目が覚めたら現実世界だったけど異世界だった件 作:SKーYM
「何百年経ったんだろうな…」
セントラル・カセドラルの屋上で空を見上げれる少年がつぶやいた。
「いままで…長かったよね…」
その隣にいる栗色の長髪の少女。少年のそばに寄り添い肩に頭を置く。
「ああ、俺たちのフラクトライトは間に合わなかったみたいだ。」
「しょうがないよ。菊岡さんも人間の魂が耐えられる時間じゃないっていっていたもの。」
少年と少女はお互いに眠くなっていくことを感じあっていた。
「そろそろ時間みたいだな…。アスナ…君に出会えて本当に良かった。俺は君を始めた多くの人たちのおかげで最後までいられたんだ。」
アスナと呼ばれた少女は首を横に振り少年の言葉を否定する。
「ちがうよキリト君。私やみんなもキリト君がいたから色々なことを乗り越えてこられたんだよ。私こそ君に会えて本当に幸せでした。」
キリトと呼ばれた少年の目から涙があふれていることを自覚する。
「ごめん…っ、ごめんな…っ、アスナ…!」
「ふふっ…君の泣き癖は治らなかったみたいだね…。大丈夫だよキリト君 …ねえ、もし、違う世界に行ってもキリト君は私を必ず選んでくれる…?」
「唐突だな…アスナは…。そうだな…必ず君を選ぶよ…約束する。俺とアスナの魂に誓って…。」
「そう…なら私も誓うね…どんなに離れていても心は…思い出はつながってるって…」
そう言い残してキリトとアスナの意識は落ちていった。
―世界を超えし者よ―
―星の王となりし者よ―
―魔の王を救済すべく―
―ここに来たれ―
「…ここは…?」
俺が目を覚ますと声の主はいなく、どこかの森に迷い込んでいた。
「まさか…別の空間に飛ばされたのか!?」
似たようなことを遥か昔に体験したことを思い出す。
たしかあの時はアンダーワールドに飛ばされていた。でもなぜか俺は同じように森で起き上がった。
「アンダーワールドで経験したこのリアルさ…仮想世界よりも再現度が高く本物に見える土、木々、風、まぎれもない現実世界なのか…?
いや、まだわからない。」
すぐにS字を空中でなぞる。しかしアンダーワールドに存在する『ステイシアの窓』は表示されなかった。
次にSAO.ALO時代のメニューウィンドウを出すように指先を縦に振るが、右手も左手も全く反応はなかった。
「どうする…?このままここにいてもおかしいし…とりあえず町かなにか建物のある場所に行ってみるか。」
そのまま森を出るべく適当な方向へ進んでいると何やら開けた場所にでた。
「ここは…?洞窟みたいだな…」
目の前にあったのは巨大な穴の洞窟だった。
中に何かあるのか調べるために先に進もうとすると何やら足音がした。
「靴の音だな。人間がいるのか?」
そのまま目を凝らして足音のする方を見ていると
「ん?誰だお前?」
キリトよりも背の低い青色の髪の少年?少女が出てきた。顔はわからなく仮面で覆われていて性別を判断できない。
「NPCなのか…?」
「は?NPC?」
NPC.『ノンプレイヤーキャラクター』の用語に反応した。
「えっと…この世界の人…なのか?」
青髪の人間は少し悩んだように手を顎に当てる。
「この世界の住人になったって言った方が正しいな。そういうお前は誰だ?」
「つまりプレイヤーか…。お、俺はキリト、たぶんあんたと同じでこの世界から来た現実世界の人間だよ。」
自己紹介と同じ境遇の人間であることを伝えるが、「はぁ?」と声を出して詰め寄ってきた。
「あのなぁ、ここは現実だぞ。お前の知っている仮想世界じゃない。」
「え?じゃああんたはいったい何者なんだ?」
青髪の人間は仮面を取り外す。仮面の中には中性的な顔の整った出で立ちがあった。
「俺はリムル・テンペスト。この世界に最近死んでやってきた元日本人だ。」