疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は割りと重めな話かも知れないです。でもこの作品は本来こういう感じだった気もします。
 もうすぐ100話が見えて来ました。先行きは見えませんが、皆さんの感想・評価・ここすき等を支えに頑張ります。
 あといつも誤字報告して下さる方々、いつもお世話になっております。


95話

「はぁ・・・正義か・・・私もこの国の軍人だから大本営の奴等が掲げる正義ってものを知ってはいるのだが・・・今更そんなものが知りたい訳ではないのだろう?」

 

「ええ、そうね。それくらいなら私だって知っているもの。知りたいのはあくまでも提督がどう考えているかよ。」

 

 自分にずっと抱き付いていた悪雨がそっと離れて、真剣な目でこちらを見定めようとしている。誤魔化しが通用するとは思えないか・・・

 

「始めに言っておくが、悪雨が納得出来るような答えは持っていない。それでも聞きたいか?」

 

「ええ、知りたいのは私達が命を預けている提督の考えよ。だからそんなに焦らさないで教えてくれないかしら?」

 

「分かった・・・そもそも私は正義という言葉が嫌いだ。あんなものはただの言い訳に過ぎないからだ。」

 

「・・・どういうことかしら?」

 

「正義だ悪だと口にするような奴は、誰かを攻撃する為に自分と周囲に言い訳をしているだけだと思っている。あいつは悪だから攻撃する自分は正しいので、暴力に訴えようが権力で潰そうが自分は悪くないと。そこにあるのは結局は自分の都合があるだけにも関わらずだ。そして声高々に正義を叫べば、大概の人間はそれに同調してしまうものだ。」

 

「その・・・ずいぶんと過激な考え方ね。」

 

 悪雨もかなり困惑しているようだが、私の持論を語れと言ったのは悪雨だ。

 

「ああ、そうだな。だが正義だなんてそんなものだ。私の兄は提督だった。兄が愛していた艦娘が深海棲艦化してしまってからは、兄は深海棲艦化してしまった艦娘を救おうと、熱心に研究をしていたのだ。そんな愛する者を救おうとしていた兄は軍の上層部の奴等から処刑されたのだ!!」

 

「そ、そんな事って・・・」

 

「軍の上層部の奴等が言うには、国を守る英雄である艦娘を深海棲艦と同一視し貶めることで、国に混乱を招こうとする大罪人との事だ。これがあいつらが言い張った正義だ!!本当は艦娘を消耗品扱いしていた奴等が、兄の研究を邪魔だと感じただけなのに!!何が正義だ!?そこにあるのはあいつらの都合だけだ!!そんな正義なんて言い訳を私は絶対に認めない!!」

 

「ちょ、ちょっと、提督!!落ち着いて!!」

 

 悪雨が慌てて自分に落ち着くようにと、少し涙目で言ってくる。つい感情的になってしまったようだ・・・悪雨に怒鳴ったところでどうにもならない話なのに、つい熱くなってしまった・・・

 

「すまない・・・少し感情的になりすぎた。」

 

「いえ・・・提督の考えが知りたいと言ったのは私だから気にしないで。普段冷静な提督がここまで感情的になるとは思ってなかったから、少し驚いただけよ・・・」

 

「普段は軍人として自制しているのだがな。悪いがこの話は誰にも言わないで欲しい。この話がどこからか漏れて、上層部の奴等に嗅ぎ付けられては困るからな。」

 

「ええ、約束するわ。それで・・・もうひとつだけ質問して良いかしら?」

 

「ああ、なんだ?」

 

「今の話を聞いた上で聞くけれど、提督はなんの為に戦うの?私が言うのも変な話だけど、なんだか深海棲艦より人間を恨んでるみたいに感じたわよ?それなのにどうして人間を守る為に深海棲艦と戦っているのかしら?」

 

 深海棲艦より人間を恨んでるか・・・

 

「勘違いをしているようだが、私が恨んでいるのは軍の上層部であって、人間を恨んでいる訳ではない。そして提督となったからには、兄が守ろうとしたこの国を守りたいと思っている。それに私が生きていく環境を守る必要もある。ようは動物が縄張りを守るのと同じだな。だから邪魔する者は深海棲艦だろうが人間だろうが関係無く排除するつもりだ。」

 

 そう告げると悪雨はしばらく目を閉じて、言葉を噛み締めるように沈黙する。そして再びこちらを見た時には、覚悟を決めた目をしていた。

 

「分かったわ。なら私も姉さん達と提督が居るこの鎮守府を、居心地の良いこの場所を守る為に戦うわ。だからもう迷わない。春雨として、悪雨として、私の持ち得る全てを使って私の居場所を守るわ。」

 

「ああ、それで良い。」

 

「だから・・・この居心地の良い場所を壊したりしないでね?もしそんな事したら・・・提督が相手でも戦うから。」

 

 そう言って深い笑みを浮かべる悪雨はなかなかの迫力だな。今の姿は春雨なのに普段の春雨のおどおどした雰囲気は一切なく、底知れぬ威圧感を感じる。

 

「ふふっ、肝に銘じておこう。では今後も宜しく頼む。」

 

「ええ、こちらこそ姉妹共々宜しくお願いするわね。じゃあそろそろ私は行くわね。もうすぐ天龍さん達も帰ってくるはずだし、そろそろ姉さん達が入渠を終える頃だもの。提督と二人きりの所を姉さん達に嗅ぎ付けられたら、絶対にズルいって騒ぎ出すと思うし。」

 

「そうだな、白露が私が一番だと騒ぎ出すのが目に浮かぶ。では大淀にここでそのまま天龍達の帰りを迎えるから、こちらに来るように伝えてくれるか?」

 

「ええ・・・すぐに来るそうよ。じゃあ私はこれで失礼するわね。」

 

「ああ、明日に備えてゆっくりしてくれ。」

 

「はぁ~い。んっ・・・あ、あの、お話を聞いて下さってありがとうございました。今後とも宜しくお願いします、はい。」

 

 急に雰囲気が変わったかと思うと、ペコリとお辞儀をして悪雨・・・いや、春雨は小走りで去って行った。悪雨も春雨の一部だという話だが、あそこまで性格が変わると別人のように思えるのだが、今の対応を見ると悪雨が表に出ている時も春雨は話を聞いているようだな。同一人物だから記憶を共有しているのか?春雨と悪雨にはまだまだ謎が多いな・・・




 艦娘を好戦的に洗脳していく提督の鑑。

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!
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