食事を終えた後。蝶屋敷住人全員と金色のバケモノは大広間に勢ぞろいしていた。
「……皆で話し合わなければならぬ問題があります」
静かに語る家長の言葉に、妹達は緊張する。
「私の恩人であるこのバケモノ様には名がないそうです。これだけの大妖様に名がないなどとまったくもっておかしいですし不便です。ですから我々で素敵な名前を考えようとおもいます!」
大きく頷き気合を入れているカナエに向けられていた視線の温度は、だだりと下がった。
「では不詳、私から候補をあげますね」
おかまいなしにカナエは達筆で名が書かれた半紙を掲げる。
『富士丸 小金助』
「いかかでしょう?やはりこれだけの大妖!富士の名を背負うにふさわしいでしょう?そして見事な毛並みと……私を助けてくれたところをもっての命名なんですよ」
んふー!ドヤ顔で周りを見回すカナエ。
……酷い。ハム助並みに酷い。
あまりの微妙さにカナエを除く全員が眉をよせ、そっと視線を逸らした。
だが!そこは最高戦力一柱たる花柱!周りの空気に敏感に反応するっ!
「むむむ……。あっ!これですね?」
カナエはぽんと手をうち『富士丸 小金助』を『大富士丸 大金助』と訂正した。
「大妖様に『小』はよくありませんものね」
うんうんと小さく何度も頷きながら半紙を壁に貼るために皆に背を向けたカナエは、そうじゃない……と深く項垂れる周りには気付けなかった。
「さて、次はしのぶです」
カナエの視線を受け、しのぶも達筆で名が書かれた半紙を掲げる。
『金髪豚野郎』
「ちょっ……!」
「ふうん」
目を見開く姉妹。バケモノが怒気を漂わせる。
「おまえはよっぽどわしが気に入らんらしいな?」
「あら、さすがにそれくらいはわかるの?バケモノ」
うふふ。気になる子につっかかる、あれかな?あれなのかな?
額を突き合わせるしのぶを見つつ、カナエは勘違いの花を満開に微笑む。
「さて次は」
カナエの視線をうけ小さく頷くアオイ。すくりと立ち上がり掲げられる半紙。
『神崎 太郎』
アオイらしいド直球に姉妹は和む。
「本当にアオイは真面目ですねぇ」
ぴしりと立っていたアオイに、すかさず抱きつくカナエだった。
「カナヲはどう?」
カナエの視線を受け、カナヲは目を瞬かせる。
ピンと硬貨を上空に弾く。受けたそれを見て小さく頷き、さらさらと筆を走らせ半紙を掲げた。
『闘斗雄』
それを見た姉妹にどよめきが起こる!
「これで『トトヲ』と読むのですか?……勇ましい字面に反しての、隣に居てほしいようなかわいらしい読み!素晴らしいです!カナヲ!」
感極まったカナエはカナヲにすかさず抱き着く!
嗚呼ッ……!これにてこの物語は『カナエと隣の闘斗雄』となってしまうのか?
……否ッ!
希望は小さな妹たちに託されるッ!
「さあ!なほ、きよ、すみ。見せてくださいまし」
カナエの声に一斉にあがる半紙。
『キャラめる』
『からからせんべェ』
『おムレツ』
「まあまあまあ……」
それを眺めたカナエは目を丸くした後、満面に微笑む。
「字がとても上手になりましたね!でもそうですね、ここの跳ねはこうかしら……」
いそいそと引き寄せた朱い墨汁で、筆を持ったカナエは添削を始める。
「ここの止めは素晴らしいわよ?……ん」
カナエはかちゃりと筆を置いた。
「少し夜更かしになりましたね。さ、就寝としましょうか」
眠そうな末妹達を先導しつつ、姉妹は速やかに退出する。
……残されたバケモノも馴れたもので、すでにカナエのノリから早々に脱落済。ぐうすかぴいと寝息を立てていた……。
本日の勝敗「時間ぎれっ!」
……回収されませんでした;
お察しかもしれませんが、勢いでの1話投稿からの、だらだら続いてるかんじ……
ほんとすんません;
……幸せなそうな蝶屋敷のやりとりを思うとほっこりするんすよ
でも、当時の情報少なすぎて再現むずすぎ;
とりあえずいろいろぶっこんでニタニタしてるんで、気付かれた方もニタニタしてくださるとうれしいなぁ
追記コソコソ
米粉パンさんありがとう!キャラめる!復活ッ!
勢いのままに投稿した後、推敲しては、こしょこしょいじくりまわしてたりなスタイルなんですが。
3人娘っぽい単語をメタネタに入れ替えたところ、すかさず指摘してきたこめパンさんには戦慄したものです……
さらに追記コソコソ
衝撃の米粉パン様によってオムれつ確定ッ!
……ねえねえ。これって不確定要素が観測によって確定するっていう、あれ?あれなの?すごい、すごいよ!ほむらちゃん!
そう!シュレーディンガーの猫ってやつ?