「提督、赤城さんから通信よ。」
「分かった。赤城、状況は?」
「艦載機で攻撃を仕掛けましたが、敵艦隊はこちらの艦載機を発見すると即座に撤退しました。ですので敵艦隊にあまり損害を与える事は出来ませんでした。十分に敵艦隊が離れたのを確認しましたので、予定通りこちらも撤退しています。」
なるほど。ずいぶんと撤退の判断が早かったようだな。通常の深海棲艦であれば艦娘の存在に気が付けば、戦力差も考えずに突っ込んで来るのだが、やはり上位種の支配下にあれば知性的な行動をするようだな。今回は輸送艦隊が居るのと、もうすぐ日が暮れて空母が活躍出来なくなるのを考慮して、一旦引いてくれたのだろう。
「分かった。今回の艦載機での攻撃は威嚇が主目的だから、こちらが無事に撤退出来たならそれで構わない。それと少し白露と話したいのだが代わって貰えるか?」
「はい、少々お待ち下さい。白露さん、提督が話があるそうです。」
「はぁーい、提督呼びましたか?」
「ああ、今夜戦の為の部隊を編成しているのだが、白露達の状態次第ではそのまま夜戦に参加して貰おうかと思ってな。燃料や疲労の具合などはどんな感じだ?」
「燃料はまだまだ余裕あるし、今日は哨戒だけで戦闘はしてないから余裕だよ!!夜戦も私達に任せてよ!!」
「夕立達も夜戦に参加出来るっぽい!?夕立も暴れたりないっぽい!!」
「ちょっ!!今お姉ちゃんが話してるんだから割り込まないでよ!!」
ふむ、これだけ元気そうなら問題無いか。白露達が難しいのであれば第六駆逐隊に出て貰うつもりだったが、白露達に任せるとしよう。
「では白露達に夜戦も任せよう。時雨と春雨も大丈夫か?」
「うん、僕も平気だよ。」
「私も大丈夫です、はい。」
「分かった。ならば今から夜戦部隊を編成して向かわせるから、途中で合流してくれ。合流後は天龍と龍田の部隊に入ってくれ。」
「あれ?今日は川内さんじゃないの?」
「今回は2艦隊組むつもりだから、川内はまた別の艦隊を率いて貰うつもりだ。」
「あ、やっぱり川内さんも来るんだ。了解しました。」
「では詳しい指示は天龍達から聞いてくれ。健闘を祈る。」
「えへへ、いっちばん活躍するから、期待しててね♪」
白露達との通信を終えて一息つくと、執務室に大淀が帰って来た。見た感じ少し疲れてそうな雰囲気だな。
「どうした?なにかあったのか?」
「あ、いえ、すみません。先程来られていた安藤さんから名刺を受け取る際に、色々としつこく質問をされたもので・・・勝手に取材にお答えするわけにはいきませんのでと断ったのですが、なんとか聞き出そうと粘られて・・・もちろん回答は全てお断りしましたのでご安心下さい。」
「それは大変だったな。だが勝手に質問に答えなかったのは良い判断だ。ちなみに何を聞いてきたんだ?」
「えっと、新しい提督について、前任者の大森提督の事件について、平川市長の事件について、市長選挙について、あとは現在深海棲艦が攻めて来ているのか?と質問されました。」
まあ、気になるのはその辺が妥当なところか。市長選挙の件以外はあまり探りを入れられたくない内容だな。
「分かった。まあ、この件は後回しで良い。それよりも夜戦の編成だな。第一艦隊を川内を旗艦として、神通・北上・大井・島風・雪風に出て貰おう。敵の重巡洋艦を叩ける火力を持った部隊だな。そして第二艦隊を天龍を旗艦として、龍田と白露型姉妹を出す。川内もこの編成で問題無いだろうか?」
「うん!!最高の夜戦が出来そうだね!!」
「ならば出撃準備に取り掛かれ。敵が前線基地を作ろうとするのをとことん妨害してやれ!!」
「はっ!!じゃあ提督、行ってくるね!!」
川内が良い笑顔で執務室から駆け出して行く。先程までは神通の件で微妙な雰囲気だったが、今はもう目の前の夜戦の事で頭が一杯なのではないだろうか?下手に引き摺って悪影響が出るよりはよっぽど良いがな。
――――――――――――――――――
艦娘達も厳戒体制で待機させていたので、すぐに準備が整い出撃港に集合した。しかも間宮が気を効かせておにぎりの準備をしていたので、出撃する者達も急いで食事を済ませる事も出来たし、白露型姉妹の分も持って行く事となった。
「では今回の目的だが、敵が資材溜まりに前線基地を作ろうとしているのでこれの妨害だ。明日になれば横須賀鎮守府からの応援が到着する予定なので、それまで時間を稼げれば我々の勝ちだ。偵察で確認出来た部隊については、この戦力で勝利出来るだろうが、増援が現れた場合はその場で判断する。川内の感覚を頼りにしているぞ。だから川内も無理はせずに、引き際を間違えないようにしてくれ。」
「任せてよ!!夜戦じゃ誰も沈ませないから安心して待っててよ!!」
「姉さんが無茶しないように見張っておきますのでご安心下さい。」
「ああ、頼んだぞ。それと天龍、今回は川内達の支援部隊にはなるが、遠慮する必要はない。思う存分暴れてこい。」
「おっしゃあ!!俺も夜戦は得意だからな!!大船に乗ったつもりで任せとけよ!!」
「あらあら~天龍ちゃんやる気みたいね~。なら私もい~ぱい沈めて来ようかしらぁ?」
川内達も天龍達もやる気だな。川内は夜戦好きだし、天龍も好戦的な性格だから当然と言えば当然か。
「あの、提督?ちょっと良いですか?」
「ん?大井、どうかしたか?」
「私は面談の時に北上さんに危険な事をさせるなって言いましたよね?なのにこの短期間でまた出撃ですか?しかも今日の相手はかなり手強いみたいですけど?私の話をちゃんと聞いていたんですか?」
大井の目が完全に据わってるな・・・だが今回の作戦に重雷装巡洋艦の二人はかなり重要なのだが・・・
「悪いが今回の戦いでは北上と大井の火力を生かさねば勝機は無い。夜戦が得意な川内の指揮下で戦わせるから、川内を信頼して戦ってくれ。」
「チッ、はぁ・・・分かりました。」
「えぇ~大井っちは私と一緒に行くの嫌なの?私はこれだけ提督から期待されたらテンション上がるんだけどなぁ~」
「北上さんと一緒が嫌なんて事は絶対にありません!!もちろん北上さんと一緒ならどこにでも行きます!!北上さんは私が守りますから!!」
「じゃあ大井っちは私が守るから一緒に頑張ろうねぇ。」
「はい!!」
・・・とりあえず大井もやる気になってくれたようだな。
「雪風と島風もしっかり頼むぞ。」
「はい!!雪風が艦隊をお守りします!!」
「おぅ!?あ、はい、頑張ります。」
雪風は頼もしいが島風はまだまだ慣れない様子だな。長門はただの人見知りだと言っていたし、時間が解決してくれるだろう。それまではあまり無闇に踏み込むべきではないか。
「では総員出撃だ!!」
対深海棲艦戦は人間が出て来ないので、清々しい雰囲気になりがち。
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!