ。場所も資材溜まりよりも手前で、そんなに遠くは無いわ。」

 

「ほう、それは都合が良いな。鳳翔達にはイ級を迂回して資材溜まりの偵察に行かせてくれ。イ級はこちらで仕留めると伝えろ。」

 

「ええ、分かったけど・・・本当にやるの?」

 

「ああ、もちろんだ。天龍達に位置情報を伝えてそのままイ級へと向かってくれ。それと私が操作室から出たら鍵をかけて、甲板から中に人が入れないようにしろ。」

 

「・・・分かったわ。」

 

――――――――――――――――――

 

「それで葛原提督、余興というのはいつ始まるのですかな?かなり沖のほうまで来た気がするのですがね?」

 

 流石に長時間海を走り続けたので不審に思い始めたか。まあ、もう遅いのだがな。

 

「そろそろ見える頃合いですかね?天龍!そろそろ準備しろ!!」

 

「おう!!つうかてめえはそろそろ下がってろよ!?マジで危ねぇぞ!?」

 

「護衛の天龍を信頼しているからな?頑張ってくれよ?」

 

「ああもう!!お前ら行くぞ!!こんな心臓に悪いのはさっさと終わらせるぞ!!」

 

 天龍が艦隊を率いて速度を上げる。その不穏なやり取りに流石に危険を感じたのか、源さんが慌て始める。

 

「いったい何が起こっているのかね?ここは本当に安全なのかね?」

 

「そこは私が保障しましょう。それよりもそろそろ見えてきますよ。双眼鏡であちらをご覧下さい。」

 

 そう促された源さんは双眼鏡を使って目を凝らす。

 

「・・・何か黒いのが居るが・・・まさか深海棲艦か!?」

 

「ええ、その通りです。」

 

「馬鹿か貴様は!!何がその通りだ!!私を殺すつもりか!?」

 

「はっはっは、そんな物騒な真似はしませんよ。ただ源さんが艦娘や深海棲艦の脅威について、あまりご存知では無いようでしたので、実際に見て頂こうと思いまして。艦娘が実際に戦う所なんて提督でも見た事がある人は少ない、とても貴重な体験ですよ?」

 

「それは貴様みたいに頭のおかしい奴がおらんからだろうが!!こんな船奴らの攻撃で沈んでしまうぞ!!今すぐ引き返せ!!」

 

 今まで丁寧に話していたのに、余裕がなくなって化けの皮が剥がれたようだな。

 

「この船は頑丈ですから、奴らの砲撃くらいなら簡単には沈みませんよ?」

 

「甲板の上に居ればわしは死ぬだろうが!!せめて中に・・・おい!!なぜ扉が閉まっている!?開けろ!!」

 

「そんな事よりもうすぐ戦闘が始まりますよ?せっかくだから良く見て頂きたいものです。」

 

「何を悠長な事を言っているのだ!?貴様は気でも狂っているのか!?いや狂っているぞ!!今すぐ引き返せ!!それかわしを降ろせ!!」

 

「降りたいのであれば救命ボートくらいはありますが?オールも付いていますから、陸地を目指して頑張りますか?」

 

「ふざけるな!!貴様こんな事をしてただで済むと思うなよ!?」

 

 源さんが激昂した瞬間に、輸送船の付近に砲弾が撃ち込まれ、輸送船は激しい揺れと水飛沫に襲われて、立ち上がっていた源さんが甲板の上で転んでしまう。

 

「ひぃぃぃい!!」

 

「船上での訓練もされていない方が無闇に立ち上がると危ないですよ?」

 

「なんでわしはこんな船に乗ってしまったのだ?頼むから早く引き返してくれ!!」

 

「そう怖がらないで下さい。どうやら戦闘はもう終わったようですよ?今回は最弱の駆逐イ級が3隻だけだったのですぐ終わってしまいましたね。実際に艦娘の戦闘を見て頂いた感想はいかがですか?」

 

「お、終わった・・・のか?」

 

「ええ、うちの艦娘達がしっかり守ってくれましたから。貴方はいつもこうやって艦娘達に守って貰っているのですよ?普段はあまり実感が湧かないようですが、今は戦争中なのをお忘れなく。」

 

