ドラえもん のび太の新魔界大冒険~七人の魔法使いと剣戟の英雄 作:幻想英雄
夜・野比家・階段
「絶対聞こえたって!変な声みたいなのがさ!」
「パパの寝言じゃないのぉ~」
「違うってばぁ!!」
寝間着ののび太がドラえもんと共に一階へと降りてきた。のび太は必死に説明し半ば後ろから押すように連れてきているが眠くて仕方なさそうなドラえもんは目が33の状態だった。
二人は小声で話ながら一階まで降りると、台所の方から‘キー‘とか‘ガタン‘などと怪しい物音が聞こえてきた。
のび太は勿論、目が33だったドラえもんも、ビクリと体を震わせ、物音を立てないように静かに台所の方へと向かう。
結果から言うと、どうやら、ただ勝手口が開きっぱなしで風に揺らされ音が出ていただけのようだ。
「んー、なんだ、勝手口のドアが開いてたんだよー。」
「なんだ、そうか、そうか・・・」
ドラえもんはそう言うとドアを閉め、のび太は胸をなでおろし安堵した。
「・・・ん!?」
玄関の方から何かの気配を感じたのかのび太は、ギクリと体を震わせ、ゆっくりと後ろを振り返える、するとおかしなことに薄暗い廊下のドラえもんとのび太が見つめる先に人のようなシルエットが2つ、いるように見えたのだ。
「だ、だれ?だれか居る!?」
すると次の瞬間、雷が落ちて一瞬だけ廊下が明るくなり、2つのシルエットの姿がはっきりと写し出された。
「「うわぁぁぁあああああああ!?」」
「わあああああああ!!!?何!?何!?」
二人が思わず悲鳴を挙げると、それを聞いて居間で寝ていた、玉子とのび太の父であるのび助が転がり出てきた。
泥棒か何かかと思ったらしき玉子が箒を振り回す傍らで、のび助は廊下の電気を付ける。
明かりが着くと、謎のシルエットの正体が解った。
それは庭に置いてあった筈の、のび太とドラえもんの石像であった。
「んー?まぁ、のびちゃん!何やってるの、こんな夜中に!」
眼鏡をかけていなかったため、石像をのび太本人と勘違いし、石像に向かって怒鳴り出す。
「ママ、ママ、こっち。」
そんな玉子にのび助は、恐る恐るといった様子で階段のそばから石像を見ていたのび太とドラえもんの方を指差す。
「なぁーに!?このガラクタ!」
「勝手に入ってきたんだ!」
「庭に置いてあったのに!」
「そんなバカな。石が勝手に動くわけが無いだろ。」
二人は反論するも、のび助はあきれた様子でそれを一蹴した。
「夜中にこんな悪ふざけしてー!早く片付けなさい!」
「早く寝なさーい」
玉子とのび助がそう言って居間に戻ると、残ったのび太とドラえもんは困った表情を浮かべながら、玄関の方へと視線を向けた。
「・・・片付けろったってー・・・」
「外は凄い雨だし・・・」
「仕方ない、取り敢えずこの中に入れとこう。」
そう言いながら、四次元ポケットの入り口を広げる。
「ねぇ・・・これ、さっきと形が違うんじゃ・・・・?」
「・・・え゛ぇ?」
「早く寝なさい・・・!!」
「「はーい!!」」
二人は大急ぎでポケットに石像を詰め込むと、電気を消してどたどたと二階にかけ上がっていった。
部屋に戻った二人だったがのび太は布団の中でさっきの石像のことが頭から離れず珍しく寝付けないでいた。
「ねぇ、ドラえもん。」
「んー?」
「可笑しいよね、あの石像」
「可笑しいけど明日調べよう。もう眠いよ・・・・・。」
「気になって眠れないんだよぉ。」
「何か楽しい事でも考えてりゃ、寝れる・・・」
押し入れの襖を開けてそういいきるとピシャリ襖を閉めた。
「楽しい事・・・・もしも、魔法が使えたら・・・」
ドラえもんの言う通りに楽しい事を思い浮かべようとしたのび太は、やはり今日何度も考えた事が真っ先に頭に浮かびあがった。
「・・・・・ねぇ、ドラえもん・・・?」
「んー?(#^ω^)」
「ちょっとした工夫で、本当に魔法が使える様な気がするんだ。」
「諦めの悪いやつだな!魔法なんか無いんだよ!」
そう軽く切れながらドラえもんは言うと力尽きたのかグデーッと開いた押し入れから干された状態になっていた。
「ホントなんだよ!今凄いアイディアが閃きそうになったんだけど・・引っ込んじゃったなぁ・・・・・あぁ!、なんだろう。もう、じれったいなぁ・・・」
「そうか分かった。二度と起こすな。」
ムクリと起き上がるとドラえもんはそう言い残しふすまの奥に戻っていった。
・・・おそらく次起こしたらいつぞやの宿題の時のように狂戦士化(バーサーカードラモード)となったドラえもんが襲い掛かってくるのも時間の問題となるだろうと思い、触らぬ神に祟りなしと流石にヤバイと感じたのび太は目を閉じようとした、その時だった。
「痛゛だだだだだぁ!?」
突然、ドラえもん自らが引き戸を開け、腹を抱えながら押し入れからドラえもんが転げ落ちてきた。
「何!?どうしたの!?」
素人目にもわかるヤバそうな反応に、のび太は慌てて起き上がって、ドラえもんに心配そうに声をかける。
「お、お腹が急にぃ・・・!うおおおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・!!!!!!!」
「き、緊急事態発生!!ちょ、ちょっと、22世紀に帰ってくる!!」
