疑心暗鬼提督のブラック鎮守府再建   作:ライadgj1248

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 今回は帰って来た艦娘達とのほのぼの回の予定です。前回までが重めの話だったので、息抜きは必要ですな。


96話(夜戦報告)

 大淀と共に天龍達を待っていると、ちょうど日付が変わる頃に天龍達は戻って来た。天龍と島風は多少の損傷があるが、それ以外の者に目立った損傷はなく、旗艦の天龍を筆頭に良い顔をしていた。

 

「おう提督、今帰ったぜ。」

 

「ああ、連戦お疲れ様。全員無事なようでなによりだ。」

 

「あー、今回はこっちもかなり損害受けたんだけどよ、そこはおとがめ無しか?」

 

「相手の戦力を考えれば、無傷では済まない事は覚悟していたからな。轟沈者が出ずに敵を殲滅出来たのであれば十分な戦果だ。後続の敵艦隊もきっちり仕留めてくれたようだしな。」

 

「たりめぇだろ?あの程度の敵に遅れは取らねぇよ。むしろあんな戦力差で攻めて来るなんて自殺行為だろ?勝つつもりがあるのかって話だぜ。」

 

 ん?勝つつもりがない・・・いや、確かにあれは偵察部隊のはずだから、勝つつもりはないはずだが・・・偵察部隊?規模としては偵察部隊のはずだが本当にそうなのか?本当に別の意味合いはないのか?

 

「おい提督、急に黙り込んでどうした?なんかあったのか?」

 

「ああ、いや、済まない。少し考え事をしていただけだ。では報告は明日で構わないから、入渠を済ませて早めに休んでくれ。明日も油断は出来ないからな。」

 

「了解だぜ!!へへっ、なんか提督が来てから深海棲艦の奴等と戦う機会が増えてきたな!!提督がなんか呪われてんじゃねぇのか?」

 

 呪われているか・・・正直こんな鎮守府へと配属されて、直後に姫級が近くに居ると発覚したことを考えると、存外呪いってのも笑えないかも知れないな。だがしかし起こった問題の半分以上は人災なのを考えると、呪いのほうが冤罪だと叫びそうだ。

 

「さあな?戦うのが怖いのなら後方勤務にしてやろうか?」

 

「おいおい冗談キツイぜ提督!!この天龍様がビビる訳ねぇだろ?この調子でガンガン戦わせろって話だぜ!!」

 

「ふふっ、今後も期待している。だから今は休んで次に備えておけ。」

 

「おうよ!!」

 

 そう言って拳を付き出してくる天龍に拳を合わせて送り出す。本当に天龍はこういう男らしい仕草を好むのだな。ぞろぞろと天龍について行こうとする艦娘達を見てふと思い出す。

 

「ああ、そうだ、北上。」

 

「ん~?なぁに提督?」

 

 のんびりと振り返った北上と、その隣で鬼のように睨んでくる大井。いや、そこまで警戒されるような話ではないのだが・・・

 

「川内と神通がやられた後に、とっさに撤退の判断と指揮をしてくれたそうだな。おかげで川内達を沈めずに済んだ。良くやってくれた。」

 

「いや~そりゃ当然の事だって。仲間が沈むのは嫌だし、それにいつも提督が口酸っぱく言ってるじゃん、私達を無駄に沈める気は無いってさ。だから無理しないようにしただけだって。」

 

 そう言って北上は謙遜するが、この判断が出来た有能さを理解出来ていないようだな。前任者のせいでブラック鎮守府の思考に染まっている艦娘が多い現状で、即座に無理をしない判断が出来た事は大きな意味を持つ。

 

「だが私の意志に合った判断を下せるのは非常に良い事だ。戦闘が始まると鎮守府とのやり取りは非常に難しくなるものだから、現場での判断力を磨いて貰う必要がある。今後も期待しているから宜しく頼むぞ。」 

 

「ふふん、まあ、そう言う事ならスーパー北上様に期待して貰おうかなぁ。提督に頼られるのは悪くない気分だしさぁ♪」

 

 北上はどや顔しながらも若干照れた様子ではにかんでいる。その横顔をうっとりしながら眺めている大井からは、少し危ない気配を感じてしまうが・・・まあ、険悪ではないのだから気にする必要はないか。

 

「やっぱり北上さんは素敵ですね♪」

 

「えへへ♪そうだよねぇ♪まあ、提督もこう言ってるし、大井っちも一緒に頑張ろうね。」

 

「はい!!北上さんと一緒ならいつでも頑張れます!!まあ、提督も北上さんの素晴らしさを理解しているようですし・・・少しは話が分かる奴みたいですし。」

 

 北上に蕩けるような笑顔を向けていたかと思うと、急にわりと冷めた目でこちらを見てくる。まさかあの状態から大井が北上から目を離すとは思わなかった。一応大井も多少は私を認めてくれていると判断して良いのだろうか?

