「伊豆春祭、開幕で~す」
「「「いえ~い」」」
伊豆春祭、この日がとうとう来てしまった。
祭り独特の雰囲気に充てられてか、先輩たちや耕平もいつもとは違い、どことなく浮かれている。
しかし俺はそんな気にはいっさいなれない。
なぜならここが重要な分岐点(俺の生死の分かれ目)となることを知っているからだ。
特に千紗には十分目を光らして見張っていかないと・・・
俺は気を引き締めて祭りに臨んだ。
「千紗ちゃん、梓。お疲れ~。どう?売り上げは?」
最初に店番を任されてた私と梓さんの元にお姉ちゃんが店を見にやって来た。
「ん~そうだね、まあぼちぼちは売れているんだけど・・・向こうに商売敵がいてね。思ったより売り上げは伸びていないかな~」
梓さんが言ったとおり、私たちが出しているブースの近くの店にお客が流れているからか、売り上げがあまり伸びていない。
確か・・・なんていう名前のサークルだったっけ?
「あ~。ティンカーベルが近くにいるのか~。それじゃ伸びなくてもしょうがないね。だってあそこのサークルすごくイケメンの子が多いから女の子がいっぱい寄っているから。女の子のお客さんはみんなあっちに行ってるんじゃない?」
お姉ちゃんがそう言っているのを聞いて思い出した。
ああそうだ、ティンカーベルだ。
確かテニサーだったっけ?まああまりいい噂は聞かないけど。
私がそう思っていると向こうからティンカーベルの服を着た男性がやってきた。
「やあ、ゴメンね。君たちの店の近くにうちの店があるせいでお客さんを取っちゃって」
なにコイツ。
一気に不機嫌になった私の気も知れずコイツは梓さんに話しかけた。
「この様子じゃもうお客さんもこないと思うしさ、どう?うちのテントに来ない?そっちの娘もどう?絶対楽しいからさ」
「あ~そういうのはちょっとね~」
「いいじゃん、こんな店なんてほったらかしてさ。こんなカワイイ娘たちをほったらかして遊びに行ってる奴らのことなんて気にせず俺たちと遊ばない?」
「あの、買わないんならどいてくれませんか?」
「わかった、わかった。じゃあ買うからさ、ライン教えてくれない?」
はあ、うっとおしいな。
そう思っていると、
「どいたどいたー!!」
「天下のPaB様だぞ~、道を開けろ~」
あのバカたち(伊織、耕平)が下着で肩車をしながらこっちに向かってきた
「・・・あれ知り合い?」
ティンカーベルの人があのバカを見て私に尋ねてきた。
本当は知り合いだと思われたくないけど、しょうがない。
コイツにここから立ち去ってもらうためだ。
「はい、サークルの友達です」
「ふーん、そう。まあいいや。じゃ、また後で誘いに来るね」
「とっとと失せろ、このリア充が」
「塩まけ、塩。二度とうちの敷居をまたぐんじゃねえぞ!!」
はあ~このバカたちのせいで一気に周りから(悪い意味で)注目されたじゃない・・・
まあアイツも帰っていったし助かったのは事実だけど、こいつらにお礼をいうのも癪だから何も言わないでおこう。
「はあ・・・ばーか」
小説を書いている時って辛い現実(就活、卒論)を忘れられるからいいよね・・・