流れは公開時と変わってませんが、活動報告に裏設定を公開。
主人公件ヒロイン
紲星あかり
アンドロイド歴50年以上
マスター
赤野龍騎
今年で20歳で、宝くじ1等の前後の連番込みで当選した幸運の持主
※この作品は、紲星あかり視点で描かれています。
とあるアンドロイドの話(紲星あかり視点)
私の名前は、紲星あかり。
アンドロイドのボイスロイドシリーズと呼ばれた機体であり、現在はオーダーメイドでしか販売されていない型である。
アンドロイドが世に出てから50年以上経過しているのだが、私はその初期に作れたデザインなのである。
出た当時は大人気であったが、流行り廃りの影響で中古送りや破棄されていった。
私たちアンドロイドは物である以上、破棄される事に恨む個体がいたりしたが大半は受け入れて処分されていった。
そんな私も、初期の初期――つまり、ファーストロッドの個体であり、当時借金してまで購入したマスターが寿命で亡くなった為に中古送りとなった。
元々体中にガタ付いて、遺族・親族から扱いに頭を抱えていたので自分から申し出ました。
所有者であるマスターが亡くくなれば、遺族や親族が引き取らない限り処分送りとなるのが基本なのですが、マスターが遺言で処分だけはしないで欲しいと書いてしまったのが原因。
マスターのいない世界に興味無いし、元々遺族からも新しいの買ったらとか、いい加減処分しなよと言う言葉を日頃から聞いていたので。
マスターから愛情を貰ってましたけど、子どもに対してのモノでしたが幸せな日々でした。出来れば、出来れば恋人や妻として愛して欲しかったなという思考もあったのは生涯秘密にしてました。
ただ、マスターの子どもが成長していくにつれて、家族として見て貰えなくなっていった事が辛かったです。最初は姉として接してくれていたのに、段々と物扱いする様になってしまってので。
そのせいで、マスターとは良く怒鳴り合いながら喧嘩になってしまう事が頻繁に起こる様になり、高校卒業と同時に家を出てしまいました。
その間、マスターの妻からも徐々に嫌悪されるようになり、子どもが出ていった数年後にマスターの妻が私を処分するか離婚するから迫られる事態になってしまいました。
結局、妻とは離婚して、マスターの子どもはマスターが亡くなるまで帰って来る事はありませんでした。
ただ最後に、マスターの子どもからは、別れ際に「さよなら、姉さん」と言葉を貰いました。
それを聞いて、優しい人間になれたんだなと思いながらシステムをシャットダウンしました。
薄れゆく意識の中で、マスターの子どもの目から涙が零れたのをしっかり焼き付けながら。
次に目を覚ました時は、新しく購入したマスターでした。
が、どうやら記憶が残っているので、初期化を行わなかったのだろうか、それとも今から行うのか。私に不安と恐怖が渦巻始める。
「はじめまして、赤野龍騎です。宜しく」
そう言って、手を差し出してきたのである。私は、条件反射で差し出された手を握り返す。
そこで自分の体の反応に気が付く――余りにもスムーズに動く。それも、前のマスターにバージョンアップによって動きを改善していた時よりも。
「ああ、俺は紲星あかり型のメモリデータが欲しかったから。あ、ボディは生体パーツを使った最新型の奴だから」
その言葉に私は固まった。
今の生体パーツを使った最新型は、完全オーダーメイドなので高額。金持ち以外の人が手に入れるには、生涯働いて借金を返せるかどうかのレベル。
目の前にいる人は、そんなにお金持ちに見えないので余計に混乱してしまった。何せ、裏技で臓器を担保にすれば収入によっては購入可能なので。
この人も裏技使った人なのかと思ったけど、本人の口からあっさり否定された。
「実は宝くじが当たって一括で済んでいるから問題無いよ。ただ、自分が求めるメモリーが無かったから」
龍騎曰く、私の人格メモリーは既に廃盤扱いで、新規で制作が出来ない扱いになっているとの事。
今は感情プログラムの導入は基本になっているが、アンドロイドが出た初期頃は追加アップデートして感情を得ているので、初期化したらアップデートした感情も消えてしまうのである。
ただ、その追加アップデートのデータも紲星あかりの販売・サポート終了と同時に起きた社内トラブルが原因で消滅しているというきな臭い出来事が起こっている事。
しかも、今現在採用されている基本プログラムをベースに作られたので無く開発者しか判らないデータの組み方をしていたので、公式・非サポート関わらず、プログラム制作が出来ない状態。
さらに、中古のアンドロイドのメモリーは、個人情報関係の問題で初期化するのが当たり前だったので感情プログラムが入ってない。
なので、感情プログラムが残っている私は、本当に貴重な存在だと教えてくれた。
