疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 悪雨ちゃんが甘えてきた理由とは?
 大丈夫、Ifのほうほど砂糖増し増しのお話ではないよ。


94話(悪雨会話)

「いきなりなんの真似だ?」

 

 突然に想定外の行動をしだした悪雨の意図が分からない。何かしら話があると思ったら、急に抱き付いてくるとは・・・

 

「そんなに邪険にしないでくれるかしら?これも必要な事なのよ?」

 

「はぁ・・・それで?何があった?」

 

 そう尋ねると悪雨はしばらく躊躇うみたいに俯いて沈黙していたが、俯いたままようやく口を開いた。

 

「声が聞こえたの。」

 

「声?」

 

「ええ、深海棲艦の声よ。」

 

「先程の戦闘中に聞こえたのか?」

 

「そうよ。深海棲艦になりかけてから一応聞こえてはいたのよ。ただしノイズ混じりの雑音みたいな感じで全く聞き取れなかったの。それがさっきの戦闘の途中で急にはっきり聞こえたの・・・」

 

 深海棲艦の声か・・・深海棲艦はこちらにとっては理解不能な化け物だが、連中は戦略的な行動がとれるのだから、通信で意志疎通するくらいは出来て当然だが・・・それを悪雨も受信したと言うことか?

 

「・・・それで、連中はなんと言っていた?」

 

「沈めろ、沈めろって何度も言ってたわ。あと手負いの奴を狙え、仲間の仇を討てって・・・だから私は川内さん達が危ないと思って、天龍さんに援護に行くように提案したの。何も知らないはずの姉さん達も協力してくれたから、すぐに天龍さんを説得することが出来たのよ。」

 

「なるほど。そのお陰で川内達は轟沈する事無く帰還出来たのか。敵の通信を傍受出来るとはかなり有能な能力だな。そしておそらく深海棲艦になりかけた悪雨だけの能力なのだろう。ただ能力を使う条件は分かるのか?作戦に組み込むならば不確定要素は出来るだけ排除したい。」 

 

「はぁ・・・やっぱり提督はそう言うわよね。ええ、分かっていたわ・・・」

 

 悪雨は深々とため息を吐いて、呆れたような雰囲気だ。しかしそれでも離れようとはしないのだな。

 

「何かデメリットがあるのか?」

 

「・・・怖かったのよ。」

 

「はぁ・・・」

 

「だから怖かったのよ!!頭の中がぐちゃぐちゃになって!!自分が何者なのか分からなくなりそうで!!深海棲艦側に引っ張られそうで怖かったのよ!!」

 

 つまり意図していなくても深海棲艦側の力を使ってしまった為に、深海棲艦化が進んだという事だろうか?それにしては以前のように髪の色が白くなったりはしていないようだが・・・

 

「そうか・・・有用な能力だが悪雨が深海棲艦化するのは困るな。」

 

「それが分かってるならちゃんと繋ぎ止めて欲しいわ。私は春雨で艦娘でこの鎮守府が・・・姉さん達と提督の居る場所が私の帰るべき場所なんだって、そうすればきっと深海棲艦になりかけても戻って来れるから・・・」

 

 そう言ってより強く抱き付いてくる悪雨を見ていると、以前悪雨が出てきた時の事を思い出す。確かあの時も抱き付いて来て、頭を撫でていたら落ち着いたのだったな。とりあえず頭を撫で始めると、一瞬だけビクッと反応したが少し落ち着いてきたのか、抱き付いてくる腕の力が弱まっていく。

 

「少しは落ち着いたか?」

 

「ええ、でももう少しだけこのままいさせて欲しいわね。代わりに良い情報を教えてあげる。」

 

「ほう?なんの話だ?」

 

「深海棲艦の本能の話よ。深海棲艦が攻撃する時に優先順位があるのは知っているかしら?」

 

「ああ、士官学校でも習ったが、一番が鎮守府で次に妨害してくる艦娘、そして市街地の順だったか?あとは人間以外の動物は狙わないってところか?」

 

