カナエととら   作:ぶんた

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【番外編肆】年の瀬編

『さん、にい、いち!あけましておめでとうございます!今年は寅年ですね!……』

 

 とらはTVの前でぼうっとその画面を眺めていた。その後ろで。

 

「おお!うしお!見たか?見てたか?父は年越しの瞬間、この地上にはいなかったのだぞ!」

「やかましい!いい歳した大人がはしゃぐな!」

 

 ぎゃーぎゃー騒ぎ立てジャンプを繰り返す紫暮を、うしおは半眼のジト目で怒鳴りつけていた!

 

「くそ、みっともねぇ。どうしてあれは、ああなのか……」

 

 父、紫暮のはしゃぐ様子にうしおは肩を落とす。そしてうしおは金色の妖に視線を移した。

 

「おい、とら。ちゃんと年越しそばは食ってんのかよ?」

「あ?なんというかずいぶんな出来だったがよ。まあ、食ってやったがな」

「それは俺が作ってやったもんだろうがよ?喧嘩うってるのか?」

「ああ?事実をいったまでだろうがよ。あそこで食べた料理に比べれば、おまえのなんかもうゴミ屑よ」

「あそこ?」

 

 眉をよせるうしおに、とらは首を傾げる。

 

「ああ、あそこよ。だが……」

 

 あたたかい雰囲気。やさしい娘達のいるあれは……。長い黒髪。蝶の髪飾りをした娘が微笑む……。

 

「とら!」

 

 めずらしく考え込むとらに、うしおは声を掛けた。

 

「あ?ああ、なんでもねえ」

 

 乱暴にとらは言い捨てる。

 

「ふーん?まあよ?今年は寅年なんだぜ?」

「?」

「いろいろ大変な年だけどよ。とら!おまえの年じゃねえか!だから張り切ってくれって言ってんのよ!」

「ああ?わけわからん」

「ははっ!そうだろうな!まあ真由子がたらふくハンバーガーもってきてくれてるからよ!それでがまんしろや!」

 

 困惑するとらをうしおはバシバシ叩きながら笑いかける!

 

「…………」

 

 そんなうしおをとらはめんどくさそうに眺めた。

 

 

*****

 

 

「バケモノ様。年越しそばはいかかですか?」

 

 掛けられた声にバケモノは我に返った。

 

「あ?ああ、これはどうして、なかなかのものよな」

 

 バケモノは丼によそわれたそばを、そのまま口に注ぎ込む。

 

「あらあら!ふふ!さすがアオイ渾身の年越しそば!お気に召していただき、私もとても嬉しいです!それに、今年は寅年。なんとなく、バケモノ様はとても縁起が良い気がします!」

 

 バケモノの食いっぷりに、カナエは満面の笑みを浮かべていた。

 

「……うむ。これに比べれば、アレはまったくよ……」

「なにと比べると、ですか?」

 

 バケモノの言葉を拾い、カナエは目を瞬かせる。

 

「む?」

 

 カナエの反応にバケモノは視線を彷徨わせた。

 生意気そうな小僧が騒いでいたような……。

 

「ああ?なんでもねえ!それより、もっと食い物をもってこい!」

「はい!ただいま!」

 

 バケモノの大きな声に、カナエは満面の笑みで答えた!

 

「あとは、はんばっかだな」

「はい?はんばっかとは何ですか?」

「うん?なんだったか……」

「?」

 

 顔を合わせたカナエとバケモノは目を瞬かさせ、首を傾げるのだった。




 今年もたいへんな年になりそうですがー。
 とら年ですもの!はりきっていきませうー!(注2022(寅)投稿)

→日本におけるハンバーガーは第二次世界大戦後、佐世保の駐留した米軍からだそうです。
 ハンバーガーの原型は18世紀だとか。てれやけばっかはまだまだ先ですねぇ
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