「ほい完成」
「「お~」」
その後外では梓さんが俺たちの目の前でお好み焼きを焼いていた。
「普通に美味い」
「でもなんでお好み焼きを作るんですか?」
梓さんが作ったお好み焼きを食べながら、耕平が時田先輩に尋ねた。
「伊豆春祭では俺たちのサークルはお好み焼きを売る」
「その売り上げをサークル予算の足しにするからな。美味くなきゃ困る」
なるほど・・・
今日は伊豆春祭で俺たちのサークルが出すお好み焼きを美味く作るための練習か。
売るものは映画と変わらないんだな。
「というわけで。今日やることは1年生にこのお好み焼きを作れるようになってもらうことだ」
「俺たちはその間、機材の準備に行ってくる。準備が終わったらみんなで食いに行くからたくさん焼いといてくれ。じゃ、梓。あとは頼んだぞ」
「りょ~か~い」
「じゃ始めようか。えっと北原伊織君と今村耕平君だっけ?」
「はい」
「そうです」
「ん、よろしくね~。じゃとりあえず私と今村君、北原君とちーちゃんでペアを組んでやってみようか」
よし!!まさかこんな早くに説得できるチャンスが来るとは!!
こんなこと滅多にないぞ!!
千紗からミスコンに参加するという口約束を引き出せるチャンスだ。
お好み焼きを作りながら、俺は作戦を開始した。
「なあ千紗。俺このサークルに入れてよかったよ」
「何急に。どうしたの?」
「今までダイビングとか興味がなかったけど、まさか水の中がこんなに素晴らしい世界だなんて気づけて良かったよ」
「そう・・・」
「それもこれも千紗のおかげだ。ありがとうな」
「お礼を言われることじゃないよ・・・」
おっ、千紗の奴。一気に機嫌がよくなっていったぞ。
よし、もう一押し
「それでさ、俺。気になったことがあるんだ。ダイビングってとても素晴らしい活動だと思うけど、みんなあまりその魅力を知らないんじゃないかって」
「まあそうだね。ダイビングは手軽にやれる活動じゃないから。ダイビングの魅力が知らない人も多いかも」
「そうそこなんだよ。俺はみんなにもダイビングの魅力を知ってもらいたい。だからさ、千紗」
「な、なに?」
俺は千紗の手を握り目を見つめて言った。
「ミスコン、出てみないか」
「嫌」
「そうかそうかありがとう、ミスコンに出て・・・え?」
千紗はそう言うと俺の手を振りほどき、お好み焼きの練習に戻った。
「どうしてだ、千紗。ダイビングの魅力を伝えたくないのか!」
「それがどうしてミスコンに出ることに繋がるのよ」
「ほら、あれだよ。ミスコンでのアピールタイムで言えるからだよ」
「嫌だったら嫌。絶対に出ないから」
「二人とも終わった~?じゃあ次は私とちーちゃん、北原君と今村君のペアでやろうか」
「分かりました」
「千紗!ちょっとまって・・・話を・・・」
千紗の奴、足早に梓さんのところに行きやがった。
クソ、どこで俺は間違えたんだ。
もう俺の残っているカードはジョーカーしかない。
これはあまり使いたくなかったが俺の保身のためだ。
やむを得ん・・・
長くなったので分割します