東雲さんの相手で疲れていたが、少し休むと市長候補の最後の一人の綾瀬さんが到着したと連絡があった。今回も曙に録音を任せて、準備は整っている。少しはマシな人が来れば良いのだが。
――――――――――――――――――
「初めまして、北九州市で再建部門の長をしております、綾瀬と申します。本日はお時間を頂きありがとうございます。」
やって来た男は少し小柄で痩せぎみな体格をしていて、おそらく40代くらいだろうか?きっちりとスーツを着こなし、身だしなみを整えていて好感が持てそうだが、細い目が印象的でなんとなく胡散臭い雰囲気を感じる。源さんは嘘つきで臆病だと言っていたが、的外れってわけでは無さそうだな。
「北九州鎮守府に新しく着任した葛原です。以後お見知りおきを。」
「是非とも宜しくお願い致します。葛原提督はなかなか面白い方ですから、とても期待しておりますよ。」
「面白いですか?」
「ええ、もちろん悪い意味ではありませんよ。こちらで色々調べさせて頂きましたが、信頼出来るお方だと判断しております。お会い出来るのを楽しみしていたところに、あの源の姿を見せられたもので。ついつい大笑いしてしまいましたよ。なかなか思いきった事をされましたなぁ。」
こちらの情報を調べたと堂々と言うか。交渉するつもりがあるのならば当然の事だとは思うが、わざわざ明言するのも不自然だな。それにしても源さんの姿を見て大笑いするのならば、二人の仲はかなり悪いのだろう。
「少々艦娘と深海棲艦についてお話しただけですよ。源さんはかなり認識の甘い方でしたので。」
「はっはっは!それはそうでしょうなぁ。因みにその後のお話等興味はありますかな?」
「・・・聞かせて頂きましょう。」
「源の奴は無様な姿で帰って来たらすぐに大本営に苦情の電話をしましてな。大本営の方に罵声を浴びせる始末でして。しかも止めとばかりに『わしに市長を務めて欲しければ、あの葛原とかいう男をクビにしろ!でなければわしは一切協力しないぞ!!』とか言ったら、向こうも『他の人が務めれば良いので結構です。』なんて返してきたので唖然としてましてな。電話の後に副市長としての仕事をストライキするなんて言い出しましたが、元々ろくに働いてないので大差無いですし、選挙を待たずに代理の方が執務を行う形となっております。」
市長の座への執着心は感心するくらいのものだが、まさか大本営相手に喧嘩を売るとは思わなかった。泣きつくなら理解出来るが、何が源さんを強気にさせたのだろうか?それにしても職務を途中で投げ出すなど、上に立つ者として異常な奴だな。
「それはまた・・・想像を越える展開になっていますね・・・」
「ええ、まったくですな。葛原提督と馬が合わずに反発するのは読めていましたが、まさかここまでの事になるとは思いませんでしたよ。まあ、雑談で盛り上がった事ですし、本題に入らせて頂きましょうか。」
「そうですね。まずは市長としての方針を教えて下さい。」
「私としては街の復興に力を入れたいと思っております。この北九州市もかなり復興は進んでおりますが、深海棲艦の出現前に比べればまだまだです。私もこの街を愛する一人として、思い入れのあるこの街を蘇らせる為に力を尽くしたいのです!!私には再建部門で培った経験と実績がありますので、安心して任せて下さい!!」
言っている事は別におかしな事はないのだが、やはりどうにも胡散臭いな。やはり人間性の問題だろうか?
「・・・というのが、建前ですな。」
ニヤリと深い笑みを浮かべた綾瀬さんが、とんでもない事を言った。こちらもそれは感じていたが、交渉の場で明言するような話では無いはずなのだが?
「・・・なぜそんな事を言うのですか?」
「葛原提督はなかなか疑り深いですし、どうせ見抜かれていると思いますので、下手に隠すのは悪手だと判断しただけですよ。」
「なかなか思いきった事をしますね・・・ずいぶんと私について調べて来ているようですね。」
「いえいえ、ここまで情報を集める事が出来たのも、幸運の女神が微笑んで下さいましたからですよ。」
「それで、建前ではない方をお聞きしても?」
「たいしたものはありませんよ?安全に金儲けがしたいだけですよ。」
金儲けか・・・別にそれが悪いとは言わないが、悪事に巻き込まれるのはごめんだな。
「確かに普通の話ですね。」
「人間は皆お金が大好きですからなぁ?そこで葛原提督にご提案なのですが・・・」
ほら来た。だが余計な話に巻き込まれるのはごめんだな。
「葛原提督とは距離を置いたお付き合いをしたいと思っております。」
・・・流石にこれは想定外の話だな。市長選に重要な提督の支持を求めに来たのに、距離を置いたお付き合いをしたいとは。なかなかの曲者のようだ。
「・・・それは構いませんが、理由をお聞きしても?」
「ええ、もちろんです。距離を置くとは言いましたが、市長と提督として必要な手続き等は当然やりますからね?それ以上の関わりを避けるだけです。我々としても有事の際に避難勧告が遅れるなんて事態は避けたいですから。」
「ええ、そこに関しては仕事ですからきちんとやりましょう。」
「では本題に入らせて頂きますが、先程言った通り私は金儲けがしたいのです。そこで考えて頂きたいのですが・・・鎮守府の皆様が提供出来るもので、最も需要の高い商品とはなんだと思いますか?」
最も需要の高い商品か・・・話の流れからすれば平川市長のように、艦娘達に売春させる話では無いようだが・・・
思ったよりも長くなりそうだったので、前後半に分ける事になりました。鎮守府が提供出来る最も需要の高い商品とは?
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
-
主人公葛原提督率いる問題児四天王
-
大淀
-
長門・陸奥
-
第七駆逐隊
-
川内・神通
-
明石・夕張・間宮・鳳翔
-
第六駆逐隊
-
北上&大井
-
青葉&衣笠
-
金剛姉妹
-
伊19・伊168
-
赤城&加賀
-
翔鶴&瑞鶴
-
白露型姉妹
-
島風&雪風
-
天龍&龍田
-
龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
-
朝潮・木曾・陽炎・不知火
-
叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
-
俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!