大淀と曙を連れて食堂に向かおうとすると、大淀が大本営から電話がかかって来たと言う。流石に動きが早過ぎる気がするのだが・・・
「お電話代わりました。北九州鎮守府の葛原です。」
「大本営所属人事課の中井だ。貴様には提督候補生の実地訓練先として、一人受け入れて貰う事となった。貴様は提督としての経験は浅いが、一人の提督として候補生を指導しろ。」
ああ、そっちの話か。そう言えば明日に小森が実地訓練に来ると、織田の奴が話していたな。数日前には決定していた話だが、嫌がらせの為にわざと連絡を遅れさせているのだったな。これ以上余計な事をされても面倒だし、嫌がらせが成功したと思わせておくか。
「提督候補生の指導ですか・・・それでいつ誰を受け入れるのかは決まっていますか?」
「明日貴様の同室だった小森がそちらに着任する。はぐれ者同士精々仲良くすれば良い」
「明日ですか・・・かなり急な話ですね。」
「はっはっは!急な話がなんだと言うのだ?深海棲艦が急に襲撃してきてもそんな言い訳をするつもりか?今のところ順調に戦果を上げているようだが、大失態を犯すのも遠い話では無いかもしれんなぁ?」
かなりご機嫌なようだな?扱い易くて助かる。それに一応戦果を上げている事は認められているのか。ならば源さんの件も問題無さそうだな。
「これは失礼致しました。実地訓練の日数はどの程度で予定されていますか?」
「ふむ、はっきりとは決まっていないが、小森が提督としてまともに働ける程度には鍛えて貰わねば困るなぁ。だからどれだけ時間がかかろうとも構わんから、しっかりと指導してやれ。」
なるほど、自分達の手に負えないからお前が面倒を見ろと言うことか。小森の奴はコミュニケーション能力が壊滅的だが、能力はかなり高いんだよなぁ。演習で小森が負けた事はないし、座学でも優秀な成績を修めている。その代わり本人はすぐに逃げるし隠れるので、まともに会話が出来る人間はほとんど居らず、もちろん派閥への参加もしていない。教官連中からしたら厄介な相手だろうから、自分に押し付けようと考えているのか。まあ、こちらとしてはそれなりに会話も成立するので、癖はあるが優秀な人材を長期間使って良いと言われたので、断る理由も無いけどな。
「・・・分かりました。あの性格ですのでかなり時間がかかると思いますが、やれるだけやってみましょう。」
「はっはっは!なあに、さっきも言ったが時間はたっぷりと使って構わんぞ?同室だったのだからきちんと面倒を見てやれよ?」
やたらと同室を強調してくるな。士官学校時代に住んでいた寮は基本的に二人で一部屋なのだが、嫌がらせの為に異性である小森と同室にされていた事をからかっているのだろう。小森の存在に気づいた当初は多少戸惑ったが、お互いにきちんと住み分けが出来ていたので困る事はなかったし、むしろお互いに利益があったくらいだ。
「ええ、努力はしてみます。」
「小森には明日の9時にそちらへ行くように伝えてある。後は好きにしろ。では任せたぞ。」
中井さんはずいぶんと上機嫌な様子で電話を切った。自分をやり込めたと思っているようなら、とりあえず心配は無いだろうな。
「待たせたな。では食堂へ行くか。」
「分かりました。先日お話されていた提督候補生のお話のようでしたが・・・」
「ああ、明日の9時に来るらしい。織田の情報通りだな。部屋は私の私室の隣に作った客室を使わせてくれ。」
「分かりました。着任の挨拶は9時半くらいに予定しておきましょうか?」
「あー、多分無理だな・・・大人数の前に出てくるとは思えん・・・悪いが艦娘達には提督候補生が一人来るが、挨拶は事情があって出来ないと通達しておいてくれ。」
「・・・その、本当に提督候補生として大丈夫なのですか?」
大淀がかなり困惑しているようだが、当然の反応だな。
