疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 ここからまた急展開が始まりますよ~


84話(電話対応)

 応接室で曙の淹れたコーヒーを楽しんでいると、大淀が慌てた様子で駆け込んで来た。

 

「提督!!長門鎮守府より救援要請です!!お電話繋げても大丈夫ですか!?」

 

「分かった、繋いでくれ。」

 

 長門鎮守府から救援要請だと!?今朝出発した艦隊がやられたのか!?もしくは手薄になった鎮守府を狙われたか?

 

「お電話代わりました、北九州鎮守府の葛原です。」

 

「貴様ぁ!!よくも!!よくもこの私を嵌めやがったな!!」

 

「・・・は?なんの話です?」

 

 いや、本当に心当たりが無い。何か仕掛けをして相手が激昂しているのなら構わないのだが、特に仕掛けた覚えは無いのだが・・・

 

「とぼけるな!!貴様のせいで私の艦隊が窮地に陥っているのだぞ!!今非を認めて救援を送るならば、軍法会議で多少の口利きはしてやろう。さっさと救援を送れ!!」

 

「本当に心当たりが無いのですが、どういう状況ですか?」

 

「まだとぼけるか!?貴様は姫級の存在を知りながら情報を隠蔽して、私に主力艦隊を差し向けるように誘導したのであろうが!?」

 

「はぁ!?姫級ですか!?」

 

「貴様が手に負えない敵艦隊がいるから助けてくれと言うから、わざわざ討伐に艦隊を送ってやったと言うのに!!貴様のせいで大損害だ!!今私の艦隊が包囲されて壊滅状態だから、今すぐ救援を送れ!!」

 

 強力な深海棲艦が控えているだろうとは思っていたが、まさか姫級が居たとはな・・・しかもせっかく警告を発していたのに、それが勝手に救援要請になってるあたり、本当に面倒な奴だ。

 

「無茶を言われても困ります。姫級など我々の手に負える相手ではありません。佐世保か舞鶴を頼って下さい。それに姫級の存在は知りませんでしたが、強力な敵艦隊が居るかも知れないと救援要請ではなくて警告をしましたよね?偵察部隊で姫級を発見出来なかったのですか?」

 

「貴様のようなひよっこに艦隊運用についてどうこう言われる筋合いは無い!!とにかく貴様は私の艦隊が包囲を突破して撤退するまでの時間を稼げば良いのだ!!さっさと救援を寄越せ!!」

 

 ダメだ・・・まったく話が通じない・・・しかもこの感じだと原田提督は偵察部隊を送らずに、いきなり主力艦隊を送って包囲殲滅されているようだな・・・だから警戒しろと言ったのに。

 

「お言葉ですが我々に姫級と戦う能力は無いですし、今更救援に向かっても犠牲を増やすだけでしょう。救援は送れません。」

 

「貴様ぁ!!これは軍法会議ものだぞ!!貴様の責任で私の艦隊が壊滅するのだぞ!!」

 

「自分の艦隊に自分で責任を持てない奴が提督を名乗るな!!恥を知れ!!」

 

 電話の向こうでまだ何か喚いていたが、これ以上は時間のムダなので電話を切った。

 

「・・・提督、救援要請を断っても良かったのですか?」

 

 心配そうに大淀が尋ねてくるが、今のやり取りを聞いてもまだ救援を送るなんて考えが残るのだろうか?

 

「話を聞いていたのだろう!?姫級を相手にうちの艦隊を送ったところで何が出来る!?余計に被害を増やすだけだ!!それとも無能に付き合って仲間を無駄死にさせろと言っているのか!?」

 

「し、失礼しました・・・」

 

 大淀が顔を青ざめさせて震えている。隣にいる曙も似たような状態か・・・少し感情的になり過ぎたか・・・

 

「分かれば良い・・・怒鳴って悪かったな。」

 

「いえ、こちらこそ配慮が足りず申し訳ございません。・・・また長門鎮守府から連絡が来ておりますが・・・」

 

