カナエととら   作:ぶんた

38 / 41
 双六大好き善逸のー
 今日の一振り!

 え?まだ双六やってるのかって?
 しかたないじゃん?
 まだ刀鍛冶の里編だしさー!




刀鍛冶の里にて 其ノ弐

「お久しぶりです。また、お世話になります」

 

 刀鍛冶の里の長。その長の屋敷応接の間にて、カナエは頭を垂れていた。

  

「カナエちゃん、おひさしぶり。よう来たね」

 

 カナエの対峙する上座には大きな座布団の上に座する、ひょっとこのお面を被る小柄な人物。

 この人物こそ鬼殺隊を支える刀鍛冶の里の長、鉄地川原鉄珍その人であった。

 

「よろしくおねがいします」

「うんうん。よろぴくね」 

 

 鉄珍の優しい言葉に、カナエの頭はさらに下がる。

 

「度重なり上弦との遭遇で痛んでいる日輪刀の調整をお願いいたします」

「うんうん。お舘様から話は聞いているよ。刀のことは儂におまかせね。カナエちゃんもゆっくり休養してよ?」

「あ、はい。ありがとうございます」

 

 鉄地川原鉄珍は里の長という地位にありながら若い娘が大好きで、女性鬼殺隊員の刀鍛冶担当になりたがるという行動力のある俗物でもあった。そうしてカナエも日輪刀を鉄珍に作成してもらうことで親交がはじまり、現在に至る。

 

「それと、これなのですが……」

「…………」

 

 カナエは鉄珍の前に獣の槍を差し出した。

 折角の機会なのでと、日輪刀鍛冶師の権威である鉄珍に獣の槍の鑑定をお願いしようというもの。

 お面で視線はわからないものの鉄珍は、動きを止めじっとそれを見つめ。

 

「……カナエちゃん」

 

 そして暫し後。鉄珍が声を発した。

 

「鬼殺隊はさ。千年前に現れた鬼舞辻無惨を斃すために結成された組織なのは知ってるよね?」

「え?あ、はい」

 

 鬼殺隊にとってはあたりまえの問いに、カナエは目を瞬かせる。

 

「だからね。同じようにこの里にもね、それだけの歴史があるんだよ」

「あ……」

 

 カナエはいわれて気づく。鬼殺隊にそれだけの歴史があるように、それを補佐するためのこの里にも同じだけの歴史があるのだと。

 

「この里はね。鬼殺隊の方を助力するため、いろんなもの造ってきたのさ」

 

 太陽の光を浴びない限り滅びることなく人を喰らう不浄の存在、鬼舞辻無惨。そしてその配下の鬼達。

 それをいかに討つか?それが鬼殺隊の抱える問題だった。

 陰陽師や法力僧といった存在に助力を願った時もあった。だが鬼殺隊員の多くは被害者である一般人であり、陰陽術や法力といった特殊な術を体得することはできなかった。

 結果取られた手段は「行動不能にしたのち朝日を浴びせる」とゆうごり押し。それしかなかったのだ。そうなるといかに長時間行動不能にできるかが焦点となり、刺股や鉄網といった鎮圧装備が主流であった。

 悲鳴嶼行冥が扱う日輪刀。刀とは名ばかりの無骨な片手斧に長い鉄球付きの鎖のついたものだが、それはその名残りのものだ。低位の鬼の再生能力は弱い。行動不能にするため四肢の切断に適した斧と、雁字搦めにして捕らえるための鎖。鎖鎌ならぬ鎖斧は当時の隊員が利用していたものだ。

 そうして鎮圧した後、全身杭を打ち込んで磔とし朝日を待つという、まったく分の悪い闘いを強いられていたのだった。

 

 そんな鬼殺隊の闘いは約五百年前、戦国時代に現れた継国緑壱によって劇的に変わることになる。

 

 鬼殺隊に合流した天才剣士継国緑壱は自らが編み出した呼吸法で鬼の頚を斬ることにより、即死させることができたのだ。

 それこそがまさに鬼殺隊悲願である鬼に対抗するする術だった!

 だがその技の習得は大きな問題に直面する。誰一人緑壱の「日の呼吸」を再現することができなかったのだ。

 しかし緑壱はその非凡な才能を指導にも発揮させ、個人の適正にあわせた調整を行う。そうすることによりそれぞれが「水」「炎」「風」「雷」「岩」といった変わった形で体得することに成功するのだ。

 それでもその呼吸の効果は小さなもので、実戦で使用することはできないという有様。そこで刀の里が総力を結集し、呼吸の効果を増幅させる刀「日輪刀」を開発するに至る――。

 

「そしてね。呼吸法が伝わるまでこの里は、鬼を殺す方法を模索し続けたのさ。まあそれは今もだけれど……。そしてそれを求めるあまり古から伝わる忌まわしい技を用いて武器を作ろうとしようとした者もいたのさ……」

「えっ……?」

 

 鉄珍の呟きに、カナエは目を見開く。

 

「詳しくは言わんけどね?言いたくないようなことをしでかしてさ。結果、凄まじい武器ができたこともあるんだよ?でも碌なことにはならなかったのさ……」

 

 刀の里長である鉄珍だからこそ知っている様々なことがあるのであろう。

 カナエはそれを思い息を呑む。

 

「……」

「だからわかるよ。これがそうした邪法によって鍛えられた、碌でもない代物だってことはね」

「!!」

「カナエちゃん。これを使うのはおやめなさい。これを使えばいずれ碌でもないことになるよ。それはきっと死ぬより恐ろしい事だろうさ」

 

 鉄珍の言葉に目を見開いたカナエは、ゆっくりと視線を下げた。

 

「お気遣い、ありがとうございます」 

 

 楚々として座するカナエ。その様はまさに牡丹のよう。そんなカナエを見つつ鉄珍は思う。

 鬼殺隊員は鬼から人を護るためならば。その首魁たる鬼舞辻無惨を斃すためならば。その身を懸ける覚悟を決めている者達。

 一見可憐な娘であるが、数多の鬼を屠り鬼殺隊頂点である一柱『花柱』となった胡蝶カナエにそうした覚悟がないわけがないのだ。この娘は必要とあらば代価が己の魂だとしても迷いなく差し出すであろう。

 

(まったく罪なもん作りはって……)

 

 使い手の魂を代償に力を与えるという武器を目の前に、鉄珍は鍛冶師として複雑な感情を覚えていた。

 この槍は手にした者を糧にしてでも怨敵滅殺のためと造られたものだ。本来武器は敵を斃す為のものなのだからそれは正解ではある。

 そしてその仇は――。これを鍛えた人物の全て。そして使い手の全てを差し出さなくては討つことができない相手なのかもしれない。

 でもだからこそ。振るう者を護る半身たれと刀を鍛えてきた鉄珍の心情とは、まったく相いれないものだったのだ。

 しかし――。

 『鬼に対抗できる武器』という指針がない状態なれば?憎しみに突き動かされ、自分もこのような武器を鍛えることになっていたのではなかろうか……。

 その恐ろしい想像に鉄珍は小さく息を吐いた。

 そしてあらためて、鬼に対抗する手段をもたらしてくれた継国緑壱のありがたさを感じるのだった。




 アニメ柱稽古編終了!
 なんかもー終盤すんごかったですね
 無限城編は劇場版3部作だそうです
 いろいろすんごそう……(汗)
 
 その頃までには……。こっちの善逸双六も終わってるといいなぁ
 南無阿弥陀仏(涙)

 あ。鬼殺隊の歴史?は、でっちあげです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。