「あー、大丈夫とは言えないな。だから厄介払いでここに送られて来るのだ。だが悪い奴では無いから、そういう意味では大丈夫だ。」
「・・・提督がそう言われるのであれば、信じるしかないですね。」
大淀がため息を吐きながら、諦めたようにそう言った。ああ、悪いが早めに諦めた方が良いぞ。
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大淀と曙を連れて食堂へ行くと、やはり艦娘達の多くは食事を始めていた。とりあえず間宮から食事を受け取り、席を探していると背後から誰かが近づく気配がした。
「ヘイ!そこの可愛いぼのたん!一緒にランチでもどうだい?」
「はぁ・・・漣、あんた普通に誘いなさいよ。なによそのナンパみたいなノリは?」
「いやー、普通に誘っても面白くないですぞ?」
「からかってるだけでしょうが・・・それと秘書艦補佐として動くから、一緒に居られないって言ったでしょ。」
「それはそうかもだけど・・・」
秘書艦補佐の仕事に熱心なのは良いのだが、漣の様子を見るとかなり寂しそうだな。第七駆逐隊の精神面に影響が出るのは良くないな。
「曙、食事の時くらい姉妹達とゆっくりすれば良い。用事があれば呼ぶから気にするな。」
「で、でも・・・」
「はぁ・・・なら秘書艦補佐として、今日の演習の様子を食事中に聞いておけ。今後の育成方針の参考にする。」
「・・・分かったわ。・・・ありがと。」
「おお!ぼのたんがもうデレるとは!!キタコレ!!」
「うっさい!!なに馬鹿な事言ってんのよ!!さっさと行くわよ!!」
曙が食事のお盆を持ったまま、器用に漣に蹴りを入れて潮と朧が待つテーブルへと向かう。それと入れ替わりに、球磨が近づいて来た。
「あー提督、食事しながらで良いから、少し話しておきたい事があるクマ。」
「分かった、話を聞こう。」
「えっと、では私は席を外しましょうか?」
「いや、そんな秘密にする話でも無いクマ。大淀も一緒で構わないクマ。」
球磨に案内されて席に着く。同じテーブルには軽く声をかけてくる北上とガン無視の大井も居たが、たしか球磨の姉妹艦だったからか。
「それで、話とはなんだ?」
「聞いた話だと、市長候補に明日への希望党の東雲って人が来るクマ?」
「ああ、何か知っているのか?」
「あいつは艦娘新教の信者だったはずクマ。」
「艦娘新教?あまり聞いた事の無いものだな。」
「えっと、艦娘は神様から世界を救う為に遣わされた使徒とか言ってる宗教クマ。それと提督は神様に選ばれた代行者とか言ってたクマ。球磨はそこの教祖に買われて、御神体扱いをされてたクマ。実際は余計な発言はしないように言われて、人形みたいな扱いだったクマ。」
今度の相手は宗教絡みか・・・面倒な話だな。
「それで、どんな人だったか覚えているか?」
「あー、悪い人では無いクマ。だけど熱心な信者で、簡単に騙されてる人クマ・・・」
「そうか・・・」
「艦娘が神様の使徒とかは良く分からんから置いとくクマ。でも艦娘に守って欲しいなら、球磨を祭り上げるより、戦場に行かせたほうが良いに決まってるクマ。結局貰ったお布施は教祖のお小遣いになるだけクマ。」
「宗教家に現実を見ろと言っても無駄だな。しかしそんな奴が市長候補とは・・・」
「困った話クマ。でも悪い人では無いから穏便に済ませてくれると嬉しいクマ。適当にあしらってくれれば十分クマ。」
「分かった。情報ありがとう。」
さて、どうしたものか・・・艦娘新教自体は不快だが、騙されてる信者なら球磨の言う通り、適当にあしらうくらいが無難だろうか?
球磨様を讃えよ!!さすれば汝に祝福を!!
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!