ボイスロイド劇場   作:ダークバスター

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『わぁ』

※2020/9/13
 内容の流れは変わっていませんが、初投稿内容から文章を追加した程度です。


外伝・草の章


 俺の名前は、赤野龍騎。今年で21歳の3年目の大学生である。

 現在、とあるモノを、ネットを使って調べている最中である。

 個人的に気になる存在でもあり、自分が思いつく限りの言葉で検索を掛け、片っ端からページを開き閲覧を繰り返す。

 そんな作業を、数時間くらい行っていた。

 

「わぁ」

 

 その言葉に反応して、チラリと横眼で見て、直ぐにモニターに視線を戻す。

 動く気配があるが、気にせず作業を続ける。

 今自分が調べているのは、『草』に関する事である。

 ウィキペディア曰く――正式名称は、草本(そうほん)。1年生植物などの、木のような木質部が形成されない植物の総称。

 雑草を指して単に草と呼ぶことがある。「草刈り、草むしり(草取り、草引き)」の草はこの意味。

 大麻や、大麻から生成されたマリファナ、ガンジャなどの麻薬を指す隠語の一つ。グラス(grass)、ウィード(weed)、ハーブ(herb)とも(いずれも「草」を意味するが種類は異なる)。

 忍者の別称の1つ。

 アマチュアスポーツを指す日本語。「草野球」、「草サッカー」、「草競馬」など。

 漢字の部首のひとつ。

 松本清張の小説およびそれを原作とするテレビドラマ。≪草 (松本清張)≫

 Wを草に見立てたインターネットスラング。

 とあるが、今回は草本に当たる――のだが、草の正式名称を初めて知った。

 調べていて、マジかと思った。

 が、やはりそれなりの時間を使って調べても、ネットに該当しそうな植物が載っていなかった。

 いや、仮に載っていたら、今まで知られてない方が可笑しいレベルなのだ。

 パソコンばかりでテレビをまともに見なくなったが、それでも時々見る時はあるので、それらしい話題を見ても可笑しくはない。

 まぁ、モノがモノだけで、ネットニュースで上がっても可笑しくないのだが、見た事も聞いた事も無い。

 

「……ふぅ、無いな」

 

 キーボード特有の音を、部屋に鳴り響かせていた手を止め、言葉は放ちながら背もたれに寄り掛かる。

 同時に、手をだらりとさせながら、顔を右側に向ける。

 その顔の先には、植木鉢があり、1本の草が生えている。

 土から左右対称の葉っぱが2枚と、中心に茎が1本生えている。

 ただ、その先端にあるのは……デフォルメされた人の顔。

 人の顔である。大事な事なので、もう一度言う――デフォルメされた、人の、顔、である。

 うん、何言っているか判らないだろうが、幻覚を見ている訳でも、錯乱している訳でも、ヤバい薬をやっている訳でもない。

 とりあえず、顔立ちの説明をしよう。

 顔の形は、多分円形に髪の毛と目と口を付けた感じ。

 髪の色は、クリームイエロー。

 髪型は、漫画やアニメに出てくるアホ毛的なモノが出ていて、後頭部側の茎辺りから三つ編みのツインテールにして、自身の茎よりほんの少し長め。

 そのツインテールを纏めているのは、側面の間にオレンジ色が入っている円盤らしきモノに纏められている。

 目も、漫画やアニメみたいに丸い形をしていて、綺麗な青い色。マユゲもある。

 しかも、少し頬が赤み掛かっているし、鳴き声も上げる。

 

「わぁ」

 

 じっと見ていた俺に、全身を動かして、声を出す草。

 うん、草なのに鳴き声も出せるし、意思疎通も可能なのである。

 草――正確には、植物にも血液型も存在するし、意思を読み取る力はあるらしいが、流石に鳴き声を出す植物は聞いた事が無い。

 というか、現実世界では――

 

「あ~、辞め辞め」

 

 そう言いながら、俺は顔を横に振った。

 らしくない、と思いつつも、かつてフラれた女の子を思い出してしまうが、一緒に振り払う。

 

「俺は科学者でも、頭のいい人間じゃないんだ」

 

 左手を左側のおでこに当てて、右手を草に手を伸ばす。

 そして、振り払っても、なおチラつく彼女の顔。

 

「わぁわぁわぁ」

 

 と喜んでいるのか、葉っぱを上下に動かしつつ右手が目の前に来たら、葉っぱで俺の右手を挟み込む。

 脳裏に過ぎるのは、彼女の笑顔。

 かつて、高校時代に遊んでいた時の記憶。

 

「わぁ~、わぁ~」

 

 挟んだ手を上下にゆっくりと動かして、俺との接触を堪能しているで良いのかな?