 まあ、これはあくまでも経験則を元にした目安であって、必ずこの通りに動く訳ではない。日本各地に鎮守府が出来る以前は、鎮守府が無い人口の多い地域を何度も襲撃されていたので、深海棲艦にとって邪魔な鎮守府が近くにあれば襲う程度のものというのが一般的な認識だ。それに動物を狙わないという話も狙わないだけであって、人間を狙った時の巻き添えに関しては一切考慮してないようだ。

 

「ええ、だいたいそれで合ってるけど、本当は少しだけ違うのよ。」

 

「どこが違うんだ?」

 

「深海棲艦が一番最初に狙うのは提督よ。鎮守府が一番最初に狙われるのは、そこに提督が居るからよ。」

 

「確かに敵の指揮官を狙うのは有効な戦術だ。だが深海棲艦がどうやって提督の居場所を見つけるのだ?」

 

「えっと・・・どうやって説明したら良いのか分からないのだけど・・・その・・・人間って暖かいのよ。そして提督は他の人間と比べて格段に暖かいの。」

 

「暖かい?深海棲艦は温度で判断しているのだろうか?いや、だがそれなら夜の暗闇でも、艤装を背負っている艦娘の動きを把握出来るはずだ。」

 

「ああもう!!だから実際の温度じゃなくて感覚的な話なの!!なんと言うか、本能に訴えかけて来るみたいな奴!!それと艦娘からはそういうの感じないから!!」

 

 うーむ、全く理解は出来ないが、深海棲艦の事で理解出来ている事のほうが少ないのだ。これは深海棲艦にはそういう事を本能で感じられるとして、話を進めたほうが良いか。

 

「分かった、とりあえず深海棲艦は人間や提督の居場所を察する事が出来るのだな?」

 

「ええ、そうよ。ついでに言えば、この感覚は普通の艦娘も持ってるの。まあ、大森提督の時はそこまで感じなかったから、艦娘は深海棲艦ほど敏感に感じて無いと思うけど・・・」

 

「なるほど、なら悪雨は私の存在を暖かく感じているのか?」

 

「ええ、それはもう凄く感じてるわよ。そしてその暖かさに悪感情を抱く深海棲艦の本能と、暖かさを心地よいと感じる艦娘の本能があるの。だからこうやって暖かさに触れて、提督が私に優しくしてくれたら、艦娘の本能のほうが強くなるの。そうすれば私は艦娘でいられると思うの。だから最初に言ったでしょ。これは必要な事だって。」

 

 なるほど、ようやく悪雨の行動が理解出来た。ようするに今回の戦闘で原因は不明だが、深海棲艦に近づいてしまった。だから艦娘として生きたい悪雨が提督である私を使って、深海棲艦化の治療をしているという事だな。

 

「なるほど。これはかなり重要な情報だな。これで深海棲艦の動きが少しだけ理解出来て、戦闘を有利に進められるかも知れない。」

 

「そう・・・」

 

 ん?先程まで少しだけ機嫌が良さそうだった悪雨の雰囲気ががらりと変わる。怒っている訳ではないようだが・・・

 

「ねぇ、提督・・・」

 

「なんだ?」

 

「正義って何かしら?」

 

「は?」

 

「深海棲艦の会話が聞こえた時に、仲間の仇を討てって言ってたの。それって深海棲艦にも仲間意識があって、仲間の為に戦えるってこと。それって正しい事じゃない?今までは深海棲艦は悪で私達が正義だと思ってた。少なくとも前の提督はそう言ってたわ。そこに関して提督はどう考えているのかを知りたくて・・・」

 

 なるほど。深海棲艦の声を聞いてしまったが故の悩みか。まあ、分からなくはないが・・・私の答えは参考になるようなものだろうか?




 提督の考える正義とはいったいなんでしょう?

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
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  • 第七駆逐隊
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  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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