急遽艦隊の編成をすると言われて、大淀は緊張感を増したようだ。状況を理解してはいないだろうが、こちらの雰囲気からあまり良くない状況だと察したのだろう。
「艦隊の編成との事ですが誰を呼びますか?」
「そうだな・・・主力として金剛姉妹と青葉に吹雪、護衛として球磨・五十鈴・第六駆逐隊だ。全員に召集をかけてくれ。」
「はっ!!すぐに召集致します。」
「それともし、長門鎮守府からの連絡があったらすぐに繋げてくれ。」
「分かりました。」
はぁ・・・この予測が杞憂で済めば一番楽なのだがな・・・
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「提督、総員集合しました。」
「分かった。では今回の目的だが、長門鎮守府方向への救援目的で、長門鎮守府の警戒網の外側付近の索敵及び発見次第その殲滅だ。はっきり言って今の長門鎮守府はほとんど機能していない。正直に言えば無能の尻拭いなどしたくは無いが、一般市民を守る為には動かなくてはならない状況となっている。」
「長門の連中が助けを求めてるなら仕方ないクマね。さっさと行ってぶっ飛ばしてやるクマ。」
球磨がやれやれ仕方ないなぁという雰囲気を出しながらも、若干嬉しそうにしている。おそらくは深海棲艦相手に鬱憤をぶつけられる事を喜んでいるのだろう。
「いや、今回は長門鎮守府からの救援要請があった訳ではない。そもそも長門鎮守府から交戦しているなどの連絡も無い。」
そう伝えると艦娘達はかなり驚いたようだ。まあ、救援が目的なのに救援要請が出ていないのだから、驚くのも無理は無い。
「どういうことクマ?敵艦隊がいないのに球磨達は救援に向かうクマ?」
「ああ、そうだ。あくまでも私の予測で長門鎮守府に大規模な襲撃があると考えているだけだ。そしてそうなったら簡単に長門鎮守府は崩壊するだろう。そういう最悪の事態を防ぐ為に先に行動している。」
「じゃあなに?五十鈴達は深夜にここまでの艦隊を編成しておきながら、無駄足になるかも知れないって訳なの!?」
「ああ、むしろ私としては何も無いほうが楽なのだがな。あときちんと言っておくが、何もなかったから無駄足という考えは止めておけ。何も無い事を確認出来たのであれば、それも一つの成果だと私は考えている。まあ、大本営の奴等は結果だけを見て笑うだろうが、そんな奴等は勝手に笑わせておけ。懸念は出来る限り潰しておくのが私のやり方だ。」
そう伝えると五十鈴と球磨は若干げんなりとした雰囲気を漂わせる。この方針に関してはそのうち慣れて貰うしかないな。
「それなら五十鈴達の部隊だけで十分じゃない?偵察して本当に敵艦隊が迫っているなら、改めて金剛さん達を出せば良いじゃない。こんなの資材の無駄よ?」
「五十鈴、その提案は却下だ。今回は火力持ちの金剛達を救援にいつでも行ける状態にする為の行動だ。向こうから連絡があってから動いては、救援が間に合わずに各個撃破される危険性があるからだ。私は長門鎮守府には戦艦を主力とした部隊が来る事を想定している。」
「はぁ・・・分かったわ・・・五十鈴はもう何も言わないけど・・・金剛さん達は何かないの?」
「Nothing、私達は提督に従うだけネ。」
「はぁ、ずいぶん信頼してるのね・・・」
金剛に話を振るも一蹴されてしまい、ますますげんなりする五十鈴だった。金剛の場合は信頼などよりもただ単に命令に従うだけだろうが、それでもきちんと命令を聞くので助かる。
「では出撃の準備を整えたら出発してくれ。それと五十鈴は対潜装備で出撃してくれ。」
「ふーん、潜水艦がいるかも知れないってわけね。」
「ああ、私が敵の指揮官であれば、救援に向かう部隊の妨害の為に潜水艦を使う。救援に急いで向かう部隊であれば、警戒が疎かになりやすい。それに敵艦隊がまだ先だと思い込んでいるならなおさらだ。だから五十鈴の高い対潜能力でこちらの艦隊を守って欲しい。やれるな?」
「そういう事なら五十鈴に任せておきなさい。」
先程まで少し不機嫌だった五十鈴だが、対潜能力を認められたのが嬉しかったのか、少し機嫌が良くなったようだな。
「ああ、頼んだ。球磨と暁達も金剛達の護衛を頼んだぞ。」
「提督の考える事はよく分からんクマ。でもとりあえず敵を探して殴れば良いクマね。」
「ふふん♪暁はレディだから任されたお仕事はちゃんと出来るわ♪」
「そうそう、もーっと私に頼っても良いのよ♪」
「い、電も頑張るのです。」
「了解。司令官、帰ったら何か良いものを期待しているよ?」
球磨は意外と脳筋思考なのだろうか?今回は五十鈴には対潜に専念して貰うために球磨を旗艦としたが、少し心配になってきたな。まあ、金剛達の護衛だから金剛達がしっかりしていれば問題無いか。第六駆逐隊の者達もやる気みたいだから、上手くやって欲しいものだ。
「吹雪も金剛達の護衛を頼むぞ。護衛のメインは球磨達だが、一番近い場所に居るのは吹雪なのだから油断はするなよ?」
「は、はい!!が、頑張ります!!」
吹雪はかなり緊張しているようだな。そして若干震えているようにも見える・・・あ!