 まぁ、何と無く和むから、このままでも良いかなと思う。

 OKを貰えたら、こんな風にしていた日もあったのかもしれないと、思いが過ぎる。

 こんな未練が湧き出す原因は、高校時代に告白して玉砕した女の子のデフォルメ感がある顔立ちが原因だろう、。

 その娘は、現在ボーカロイド兼ボイスロイド(声優)として活躍しているし、都心に行けばポスターで見かける。

 その娘の名前は、紲星あかり。

 同級生であり、入学時に仲良くなり、告白前までは買い食いしたり、遊びに行く仲だった。

 友達以上、恋人未満的か感じだったな。

 ただ、同じ学校の先輩の結月ゆかりという人がいて、生徒会長を務めていたが、動画配信をしていたのである。

 それを見たあかりが、ゆかり先輩に引っ付くようになり、マネで動画配信も始めた。

 そんな中で俺、は告白するも、あかりが『ゆかり先輩の様になりたい』と言って、フラれたのである。

 以降、どうしようもなくて、俺から距離を置くようになった。ただ、学校という中では、最低限の挨拶や連絡はしっかりやった。

 そんな感じで、卒業後に俺は進学して、あかりは上京してボーカロイド兼ボイスロイド(声優)して、デビューを果たす。

 もっとも、2年位でゆかり先輩を超えてしまったけど。

 そう思いつつ、壁に貼られたポスターに顔を向ける。

 そこには、紲星あかり、デビュー1周年記念・期間限定販売のグラビアバージョン。

 保管用と取り換え用に、もう2つ持っているけど。

 ……思い直しても、無意識だったとはいえ、未練たらたらじゃねーか。

 

「わぁ、わぁ」

 

 いつの間にか、ペシペシと葉っぱで手を叩いていたが、草なので痛くない。

 俺は、手を上に動かし、指で頬を撫でる。

 草は、目をゆっくり細めて、撫でられるのを堪能している。

 そのまま、動物の様に顎の下に、指を移動させる。

 気持ちいのか、目を完全に瞑り、指に顔を寄りかけてくる。

 そのまま数分していると――

 

「わぁ……わぁ……」

 

 ――と、寝息らしき声を上げていた。

 顎に触れている指を離す。

 やはり植物なのか、地面に伏せることなく、茎がゆったりとしたカーブを描いた状態で、少し上下にゆっくりと動いている。

 ふと時間を見る。

 

「え、もう夜の10時なの? やべぇ、歯を磨いて寝ないと」

 

 と、椅子から立ち上がり、ドアへ向かう。

 

「明日も早いから、早よ寝ないと」

 

 ドアをゆっくり開けながら呟き、なるべく音を立てない様に閉める。

 色々判らないことだらけだけど、可能な限り付き合ってみるかな。

 ちなみに、その手の機関に渡すという考えが無かったのは、言わずともである。

 ドアをゆっくり締め、ドアノブもゆっくり手放す。

 

「はぁ……何年前の話だよ」

 

 そう吐き捨てながら、洗面所に向かう。

 歯を磨き、口を洗ぐ。そして、鏡を見る。

 今の俺の顔は、あの時フラれた時の顔に見えた。




 勢いだけで書きました。
 設定? あかり草と分かつ時まで続く日々になるけど……話膨らませるのに限界を感じた。
 人語と動きの制限のダブルパンチは、難しいと実感。
 最低でも、人語は話せないと、地の文章オンリーになると判った事だけで、勉強になったわ。
 ただ、書いていて……ダークな設定が脳裏を過ぎった。
 実は、このあかり草は、高校時代に告白して玉砕したお相手の生まれ変わり。
 なお、実はこの物語の男が好きだったのだが、数日前に強〇にあり、複数相手に。
 しかも、高校時代は、お裾分けとして教師からも……そんな地獄の高校生活。
 卒業後は、速攻でハイエースされて、男たちの別荘でおもちゃにされて、最終的に強制的に反応するように、1回で脳が壊れる薬物を。
 その後は、塩酸に溶かされて、何も残らずに行方不明扱い。
 という、最上級の胸糞話を思いついてしまった。
 流石にお蔵入りだし、書くとしてもR18だからな。
 なお、あくまで思いついただけなので、今回の話とは無関係です。
 最後に、恋愛系なのに、何か失恋を癒していく話になってしまった。続きは……現時点では、未定とだけ。
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