 

「いや、その言い方はちょっと失礼だからダメでしょ?もうちょい仲良くしようよ?」

 

「はぁ~い、北上さんがそう言うなら仕方ないですねぇ・・・」

 

 相変わらず北上が大井の手綱を完全に握っているようだな。北上が協力的な奴で本当に助かる。

 

「話は以上だ。二人ともゆっくり休んでくれ。」

 

「ほいほ~い。んじゃ大井っち、入渠しに行こっか?」

 

「はい♪二人でゆっくり入渠しましょう♪」

 

「もぉ~大井っち、近いって~本当に甘えん坊だなぁ~」

 

 とりあえず二人を見送ったので、大淀と二人きりになった。艦娘達とのやり取りの最中も、私から一歩下がった位置で待機してくれている姿は、本当に秘書艦が様になっていると思う。

 

「ではそろそろ執務室に戻るとしよう。今晩は警戒を怠れないが、少し仮眠を取っておきたい。大淀も曙と交代で仮眠を取っておけ。」

 

「いえ、私は艦娘ですし、徹夜くらいは問題ありませんよ?」

 

「大淀には明日もしっかり働いて貰う必要があるから、休める時はしっかり休め。明日は横須賀からの応援も到着するし、小森も来る予定になっている。曙の性格だとそういう対応は難しいかも知れないからな。やはり外部との通信等も大淀の方が・・・」

 

 ・・・ん?外部との通信?・・・そう言えば長門鎮守府からの通信を絶っていたな・・・

 

「どうかされましたか?」

 

「なぁ大淀、長門鎮守府からの連絡を無視して良いと言ったが、あの後に何か連絡はあったか?」

 

「そうですね、あの後しばらくは鬼のように通信をかけて来ましたし、20時くらいにまた通信がありましたが、罵詈雑言を言うだけでしたし夜戦に集中するべきでしたので、提督にはお繋ぎ致しませんでした。」

 

「そうか・・・なら良いのだが・・・」

 

 だが何か嫌な予感がする。

 

「20時くらいにかかってきた時に何か言っていなかったか?」

 

「そうですね・・・お昼過ぎにかかってきた時とほとんど同じような感じでしたが?お前達のせいで私の艦隊が壊滅した、軍法会議にかけてやるから覚悟しておけ、鶴野提督の不興を買うとどうなるか思い知らせてやると。泣いて土下座で詫びを入れるならこれが最後だぞとかも言っていましたが・・・どれも重要な話ではないと判断致しましたが・・・」

 

「ああ、それで問題無い。」

 

 そう、問題無いはずなのだが・・・

 

「最後に自分はもう寝るから、最低限夜間の警備くらいはしておけと言い捨てて通信を切られましたが・・・相手にする必要は無いかと。」

 

「なんだと!?」

 

「ひっ!!申し訳ございません!!」

 

「あ、いや、大淀は悪く無いから謝るな。悪いのはあの無能なクズだ。」

 

 姫級の脅威があるのに呑気に惰眠を貪るとかどういう神経をしてやがる!?しかも夜間の警戒を他所の鎮守府に丸投げしようだなんて、度しがたいクズだ。そしてもしも・・・もしもだが、資材溜まりに現れていた艦隊が、こちらの注意を引く為の囮であったら?

 

「予定変更だ。今からすぐに艦隊を編成する。」




 姫級の脅威があるのに息抜きする余裕があるとでも?

もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。

  • 主人公葛原提督率いる問題児四天王
  • 大淀
  • 長門・陸奥
  • 第七駆逐隊
  • 川内・神通
  • 明石・夕張・間宮・鳳翔
  • 第六駆逐隊
  • 北上&大井
  • 青葉&衣笠
  • 金剛姉妹
  • 伊19・伊168
  • 赤城&加賀
  • 翔鶴&瑞鶴
  • 白露型姉妹
  • 島風&雪風
  • 天龍&龍田
  • 龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
  • 朝潮・木曾・陽炎・不知火
  • 叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
  • 俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!

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