最初はモチベーションが高いので、不定期投稿が毎日投稿になる
車が下宿先であるダイビングショップ「グランブルー」に到着した。
さて、ここからが本番だ。
一つのミスが命取りとなる。
頭の片隅にわずかしか残っていない約20年前の映画のシーンを引き出し、これから起こりうるであろうことに備え始めた。
映画のシーンは確かこうだったはずだ。
主人公である伊織が「グランブルー」の前に立ち、後ろを振り返ると美人がいた。
彼女に見惚れていると後ろから襲われて気を失い、目覚めると大学の広場で裸になっていた。
よし、ちゃんと思い出せた。
タネさえわかれば十分に対処できるはずだ。
そう頭の中で考えていた俺はいつのまにか最初で最後の関門である「グランブルー」の入口に着いていた。
本来であれば、ここで後ろを振り返ると美人がおり、見惚れている間に後ろから襲われ気を失われるが、後ろにいるのは千紗だ。
見惚れるはずがない。
そう思い、慎重に後ろを振り返ると、
そこには誰もいなかった。
おかしい。
映画では後ろには千紗がいたはずだ。
内心不思議に思っていた俺はふとある仮説を思いついた。
この世界はぐらんぶるに似た世界だが必ずしもすべて同じではないことに。
もしこの仮説通りだとすると、この世界は原作通りのイベントは起きないのでは?
今までぐらんぶるの世界におびえていた俺の心は奮い立った。
勝った!
そう内心でガッツポーズを掲げた俺は意気揚々と入口のドアの取っ手をつかみ、店内へと俺は入っていった。
10年ぶりにやって来た海沿いの町。
聞こえてくる潮騒と照り付ける太陽。
今までとは違う環境で俺はどんな出会いをするのだろうか。
希望に満ちた新たな出会いと新たな生活を...
VAMOS!!
ああ、いつの間に寝ていたのだろう。
今までとは違う環境だからか、すっかり疲れてしまったようだ。
鳥の囀りが聞こえ、瞼を閉じていても日差しが暖かいことがわかる。
ああ、今日はいい天気になりそうだ。
そう思って2度寝しようとしたとき、ふと気づいた。
家で寝ているはずなのになぜまるで外にいるような気がするのだろう?
100歩譲って鳥の囀りや暖かな日差しについては何も言わない。
自然が豊かなこの場所では何の不釣り合いもないからだ。
だがなぜ家で寝ているはずなのに床がこんなに硬いのか?
マットを敷いていないからだと俺は自分に言い聞かせたがそろそろ現実を見つめなければならない時がきた。
なぜなら恐る恐る目を開けるとそこには大勢の学生が裸になった俺を囲み、スマホで写真を撮っている様子が見えたから。
覚醒した俺の行動は素早かった。
その場からすぐ立ち去り、警備員から逃れるために草むらへ隠れ、ひと時の安寧を得た。
俺は考えた。
おかしい、映画のフラグは回収されなかったはずだと。
そもそも重要人物であるはずの千紗と会っていないのに、なぜ俺は映画のフラグを回収したのか。
謎は解けず、心は穏やかではないがすぐに行動に移さないといけない。
なぜなら俺は裸のままであり、危険な状況は何も変わっていないからだ。
俺の唯一の救いは映画を見ていたことだろう。
苦労して足の爪に書かれている暗号のような文字を必死に読むことなく、無事にパンツを回収して「グランブルー」へと急いだ。
さて、「グランブルー」についた俺は、いまや魔王がいる部屋のドアを開けるかのごとく、気を引き締めていた。
なぜ千沙と会っていないのに、気を失って裸で大学にいたのかは気になるが、わからないことは仕方がない。
そう気持ちを落ち着かせ、俺はもう一度グランブルーのドアの取っ手に手をかけた...
VAMOS!!
伊織の中身の人はぐらんぶるについて映画しか見ていないので原作の知識はまったくありません。
あと映画を見たのは前世であり約20年ほど前となっているので全て内容を覚えているわけではありません。