今まで見たことないようなすさまじい表情をしながらのび太の机の引き出しのタイムマシンへと向かう。
「大丈夫・・・?」
「だい・・・じょうぶ・・・うぅっ!?直ぐ戻る・・・!!」
そう言うとドラえもんは、やっとの思いで机の引き出しによじ登り、タイムマシーンで22世紀へと向かって行った。
「さっきの石像?・・・・何ともない・・・。」
ポケットの中を覗いてみると石像に異常は見られず。それ以外の腹痛の原因をおもいうかべると・・・・・・・・
「まさか!?・・・・昼間のどら焼30個が・・・・・!!!!。」
・・・理由分かり切ってるだろう、糖尿病になるぞ、ロボットだけど・・・・・
と、そんな馬鹿なことを言っている間に22世紀に到着したドラえもんはタイムマシーンの出入り口から頭から飛び出した。
ドスーーーーーーーーーーーーーン
「お兄ちゃん!?」
「ドラえもん!?」
ドラえもんのド派手な登場に、妹のドラミとのび太の孫のセワシは飛び上がって驚いた。
「お腹が、お腹がぁ・・・・・・・・・!!!!!」
二人にプルプルと震えた手で手を伸ばすが
「・・・・ん?・・・痛くない?・・・・・」
その言葉に盛大にズッコけるドラミとセワシであった。
一方現在野比家のび太の部屋では。
「・・・枕よ、浮かべっ!」
のび太がドラえもんと共に落ちてきた枕に向かって魔法のまねごとをしていたが、当然のことながら枕には全く変化はおきなかった。
「はあ・・・もしも魔法が使えたら・・・・。」
ため息を着きながら、仰向けになる。
「・・もしも?・・ん?・・・・もしも・・・・・・・・・」
「ああああぁぁぁぁぁぁ!!」
・・・ついにのび太は‘すごいアイデア‘を思いついてしまったのだった。・・・
22世紀では、歯医者を嫌がる小学生並みに抵抗するドラえもんをドラミとセワシが検査用のカプセルに押しこもうとしていた。
「離せぇ!!・・・離せってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
「ちゃんと、定期検診受けないからこう言うことになるのよー!!」
「大人しく入れってー!!!」
「病院は嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁl!!!!!!!」
22世紀に到着した時にはにもう腹痛が治まっていたドラえもんだったが、そのままでは問屋が卸さないと、セワシとドラミが念のために検査をさせようとしたのだが、極度の病院嫌いのドラえもんはそれを振り切って、逃走しようとし、それに対して二人も実力行使に出たという訳である。
「病院は・・・・嫌だぁぁぁ!!!」
「「うわぁ!?」」
あと少しの所で脱出に成功したドラえもんは、そのままタイムマシンの出入り口に向かって飛び上がり、慌ただしくタイムマシンに乗り込んだ。
「ドラえもん!!」
「お兄ちゃん!!」
二人はタイムマシンの出入り口があった空間を呆れた様子で見続けていた。
そして現在、のび太がなにやら興奮した様子で部屋の灯りを着けていると、ドラえもんが机の引き出しから飛び出してきた・・・因みに着地はいまいちだった。
「んあーっ、あっ、でっ!!」
「ドラえもん!お腹は!大丈夫?」
「!?あ、い、いやぁ、へへへへへ・・・・あーなんでも無かった!ただの食べ過ぎだよ!、あはははは・・もー・・・」
と、何かごまかすように頭をかきながら言った。
「なんだ、そっかぁ・・・・・そうだ!今ね、思い付いたんだよ!!さっき言ってたアイデア!!」
「えっ?何ぃ?」
安心したと思ったらドラえもんの両ほほを挟み込みながらハイテンションで先ほどの
‘すごいアイデア‘をドラえもんに報告した。
「もしもボックスだよ!!電話をかければ空想の世界が、本物になるってやつ!!」
「・・・ああ!!その手があったか!!」
もしもボックスとは公衆電話ボックス型の秘密道具で、「もしもこんなことがあったら、どんな世界になるか」を体験するためのもので、これを使用すれば確かにそれは可能だった。
「ねぇねぇ、ちょっとだけさ!魔法の世界へ行ってみようよ!!」
「んー、面白そうだなぁ」
楽しみと好奇心が混ざった様な表情から少なからず魔法に憧れがあることがうかがえるドラえもんは、そのアイディアにのる事にした。
「こう言うときだけ、頭働くんだよなー!、のび太くんは!」
そういうとドラえもんはポケットに手を突っ込むと程なくしてもしもボックスを取り出した。
「もしもボックス~!!」
「ちょっとだけだよ?魔法を楽しんだらすぐに戻るからね」
「わかってるって」
のび太はドラえもんからの念押しを軽く流しながら、もしもボックスの中に入り、受話器を手に取りその言葉を口にした・・・してしまったのだ。
「もしも・・・・魔法の世界に・・・・なったら・・・・・!!」
・・・・・チリリリリリリリン・・・・・・チリリリリリリリン・・・・・・・・・
深夜の街にもしもボックスのベルの音がやけに大きく鳴り響いていた。・・・・・
・・・・・・・・・・・運命の瞬間まで残り0秒・・・・・・・・・・・・・
いかがだったでしょうか、
今回のお話は現在と未来が交差していたので書くのが大変でしたが何とか書ききれました。
では、次回もよろしくお願いします。