疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 お待たせしました。なかなか納得出来る話が出来なくて、想定よりかなり時間がかかってしまいました。やはり変なところで切るものではなかった・・・


93話

「神通が上げた功績は、他の艦娘達を奮起させた事だ。」

 

「え?・・・どういう事ですか?」

 

 真面目な顔で提督が語る内容は、私には全く心当たりがないものでした。

 

「神通が出撃した後の話だが、五十鈴が私の所に来て、神通が出撃したのならば自分も出撃したいと言って来てな。それをきっかけに球磨・高雄・摩耶も同様に作戦に参加する意思を示した。これは神通の行動がもたらした成果だろう。」

 

「いえ・・・そんな・・・私はただ姉さんに負けたくないと意地を張っただけで・・・褒められるような事はしていないです・・・」

 

「その意地を張ったから五十鈴が張り合って来たのではないか?同じ境遇だった神通が復帰するために努力をし、戦線への復帰を認められた事が他の艦娘達に影響を与えたのだ。理由が意地だろうがなんだろうが、その努力は認められるべきものだと私は考えるが?」

 

 どうなのでしょう?私の努力を評価して下さるのは嬉しいですが、本当に私の行動が他の方達に影響を与えたのでしょうか?

 

「ありがとうございます。しかし私が与えた影響など微々たるものだと思います。私が居なくても五十鈴さん達は出撃しようとしたと思います。私が出撃した事を聞いてすぐに自分も出られると言ったのであれば、聞いた時には既に出撃出来るような体調のはずです。それを私の功績とは呼べないと思います。」

 

「ふむ、もちろん五十鈴達が努力をした事は理解している。ただ少なからず神通の行動が彼女達に影響を与えたものだとも思う。他の者達に良い影響を与える者は、上に立つ人間としては重要な人材なのだ。」

 

「そう・・・ですか・・・」

 

 ここまで言われてしまったのならば、あまり否定し過ぎると提督のお考えを否定する事になってしまい、不興を買ってしまうかも知れません。まだこんな私でも提督は期待して下さっているのであれば、期待に応えられるように努力すべきですね。

 

「今回は連携のミスで損害を出してしまったようだが、今回の件は教訓として次の機会に生かして欲しい。成長出来る事は通常の兵器には無い艦娘の強みだ。だからもっと強くなれ。以上だ。まずはゆっくりと入渠して怪我を治し、疲れをとって来ると良い。ああ、それと川内ときちんと話をしておくべきだな。」

 

「・・・そう・・・ですね。姉さんにはきちんと謝らないといけません・・・」

 

「謝るだけではなくて、きちんと自分の気持ちを聞いて貰え。せっかくの姉妹艦なのだから、わだかまりが残るような事はするべきでは無いだろうと思うのだが?」

 

「私の気持ち・・・ですか。」

 

 私が姉さんに対して抱いている劣等感を、よりにもよって姉さんに話せと言うのだろうか?私の醜い姿を姉さんに・・・

 

「ふむ、姉妹艦であったとしても言えないか?」

 

「いえ・・・これは私が向き合わなくてはならない事なのですね・・・」

 

「私から言わせれば嫉妬なんてものは人間としては持っていて当たり前の感情だがな。それにお互いに認識の違いもありそうだし、ゆっくりと話をしたほうが良いと思うが?」

 

「認識の違いですか?」

 

「川内から聞いた話だと、川内は神通が無事に生きていた事を知っていたようだぞ?」

 

「そうなんですか!?」

 

 なぜ姉さんがその事を!?他の艦娘の人達は知らないはずなのに!?

 

「まあ、何をやらされていたかは知らなかったようだがな。川内は本気で神通達が極秘任務をしていると思っていたみたいだぞ。ずいぶんと簡単に騙されてたとは思うが・・・」

 

「そうだったのですか・・・」

 

 言われてみればせっかく再び会えたのに、姉さんときちんと話をしていませんでしたね・・・私が帰って来た時に迎えてくれなかった事を根に持ってしまい、ずっと姉さんの話を聞かずにキツイ態度を取ってしまっていました・・・

 

「ふむ、話を切り出すのが難しいのであれば、私が話をする場を用意しても構わないが?」

 

「いえ、これは私が向き合わなくてはならない事ですから・・・きちんと私が話をします。」

 

「分かった。ならば私の話は終わりだ。まずは入渠して怪我を治して来ると良い。」

 

「はい、それでは失礼します。」

 

――――――――――――――――――

 

 敬礼をしてから去って行く神通を見送って、一人で大きなため息を吐く。やはり人間関係の問題は苦手だ。損得勘定や敵対する相手なら慣れたものだが、仲を取り持つなど・・・本当にあれで上手く出来ていたのだろうか?だが提督として上に立つのであれば、こういう技能も身に付ける必要があるのだろうな・・・先が思いやられる。

 

「お話は終わったかしら?」

 

 少し気を抜いてしまっていたようで、声がかけられるまで人の接近に気が付かなかったか。声がしたほうを見ると、そこには春雨が立っていた。見た目はいつも通りだが、いつもとは少し雰囲気が違うし、話し方も違うと言うことは・・・

 

「悪雨か?」

 

「あら?分かってくれたのね♪」

 

「話し方が違うからな。それで、何か話があるようだな。ならば先に大淀に連絡してくれるか?いざと言うときに連絡がつかないのは困る。」

 

「はぁ~い。・・・大丈夫みたいよ。あ、ちゃんと春雨として連絡したから安心してね♪」

 

「ああ、助かる。それで話はなんだ?」

 

 そう尋ねると悪雨は少し微笑んで、少しずつ近づいてくる。

 

「そ・の・ま・え・に♪」

 

 自分のすぐ近くまで近寄って来た春雨が笑みを深くする。そして・・・そっと抱き付いてきた。




 次回は悪雨が春雨で悪雨な話になりそうです。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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