カナエととら   作:ぶんた

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 双六大好き善逸のー
 今日の一振り!
 そーれ!
 いち、に、さん……。

『やったぜ!黄金週間!ゆっくり九回休み!』

 って、え?すごいハズレマス!ありえなくない?
 九回休みとかさー!
 ちぇー。しかたないから休みじゃないひとのこと、応援しちゃおうかなー!
 フーッ!


刀鍛冶の里にて

「しのぶー?」

 

 柱合会議から蝶屋敷にもどったカナエは、大声で妹を呼んだ。

 

「おかえり姉さん。で、なに?」

 

 その声に反応し、しのぶが奥から顔をだす。カナエは愛しい妹の顔を見つけ、喜びに微笑みながらぱたぱたと小走りに近寄る。

 

「ええーっと……ね?んー」

「?」

 

 そうしていざ目の前になると、カナエは視線を彷徨わせだす。そんな姉の顔をしのぶは怪訝に見つめた。

 

「お館様がね?うちを怪我した隊員を受け入れる医療施設として規模を大きくしてはどうかって。それでー、それでね?しのぶには医療中心で働いてほしいって!」

「…………」

「しのぶは凄いわね!お館様はすっごく期待しているって仰っていたのよ!」

 

 カナエは明るくまくしたて、おどけながらしのぶに抱き着いた!

 

「ちょっ、姉さん!」

「ふふふ!しのぶにぴったりよね?!」

「……そう?」

「ええ、ぴったりよ!自慢の妹を評価されて、姉である私は鼻が高いのよ!」

 

 浮かれた調子で早口に話す姉に、しのぶは眉をよせる。

 

「えええとー、それとー。私は準備でき次第、刀鍛冶の里にいくわ。準備、よろしくね?」

「えっ?ちょ、ちょっと!」

「じゃあ、今日はもう、寝るね?ごめんね?」

 

 言うだけ言ってそそくさと立ち去る姉の背を見つめつつ、しのぶは不満げに目を細め。

 

「……ピノッキオじゃない」

 

 ぽつりと呟いた。

 

 

*****

 

 

「こりゃまたずいぶんと山奥の村だな」

「ええ。隠れ里ですので」

 

 数日後。山奥にある里にカナエとバケモノはいた。

 激戦に痛んだ日輪刀の手入れとカナエの療養。そのための来訪だった。

 木壁に囲まれた家々は、山中のものとは思えない程上等な造り。ほのかに漂う温泉の香りもあり温泉街のような街並み。

 

 ――刀鍛冶の里。

 それはとある山奥に存在している鬼殺隊員の装備制作を担う職人達の隠れ里。公式には存在しない集落となる。鬼殺隊の生命線ともなるため、鬼殺隊隊員にすらその所在を隠匿されるほど。鬼殺隊最高戦力たる柱にも開示されないという徹底ぶりであった。

 それはかつて柱の裏切りから鬼殺隊が壊滅状態まで追い込まれたことからの対応処置からだ。

 里へは隠達が交代で隊員を運ぶという手順をとる。そのためカナエは半日ほども隠の背に揺られていたのだった。

 

「んんー!」

 

 運んでくれた隠に礼をいった後、カナエは伸びをしつつ体をほぐす。正直背負われ運ばれるより、背負って運んだ方が早いし楽なくらいなのだが、いたしかたのないことであった。

 

「バケモノ様?」

 

 カナエがふと向けた視線の先。バケモノの様子が気になったのだ。

 

「ここは……。んん、いや、なんでもねぇ」

「?」

 

 珍しく物憂げなバケモノにカナエが首を傾げていると。

 

「あ!カナエ様!」

「カナエ様!いらっしゃい!」

 

 挨拶のために里の者達が次々と集まってきて、カナエを中心に人だかりとなっていた。

 

「お久しぶりです。よろしくおねがいしますね!」

 

 カナエは微笑みを浮かべつつ挨拶を返す。

 

「なんでこいつらは皆面を被ってるんだ?」 

「さあ、なんででしょうね?」

 

 里人はそれぞれにひょっとこ面を被っていて、その奇妙な光景にバケモノは首を傾げた。

 カナエにとってはすでに見慣れた光景。深く考えなかったことでもある。

 

「ふうん。お前はずいぶん人気があるのだな?」

「うふふ。私、柱なので!」

 

 バケモノの問いかけにカナエは少し自慢げに答えた。

 

「でも、バケモノ様のほうが人気がでると思いますよ?」

「はあああ?馬鹿をいうな!わしは人間を喰い物にする妖だぞ?人間どもが震えあがる存在なのよ」

「えっ?!」

「む?」

「あ、はい。そうですね……」

「ふん。そうしている呑気な変わり者は、おまえくらいなものよ」

「え、えっとー。はい。そうかもしれないですね……」

「?」

 

 くすくすと笑いをこぼすカナエを、バケモノは怪訝そうに見つめた。

 

 

*****

 

 

「あらあらあら……」

 

 蝶屋敷。その縁側で昼寝をする妖にびったりと張り付いて眠るカナヲ、なほ、きよ、すみをみつけたカナエは、思わず声を漏らしてしまっていた。

 それぞれ不幸な生い立ちの末に蝶屋敷にきた故、他人を強く警戒し、人見知りの激しい子達なのだ。

 まして強大な怪異である妖を怖がって近寄りもしなかった妹達が、いつの間にかこんなに懐いている。まさに驚くべきことだった。

 そしてそのあまりに気持ちよさそうな様にカナエはほっこり。仲間に入ろうと、ふらふらと近寄ろうとした、その時。

 

「姉さん?」

 

 静かな声とともにカナエの肩に、がしりと手が掛かった。

 声の方にカナエが視線を向けると。

 

「お仕事、溜まっているんだよ?」

 

 にっこりとしのぶが微笑んでいたのだ!

 

「ええとね?ほら、皆気持ちよさそうでしょ?私もすこしだけ。ね?少しだけでいいから……」

「駄目。姉さんは一度寝たら、起こせないんだから」

「えええ!そんなこと……」

「あるでしょ?」

「ぃぃぃー!」

 

 しのぶにがしりとつかまれたカナエは、わたわたと抵抗するものの、ずりずりと執務を行う私室へと引きずられていくのだった……。

 

 

*****

 

 

(あの子達があんなに懐くのですから、私なんかより人気になるに違いないです!)

 

 カナエは妖を自慢に思い、悦に入る。

 

「……」

 

 なんとなく不本意なことを考えていそうなカナエを、バケモノは不機嫌そうに見つめつつ。

 

「まあ、いい。ちょっと、見て回ってくるわ」

「あ、はい。いってらっしゃいませ」

 

 ふわりと気ままに飛んでいくバケモノを、カナエは微笑みながら見送るのだった。




→双六善逸の意義が見出せませんがー。とりあえず善逸らしい感じにしてみました
 (あ、私は九連休とかでないです……

→刀鍛冶の里への道
 刀鍛冶の里秘匿は、ある柱の裏切りにより里壊滅の危機になったからだそうです。
 そうなると柱といえど場所の開示はされないのかな?という解釈。
 ただ、それよりセキュリティが↑というお館様邸に柱達が向かおうとしている描写もあるので、以後修正するかもしれません。


→まだオチを考案中なんですがー
 このタイミングなので!
 応援、ご意見いただけるとー頑張れると思います……。
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