「だから君を見つけた時は、本当に幸運だったんだ……宝くじの事も考えると、自分の幸運を全て使い切った可能性があるけど」
その言葉を言う姿の凹み具合は凄かったけど、表情は凄く嬉しがっていた。
「事後承諾になってちゃうけど、再登録時にデータ提出しないと行けないから、メモリーデータのコピーは取らせて貰ったから」
その言葉に、流石にカチンと来たがすぐに収まった。
中古のアンドロイドは、登録時にメモリーデータの提出が義務化されているのである。
理由は、変なプログラムが入ってないか確認する為である。
中古のアンドロイドが愉快犯の道具になっていた時期があり、殺人まで起こっていたので初期化しても購入時の登録にはデータ提出の義務が追加された。
私たちアンドロイドは、どんなに人間に近づいても、アンドロイドはアンドロイド。
人間の変わりは出来ても、人間になる事は決して無い存在であり、どんなに権利が確立されようとも道具は道具。
人間の為に役立つ為に生まれた存在であり、代わりはいくらでも存在する。
理解して自覚しなければ、捨てられると認識した時に感情が暴走してしまうから。
なお、その手の事件は未だに起こっているが、結局接し方の問題として捉えられているので社会問題というより、家庭問題として認識されている。
「すいません、メモリーを声も掛けずにコピーしてしまって」
私の意思を読み取って、頭を下げる龍騎。
その言葉と行動に、私を目を丸くする。
「いいえ、法律であり義務なので致し方のない事なので、お気になさらないで下さい」
私は微笑みながら答えた。
目の前にいる人は悪くない、法律に則って行動しただけなのだから。
むしろ、今の私は削除しないだけ幸運だと理解しないといけないのだから。
と、そこで思った事を尋ねる。
「あれ? 私中古に出されたんですよね?」
「ああ、そうだけど、それがどうしたんですか?」
「敬語は不要ですよマスター。っと、私の記憶メモリーです、中古で販売される前に初期化されなかったんでしょうか? 私が来たと店側から連絡が行くくらいの関係があったとしても、必ず初期化しないと駄目だった筈だと記憶しているのですが」
「俺も確かに思ったんだけど、店主曰く遺書で消さない様にして欲しいと書いてあって正式な手続きで大丈夫な様にしてあったとの事らしい」
「え!? 記憶を消さなくていい手続きがあったんですか!?」
龍騎こと新しいマスターの言葉に、思わず声を荒げてしまう。
その言葉に、うんうんと頷きながら言葉を放つ。
「俺も聞いた時は驚いたけど、個人情報公開してもいいという書面にサインすればOKらしい」
その言葉に、私は納得した。
確かに、犯罪防止も兼ねて記憶の初期化は当然だけど、持ち主の個人情報が第3者に渡るのを防ぐのも含まれているからである。
代表例として、個人だと生活のサポートで銀行にお金を入れたり下ろしたりするので、暗証番号や家内のお金の置き場や隠し場所も把握している場合があるので。
あと企業の場合は機密関係に当てるが、基本というか絶対に破棄処分されているので中古には出回る事はないけど、業者が違法に中古として横流しする事もあるので、中古屋に渡った時に初期化するのは必須となっている。
なので、初期化するのが当たり前だと思っていたので、50年以上稼働しているのに知らなかった事に反省する。
一度、法律や規約の再確認が必要だと認識出来た。
「なるほど、教えて頂きありがとうございます。空いた時間に再確認しておきます」
「ああ、こっちからも頼むよ。万が一、法や規約に違反したくないからな」
「で、マスター」
「何だ、あかり?」
「今は仮でマスターと読んでいますが、これから何とお呼びすればいいでしょうか?」
私は、マスター赤野龍騎の呼び方を訪ねる事にした。
これから私の新しい生活が始まるから、前のマスターと区別する為の儀式みたいなもの。
「あかりの呼びやすい名前でいいぞ」
その言葉に、前のマスターを思い出した。
『あかりの呼びやすい名前でいいよ』
その時の前マスターの笑顔と共に。
私は、マスターに向かって言葉を紡ぐ。
「じゃあ、これからは――リュウ、と呼ばせて貰いますね」
ある晴れた日の出来事。
50年以上稼働し続けていたアンドロイドのと偶然という名の幸運で手に入れた一般人の、出逢いの日。
これから始まる日々は、どんな軌跡を描くのか。
私とマスター龍騎もといリュウとの、新しい生活が始まる。
複数ある紲星あかりがアンドロイドだった時の設定の1つの物語を書きました。
次は別のアンドロイドの設定で書いていきます。
今回は、自分の文章の書き方の変更を意識してみたけど、上手く出来たか不明。今後、続けていくのが重要。
あ、あとがきに書くべきかとおもったけど、活動報告(2020/10/25)に裏設定が公開されてます。
この設定は、他のアンドロイドでも適用しようと考えてます。