「しばらく長門鎮守府との連絡は繋げなくて構わん。それよりも佐世保に連絡してくれ。残念だがあそこを頼るしかない。」

 

「分かりました、少々お待ち下さい。」

 

 そこからしばらく大淀が通信をしているみたいだが、なかなか代わらないな。

 

「・・・提督、佐世保からですが、現在佐世保は別海域にて主力艦隊が交戦中との事です。現在横須賀で討伐部隊を編成しているので、余計な戦闘は控えろとの事です。敵は集積地棲姫なので、直接攻めては来ないはずですが、艦隊を送り込んで来るかも知れないので、警戒は怠るなとの指示を受けました。」

 

 佐世保が動けないのは痛いが、横須賀が来るのであれば、それまで持たせれば大丈夫だろう。

 

「・・・そうか。では資材溜まりを拠点として、警戒網を構築する。艦娘達全員に演習の即時中断を伝え、補給と整備を急がせろ。一航戦と護衛に白露型姉妹を警戒部隊として、資材溜まりに送り込む、急いで準備させろ。それと横須賀と連絡をとりたい、通信を繋げてくれ。」

 

「分かりました。」

 

――――――――――――――――――

 

 急いで鎮守府内に指示を出した後に、横須賀鎮守府の海原提督へと連絡を繋ぐ。

 

「やぁ、葛原提督、数日ぶりだね。鎮守府の運営には慣れたかな?」

 

「やるべき事が多すぎて、慣れるほど悠長な時間はなかったですね。それで海原提督がこちらに出現した姫級の討伐を行うと聞きましたが、増援はどれくらいで到着しそうですか?」

 

「うちの艦娘達にも急がせてるから、明日の朝には到着すると思うよ。」

 

「明日の朝ですか!?かなり早いですね。」

 

 姫級と戦うのであればそれ相応の準備が必要なはずだ。討伐部隊を編成するにしても、通常の哨戒や近海防衛戦力の見直しが必要になるはずなのだが、横須賀鎮守府との距離を考えると異常なくらい早い。艦娘の練度の違いで航行速度が上がっているのだろうが、それにしても早過ぎる対応だ。

 

「昨日葛原提督からの情報を貰った段階で、もしもの為に討伐部隊の準備をしていたからね。佐世保の熊井提督と話をして、情報が集まり次第援護に行くつもりだったんだ。これも早めに報告をくれた葛原提督のお手柄だね。・・・長門鎮守府の原田提督が早まってしまったのは残念だけど。」

 

 これが東の英雄と呼ばれた男か・・・たったあれだけの推測に過ぎない警告から、情報を読み取って準備を整えていたのか・・・そう考えると佐世保鎮守府の熊井提督も同じ判断をしたと考えるべきか。

 

「私の推測がお役に立てたのならば幸いです。お二方の迅速な判断に感謝致します。」

 

「それで、葛原提督に一つお願いがあるのだけれど、北九州鎮守府を中継基地として使わせて貰えないかな?今回の集積地棲姫の出現場所から一番近いのは北九州鎮守府だし、横須賀鎮守府から向かうなら関門海峡を通るから、そこで補給とかをさせてくれると助かるのだけど?」

 

「了解しました。我々では対応出来ない姫級の討伐をして貰うのですから、出来る限りの協力はさせて頂きます。」

 

「ありがとう。こちらからは3艦隊が向かっていて、指揮は総旗艦の叢雲に任せているから、北九州鎮守府に到着したら彼女の要望を聞いてあげて欲しい。宜しく頼むよ。」

 

「了解しました。」

 

「ありがとう。では皆で力を合わせて、深海棲艦の脅威から日本を守ろう!!」

 

 明るい声でそう宣言する海原提督の言葉で通話は終わった。海原提督は甘い理想を掲げる理想主義者だが、艦隊指揮に関しては自分の遥かに上を行っているようだ。味方としては頼もしい限りだが、いずれは肩を並べられるようにするべき相手だ。今回の戦いを通してその技術を学ばせて貰おう。




 横須賀のやべー奴が動き出したようです。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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