「一応釘を刺しておくが、護衛として戦うのとただの盾として沈むのは違うからな?以前の提督がさせていたような戦い方はするなよ?」
「りょ、了解しました!!」
うーん、一応釘を刺したとは言え、少し気になるか・・・まだまだこの辺の意識改革が必要だ。
「金剛、今回は戦場の状況がまだ分かっていない状態だ。だから情報を集めて随時こちらから指示を出す。金剛達が今回の主力だから、戦艦としてそれ相応の戦果を期待している。ただしこんな戦いでお前達を沈める訳にはいかないから、金剛がこれ以上は危険だと判断した場合はすぐに撤退して良い。分かったか?」
「OK、仕事はきちんとやるから大丈夫ネ。」
まあ、淡白な反応だが問題は無さそうだな。比叡と霧島も真面目な表情だし、榛名もやる気に見える。
「あ、あの~青葉はどうすれば良いのでしょうか?」
おずおずと青葉が尋ねてきた。営倉から出たばかりで若干気まずいのだろうか?
「青葉には探照灯を使って貰う。だから青葉はサポートメインだな。危険な役回りだがしっかり頼むぞ。」
「了解です!青葉にお任せください!!」
ビシッと敬礼を決めた青葉は、いつもより真剣な表情だ。こうやってオンオフをしっかり切り替えられるのは良い事だ。
「では全員すぐに準備をして出発してくれ。」
「「「はっ!!」」」
艦娘達を敬礼で送り出してから、大淀と執務室へと戻る。今夜はまだまだ眠れそうに無いな。
「それにしても意外でした。」
「何がだ?」
「てっきり長門鎮守府の要請は無視するかと思っていましたので・・・」
「まあ、感情的には非常に不本意だが、今回は一般市民にも被害が出るかも知れないからな。手遅れな状況であれば手を出さないが、まだ間に合うのならばなんとかするしかない。いくら長門鎮守府の提督が気に入らないからと言って、私の意地でこの状況を見過ごすのは軍人として問題だからな・・・能天気に惰眠を貪っているクズに殺意が湧いてくるけどな。」
「なるほど、よく分かりました。私も精一杯サポートさせて頂きます。」
「ああ、頼んだぞ。」
戦闘準備はほのぼの回。というか人間が出て来なければほのぼの回。
もうすぐ一周年と言う事で久しぶりにアンケートをしたいと思います。この作品のキャラでの人気投票的なやつです。是非ご参加下さい。
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主人公葛原提督率いる問題児四天王
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大淀
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長門・陸奥
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第七駆逐隊
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川内・神通
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明石・夕張・間宮・鳳翔
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第六駆逐隊
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北上&大井
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青葉&衣笠
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金剛姉妹
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伊19・伊168
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赤城&加賀
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翔鶴&瑞鶴
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白露型姉妹
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島風&雪風
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天龍&龍田
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龍驤・五十鈴・球磨・摩耶・高雄
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朝潮・木曾・陽炎・不知火
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叢雲ちゃん率いる横須賀艦隊
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俺の嫁が出てねぇぞ!!早よ出せや!!