疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 なかなか筆が進まぬ・・・けれど失踪しないように頑張りたいところですなぁ。


87話(夜戦準備)

 川内に連絡をするとすぐに執務室に走って来る音が聞こえた。やはり夜戦がしたくてたまらないのだろうな。執務室の扉をノックもせずに勢い良く開けて、満面の笑みの川内が駆け込んで来る。

 

「提督!夜戦だよね!?夜戦の時間だよね!?」

 

「ああ、夜戦だ。しかも今回はかなり激しい戦いになるぞ?」

 

「だよね!?そうだよね!!今日は夜戦の気配をビンビン感じるもん!!」

 

「相手は重巡リ級elite2隻が率いる艦隊で、現状は2艦隊と輸送艦隊が1つだが、増援もあるかもしれない。川内は構成をどう考える?」

 

「重巡が居るなら火力が欲しいところだね。だから北上さん達が欲しいかな?こっちも艦隊が2つ欲しいから、天龍と龍田にもうひとつ艦隊率いて貰うとして、あとは駆逐艦の子達だね。あ、それと1つお願いがあるんだけど・・・」

 

 ん?川内が躊躇うのは珍しい気がするな。これから夜戦と言うことであれば、テンションが高いものだと思っていたが。

 

「なんだ?」

 

「えっと・・・その・・・」

 

コンコンコン

 

「失礼致します、神通です。入っても宜しいでしょうか?」

 

 神通か。確か川内の妹だったか?川内の様子を伺うと驚いた様子はなく、苦笑いをしながら困っている様子だ。どうにも今回の件と無関係では無さそうだな。

 

「入れ。」

 

 入室を許可すると神通は綺麗な所作で入室し、自分の前で姿勢を正して敬礼をしたので答礼をする。姉の川内とは正反対で真面目な感じだな。

 

「それで、なんの用だ?」

 

「提督にお願いがあって参りました。本日夜戦があると思うのですが、その人員に私も志願致しますので、是非とも艦隊に加えて頂けないでしょうか?」

 

「あー、提督、私からもお願いします。神通を夜戦に連れて行って良いかな?」

 

 キリッと真面目な表情で志願した神通に続いて川内も推薦してくる。しかし川内がどうにも落ち着きが無いのも気になるが、やはり問題は神通の方だろう。

 

「・・・聞きたい事がいくつかあるが、どこから夜戦の情報を手に入れたのだ?先程偵察が終わったばかりだぞ?川内みたいに夜戦の気配を感じたとかか?」

 

「いえ、どこからも情報は得ていませんが、姉さんがそわそわしていたので、今日は夜戦があると確信しておりました。それで一緒に提督の元へと向かう約束でしたが・・・姉さんが急に走り出したもので・・・」

 

 なるほど。川内みたいな野生の勘みたいなものは無くても、川内の行動から察するくらいは出来てもおかしくは無いか。

 

「それは分かった。では次に神通はまともに動けるのか?前任者の大森提督に売られて、昨日帰って来たばかりだろう?怪我は高速修復材で治ったとは思うが、疲労は溜まっているだろうし、長い間戦場に出ていないから感覚が狂っているのではないか?」

 

「お気遣いありがとうございます。ですが体調は問題ありませんし、今日の演習で体の動きを取り戻す為に集中して取り組みました。いつでも戦場に出る準備は整っております。」

 

 ふむ・・・正直あまり無理をさせたくないのだが、どうにも意思は固いようだな。士官学校の時に見た神通は普段は少し内気な印象だが、演習では鬼気迫る演習をしていたのを思い出す。1日で戦場に出られるレベルに仕上げたと言うのであれば、それなりに期待は出来そうなものだが・・・

 

「川内、神通の演習は見たか?」

 

「え?あ、うん。一緒に夜戦に行っても大丈夫だと思うよ。」

 

 川内に話を振るとなんだか焦ったような雰囲気を感じたが、川内が戦力として問題無いと言うのならば信用しよう。

 

「では最後の質問だ。なぜ今回の夜戦に志願したのだ?川内から誘われた・・・ようではないみたいだが?」

 

「はい、私の意思で志願しました。姉さんだけに任せるのも心配ですし、私も艦娘として戦える事を提督に示す良い機会ですから。」

 

「まあ、姉妹が心配なのは分からなくは無い。だからと言ってあまり無理をするのは良くない。それに私はお前達を艦娘として扱うから、功を焦らなくてもきちんと活躍する機会は与えるが?」

 

「それは・・・姉さんからお聞きしました。しかしそれは戦場に出る事が可能なのに尻込みをする理由にはなりません。」

 

 かなり強情だな・・・だがここまで言うのならばそれ相応に自信があるのだろう。あまり時間も無いし、川内も良しとするならば任せるか。

 

「分かった、今回の作戦への参加を認めよう。」

 

「ありがとうございます!!しっかりと私が活躍出来る事を証明してみせます!!姉さんにも遅れをとるつもりはありません!!」

 

「・・・ずいぶんと川内を意識しているようだが、何かあったのか?」

 

 その問いを投げ掛けた瞬間に、執務室の温度が少し下がった気がした。これは触れてはいけないやつだったか?川内の方を見ると冷や汗を流しながら目線を反らしている。心当たりがあるようだな・・・

 

「いえ、なにもありませんでしたよ?私がボロボロになって帰って来たにも関わらず、迎えにも来てくれませんでしたし、入渠が終わって部屋に帰れば、姉さんは気持ち良さそうに寝ていましたから、特に何もありませんでしたよ?それに私が帰って来た事に気が付いても、普通に『あ、神通お帰り。長期の任務大変だったね。』なんて言う程度でしたから?」

 

 ・・・マジか。確かに川内は夜戦明けの上に私に報告をする為に朝方まで起きていたが、これは神通が怒っても仕方がないか・・・

 

「そ、そうか・・・あ、いや、川内もあの日は夜戦明けだったし、報告の為に私が起きるまで待たせてしまったからな・・・これは私にも責任のある事だ。すまない。」

 

「いえ、提督が謝られるような事ではありませんから、お気になさらないで下さい。それでは出撃の準備がありますのでこれで失礼致します。」

 

 来た時同様に綺麗な敬礼をしてきたので答礼すると、神通はすぐに準備の為に執務室を後にして行った。神通は最後まで礼儀正しく丁寧な所作だったが、あれはかなり怒っていたな・・・通りで普段は少し内気なはずの神通があれだけ強情な雰囲気だった訳か・・・

 

「・・・川内。」

 

「あ、いや、その・・・反省はしてます。でもね提督!?私は神通が生きてたの知ってたから、あんまり驚かなかっただけで、帰って来たのは素直に嬉しいんだよ!?」

 

「はぁ!?なんで川内が知っているんだ!?」

 

「いや、そりゃ夜になるとたまに帰って来た気配を感じてたし、大森提督に聞いたら極秘任務中だから、他の娘達には絶対に言うなって言われてたから・・・確かにしばらく顔が見れなかったのは寂しかったけど・・・ちゃんと生きてるのは知ってたから・・・」

 

 なるほど。夜間にこっそりと売られた艦娘の入渠等をさせる時に、川内の感覚に引っ掛かったのか。それで大森提督に沈んだはずの神通が何故帰って来ているのかを聞きに行って、極秘任務で納得してた訳か・・・大森提督に上手くあしらわれていたわけだな・・・

 

「早めに仲直りしておけよ?」

 

「はい、頑張ります・・・」




 一緒に夜戦に行けばきっと気分爽快で仲直り出来る!!・・・はず。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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