目が覚めたら現実世界だったけど異世界だった件 作:SKーYM
ベニマル達鬼人族との戦いによってわかったことがある。
それは俺の力が星王だったころに比べて弱くなっていることだ。全盛期のころ、俺が星王と呼ばれるより前の階級としての『代表剣士』に使用していた無詠唱の神聖術が使えなくなっていたり、ここで空を飛ぼうとしても何も反応がなかった。おそらく空気中に存在する魔素が足りないか、俺の心意が欠落しているかのどちらかだろう。だが今それを考えても仕方ないので頭の隅に追いやる。
現在魔物の町に現れた蜥蜴人族の使い『ガビル』によって先日戦ったベニマル達の堪忍袋が切れそうなことだ。
「オークの軍勢がこの森を進行している。ならば吾輩が貧弱な貴様らをオークの脅威から守ってやろうということだ!」
たぶんこれはただの馬鹿なのだろうか。いまこの場にいるのは
ホブゴブリン
鬼人
鬼人
鬼人
スライム
俺
おそらくガビルよりもリグルド以外は圧倒的に強いと判断できる。
「…ゴブリンの集落だったようだが…」
「あれ―?」
「情報と一致していない」
ヒソヒソとガビルたちが話しているようだが丸聞こえだ。
「この村には牙狼族を飼いならした者がいるようだ。ここに連れてこい。幹部にしてやろう。」
おっと、それは俺も看過できないぞガビル。ちらっとリムルを見ると抱いているシオンに体が潰されそうになっていてじたばたしていた。
「お、おい!シオン!リムルが潰れてるぞ!」
はっとしたようにシオンが気づき力を少し緩めたところで脱出し、俺の頭に乗ってきた。
「も、申し訳ありません!!」
「あー、次から気を付ければいいよ。」
フォローするリムルだったがスライムで表情がわかりにくいのにげっそりとしているように見えた。
「た、助かったキリト…。スライムボディがスリムボディになるところだった…。」
「冗談言えるんなら大丈夫そうだな。ガビルさん、あんたの言っている牙狼族を従えているのは俺の上にいる奴だ。」
ガビルはジーッとリムルと俺を見ていたが
「はっ!たかがスライムごときに従うわけがなかろう!嘘もほどほどにしておけ人間。」
「キリト様とリムル様に対して何たる無礼を…!」
ヤバイ、ベニマルとシオンがもう完全にキレかかっている。リムルにどうする?っと目線で聞くと
「ランガ」
牙狼族の長、現在は嵐牙狼族となったランガをリムルの陰から呼び出した。
「ハッ」
「そのリザードマンから話を聞いてやれ。」
少し圧を開けてしゃべるリムルに
「お、おい別にランガまで圧をかけたように言わなくても。」
「それは違うぞ。ああいうのは敵や相手に圧をかけることになるがランガ自身には圧はかからない。部下からしたら圧を込めながら言ってもらった方がいいときもあるんだ。」
「へぇ、そんな風になってんのか魔物の世界って」
関心しているとリムルは体を振り
「違うぞ。これは俺たち日本人が社会に出た時に感じるものだ。まあ学生でこっちに来たキリト君には難しかったかもな。」
「しょ、しょうがないだろ!俺はあまりそういうのに詳しくないんだよ!」
アスナに聞けばもう少し優しく教えてくれるのに…と心の中で呟いているとどうやら話を聞き終わったらしくあとからやってきたゴブタと戦うことになったらしい。
「ゴブタ!勝ったらカイジンに頼んで武器作ってやるよ!」
リムルの報酬にゴブタは嬉しそうにやる気を少し出したのだが
「負けたらシオンの料理の刑な!」
「負けられないっす!!!」
ゴブタのやる気はMAXだ。でも確かにシオンのあの料理は確かにこの世のものとは思えない。アスナが見たら失神するレベルだった。
ゴブタの勝利でガビルは気を失い、リザードマンたちはガビルを連れて退散していった。
「キリト、今後の方針のために会議を行う。お前も来てくれ。」
リムルは人型になり町の中心に向かって歩き出した。俺は軽く「ああ」と返事をしてリムルを追おうとするが、その前に
「ゴブタ、すごかったぞ!今度その攻撃の仕方教えてくれよ。」
ゴブタを労うためにシオンの料理を食べずに済んで安心したゴブタに話しかける。
「あ、ありがとうございますっす。こっちもヒヤヒヤでしたよ…。」
「確かにな。あれは勝つしか逃れる術はなかったもんな。おそらくリムルはそのまま会議に行くだろうから俺はカイジンのとこ行ってお前の武器を作ってもらうよう頼んどくよ。」
すると思い出したようにゴブタはこちらを向き目を輝かせる。
「そういえば俺も忘れてたっす!ありがとうっすキリト様!」
なんか違和感あるなと思ったら話し方に俺の様づけがおかしいんだな。
「俺のことはキリトでいいよ。あまりかしこまった呼び方は得意じゃないんだ。」
「え、でも…」
困ったようにゴブタは押し黙るが
「頼むよ、俺がこの町の主の片方なら命令ってことでいいぞ。」
「うーん、うーん」とゴブタがうなりはじめ意を決したように
「わかったっす!でも呼び捨てはまだオイラには難しいんでキリトさんって呼ばせてもらうっす!」
まあ及第点だろう。上下関係はしっかりしろってリムルから言われてるけど俺には無理そうだし親しみやすく呼んでもらった方がいいのだ。
俺はゴブタに挨拶してカイジンとクロベエの工房に来た。
この工房はまだ小さいがいろんな設備が整っており、熱気がものすごく熱く感じる。
「カイジンさん、クロベエさんいるか―?」
「おーキリ坊、なんか用か?」
工房の奥からカイジンとクロベエが出てくる。
「実は頼みたいことがあってな、剣を3つほど用意してほしいんだ。1つはゴブタのだ。あいつリザードマンに勝った報酬としてリムルが武器を作るって約束してさ。」
「そうか、ゴブタなら小さい武器がいいかもな、体系もそこまで大きくないから短剣になるんじゃねえか」
「それならオラが作るだよ。ソウエイの腰にある感じの小刀を用意してやるだ。」
ゴブタの武器は小刀になるらしく、機動性に特化したスタイルになりそうだ。
「んでキリ坊の剣2本ってことだな。なんか要望はあるか?」
「できれば折れにくい両刃片手剣がいいな、あと重さもある感じの。」
「わかった。だが今の素材じゃ特級品を作るのがやっとだからな、長く使うことは考えないでくれよ。」
「わかった」と返事をして工房を出ていき、リムル達が待っている町の中心にある建物まで足を運び始めた。