 恐怖に震えてズボンが汚れた無様な様子だったが、しばらく時間をかけて落ち着くとまた喚き始める。

 

「これのどこが余興だ!!わしを危険な目に合わせおって!!許されると思っておるのか!?」

 

「艦娘と深海棲艦について理解して頂くなら、この程度の危険は必要かと思いまして。それにこの程度で危険だと言われても困りますよ?普段から我々は命のやり取りをしているのですから。」

 

「貴様は艦娘を戦わせているだけだろうが!!」

 

「ええ、そうです。現場で戦うのは彼女達です。しかし私の采配次第で彼女達が沈むかもしれないですし。万が一深海棲艦に負けるような事があれば、多くの市民の命が失われるかもしれないのですよ?提督とはそれくらいの重責を背負う仕事です。だから彼女達艦娘をいつでも戦えるように管理するのも私の仕事で、貴方が入り込む余地などありません。私よりも貴方の方が艦娘を上手く運用出来るだなんて冗談じゃない。」

 

「貴様ぁぁあ!!」

 

 源さんが激昂して胸ぐらを掴もうとしてきたので、普通に腕を掴んで倒して甲板に叩き付ける。運動不足の小太りのおっさんが、士官学校で訓練を受けた軍人相手に勝てると思ったのか?

 

「いきなり何をされるのですか?襲われたら制圧するしかなくなりますよ?」

 

「離せ!!離せ!!」

 

「それにここは船の上ですよ?暴れて海に落ちても私は責任を取れませんよ?」

 

 その一言でようやく状況を理解したのか、やっと大人しくなったので解放する。

 

「はぁはぁ・・・クソが・・・こんな奴と仕事なんぞ出来るか・・・まったく・・・用事はもう済んだのだろうが!!早くわしを帰らせろ!!この事は大本営にも報告するし、新聞社にも伝えて貴様をクビにしてやる!!」

 

「それはどうぞご自由に。あとなんで用事が終わったと思われているのですか?」

 

「・・・は?」

 

「今のは前哨戦ですよ?本隊がまだいるはずなので、そこまできっちり仕留めておかないと。」

 

「待て待て待て!!これ以上わしを危険な目に合わせようと言うのか!?冗談じゃない!!付き合ってられるか!!」

 

「どうしてもと言うならば、救命ボートでもお貸ししましょうか?必死になって艦娘に頼み込めば、もしかしたら曳航してくれるかもしれませんよ?私は艦娘達には戦場に行くように命令しますけれど。ほら、艦娘達が戻って来ましたよ?確か摩耶とは顔見知りだったのではないですか?」

 

 そう言うと源さんは慌てて救命ボートを降ろしてそれに乗り込む。いや、マジで試すのか・・・

 

「摩耶!!摩耶!!わしの命を助けろ!!安全な陸地まで連れていけ!!これは命令だぞ!!」

 

「あん!?なんでてめえの命令なんか聞かなきゃならねぇんだよ!!」

 

「わしはお前を大金を払って買ったのだぞ!!主人の命令を聞け!!道具の分際で主人に逆らうつもりか!?」

 

「あたしの主人はそこの提督だけだ!!てめえなんか知ったことか!!」

 

「お、おい!!摩耶!!摩耶!!クソ!!他の奴でも構わん!!わしを助けろ!!誰かわしを助けてくれ!!」

 

 はぁ・・・まさか本当に救命ボートを使うとは思わなかったな・・・流石に置いて行くのはまずいか・・・そう考えていると、曙が操作室から出てきた。

 

「提督、鳳翔さんから連絡があったわ。資材溜まり近辺に敵影なしとのことよ。」

 

「そうか・・・なら撤収するか。鳳翔には資材を回収したら帰還するように伝えろ。私達もそこの馬鹿を拾って帰還する。」

 

「分かったわ。」

 

 その後救命ボートにロープを繋がせて輸送船で曳航し、鎮守府へと帰還した。源さんは流石に疲れたのか、ろくに会話もせずにフラフラになりながら鎮守府を去った。ここまでやれば心を折るには十分だろう。むしろここまでやってこの北九州市で市長を目指そうと言うならば、その根性を認めてやっても良いくらいだな。




 大丈夫!!ちゃんと命の保障はしてたよ!!

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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