逢魔が時。
ツバの広い黒い山高帽に黒い背広。端正な顔立ちの男が浅草の街をゆっくりと歩を進めていた。男の名は夢幻魔実也。
少年の両眼を抉り、その臀部の肉を剥ぎ取るという猟奇犯罪。一時なりを潜めたものの、ここ最近同じ手口の犯行が立て続けに行われたのだ。探偵である魔実也は警察からこの連続殺人事件の依頼を受け、現場を巡っていたのだった。
目的の場所で魔実也は歩を止め目を細めた。その場に佇む人物を確認したからだ。
長い黒髪。その頭の左右には蝶の飾り。黒い詰襟の上に蝶の羽を思わせる模様の白い羽織を纏った少女だった。目を閉じ頭を下げ、両手を合わせている。遺族だろうか?情報にはない人物だ。
それだけならよかったが、このご時世に帯刀し背中に槍を背負っているという、まさに不審人物。
「こんばんは」
魔実也はゆっくりと声を掛け反応を探る。
その言葉を受け少女は目を開き、魔実也に視線を向けた。花のように美しい少女だった。
「こんばんは」
少女はゆっくりと挨拶を返す。
「ここでなにを?」
「人が亡くなったそうなので、ご冥福をお祈りしてました」
魔実也の問いに少女は視線を下げ答えた。
「遺族の方ですか?」
「いえ違います。それよりあなたは?」
「私は警察から依頼を受けて、この事件を捜査している探偵です」
「たんてい……」
様々な問題解決の手助けをし、時には警察に協力して犯罪事件の解決を助ける探偵という職業は日本ではまだなじみの浅いものだ。理解できなかった少女は長い髪を揺らし首を傾げる。
「私はこの連続殺人を調べているのです」
要領を得ていない少女に魔実也はわかりやすく説明した。
「そうですか。なら、もう関わらないほうがいいですよ」
少女は厳しい表情で魔実也を見つめた。
「それはどういうことです?あなたはなにを知っているのですか?」
「私は鬼殺隊です。警察にはそう伝えてください」
魔実也は目を細め少女を見つめる。その視線を受け少女はゆっくりと答えた。
「周りにへんな気配はないな」
「そうですか」
「!」
その少女の肩に金色の長い鬣の四足獣が舞い降りる。身構える魔実也に少女と獣は目を瞬かせた。
「見えているんですか?」
「あ、ああ」
突然のバケモノの出現に驚いた男同様に、隠密を得意とするバケモノを知覚する男に少女は驚いたようだった。
「君は一体……」
「いいですか?これは人ならざる存在の起こした事件で、とても危険なのです。警察にも通達があるはずですから手を引いてください」
「……」
「私が来ました。問題はありません」
険しい表情で警告する少女を見つめる魔実也の目が細まる。
「では、ごきげんよう」
少女は人間離れした跳躍で魔実也の前からあっという間に消えたのだった。
「へえ。あれが噂の鬼殺隊か。あんな娘さんがそうとはね」
魔実也は面白そうに、にまりと微笑んだ。
大正クロス候補、いっぱいあるんですがー
全員微妙にずれてて;
ですが、とりあえずこのひとならへーきかな?うふふ!
コソコソ。
臀肉事件は、ほんとにあったらしいですよ。
なんですけど、臀肉のインパクト強すぎてネタが広がんなかったです;
→サブタイトルから消しました;