カナエととら   作:ぶんた

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産屋敷邸にて

「遠くに行ってもらっていたのに、すまないね」

「いえ」

 

 カナエは産屋敷耀哉の元に膝を着き、頭を垂れていた。

 

「まずはこちら。日崎御門殿だ」

 

 耀哉の隣に漂う気配にカナエも気づいていた。生身の人間ではない。そこには白い着物を着た、妙齢の美女がゆらゆらと正座をしていた。

 

「緊急とのことで、思念体を飛ばしてくれているそうだ」

「私は日崎御門といいます。貴女が胡蝶カナエさんですか。お会いしたかったです」

「日崎様……。ああっ!その節は申し訳ございませんでした」

 

 カナエは思い当たり、小さくなった。

 日崎御門。たしか獣の槍を管理する団体の主のはずだ。そんなに大切なものを、結果的に無断拝借してしまっていた。

 お屋形様が話をつけてくれたと聞いてはいたが、機会があれば直に謝罪したいと思っていたのだ。

 

「よいのです。槍が貴女を選んだのですから」

「はい……」

 

 その優しい微笑みに、カナエはますます小さくなる。

 

「それより、うちの僧達が迷惑をかけませんでしたか?」

「いえ。私の鍛錬の相手をしてくれました。僧というだけあって、皆さま徳のある方々ですね」

「!」

 

 静かに微笑むカナエに御門は目を瞬かせた。

 

「ふふっ!噂通りの人ですね。花柱」

 

 楽しそうに笑いだす御門の隣で、耀哉も穏やかに微笑みを浮かべる。

 

 

*****

 

 

「それでこの度はどのようなお話ですか?」

 

 首を傾げるカナエに耀哉は小さく頷いた。

 

「ああ。色々と事態が動いてね」

 

 光を失った瞳がカナエに向けられた。

 

「獣の槍は大妖怪、白面の者を斃すためにつくられたのは知っているかい?」

「はい。槍に聞いています」

「その白面とやらが、鬼舞辻と接触したそうなのだ」

「!」

 

 耀哉の言葉にカナエが目を見開く。

 

「白面の狙いはお前の持つ獣の槍とこの日崎殿のようだ」

「……」

「鬼を討つ我々鬼殺隊と妖を調伏する光覇明宗は討つ相手の違いから、不干渉を保ってきた。だが、お互いの仇敵が手を結んだとなら話はかわる」

「我らは大きな集団のようですが、妖を折伏できる法力僧は多くありません。そして貴方達の討つ鬼はやっかいな相手ですので貴方達にお任せしていたのが実情なのです」

 

 御角は辛そうに眉をよせた。

 

「………」

 

 御角の様子に、カナエは視線を下げる。 

 

「現在白面は厳重に封印されているそうだ。ならば動くのは鬼舞辻になるだろう。ずっとつかめなかった鬼舞辻の情報が得られるかもしれない。私は、この共闘に頷くことにした。カナエ、協力してくれるかい?」

 

 耀哉の言に、カナエが異を唱えるわけもなく。カナエは静に深く一礼した。

 

「獣の槍は魂を代償として力を与えてくれるそうだね?」

「はい」

「……魂を全て捧げたものは、獣となるそうです」

「それで、獣の槍……」

 

 御角の言葉に耀哉とカナエは息を呑む。

 

「このようなことを言うのもおかしな話ですが、使用には十分気を付けてくださいね」

 

 御角の忠告にカナエは頷いた。

 

「その槍は白面とやらは勿論、鬼舞辻に対しても切り札となるはずだ。お前には負担をかけるがよろしく頼むよ」

「はっ」

 

 カナエは静かに頭を下げた。




※日崎御門についての考察

 うしおの前に現れた御門はすっかりお婆様でしたが、明治時代飛頭蛮を封印した時は美しい女人であったそうです。
 今作は大正なので、姿はそちらとしました。
 白面封印の任を交代しているので、能力はかなり衰えていると思われます。急速に老化が進んだのかもしれません。
 それでもくらぎ戦で圧倒的能力を有しているので、雑魚のくせに外道な飛頭蛮すら退治ではなくあえて封印をした日崎御門を、カナエのような不殺を思う人物ではないかと考察しています。


※ぎゃー!すいません!
 執筆中の別のものを投稿したりです!!
 慌ててけしました!
 ほんと、ごめんなさい!
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