「おい!メア!起きろ!!」
『んんぅ…??』
メアはルフィに声を掛けられ目を覚ました。
未だに少し寝ぼけているが、取りあえずこの島から出港することだけは何となく分かった。
「いくぞぉっ!!!」
『んむぅ…』
サンジとウソップを引きずるルフィを、目をこすりながらもメアは追いかける。
「アダダダダダダダダダ!!!」
「痛ェ!?何だ!?何だ!?」
引きずられてゆく二人の悲鳴で頭が覚醒してきたものの、ルフィのただ事ではない様子にメアは声を掛けるのを躊躇ってしまう。
「おぉい、連れてきた!」
「いつでも出せるぞ。」
船ではゾロが出港の準備をしていたようだ。肝心のルフィが連れてきたサンジとウソップは、先ほど引きずられた衝撃で軽く意識を失っているようだが。
それとなぜかMs.ウエンズデーと呼ばれていた水色の髪の女性もいる。状況は全く分からないが、とにかく今は敵という訳ではなさそうだ。それにいつの間にかカルガモも乗っていた。
「よっしゃあ!いくぞぉ!!」
帆を張りメリー号はウィスキーピーク出港する。
「おい、いったいどれくらいの追っ手が来てやがるんだ?」
「分からない。バロックワークスの社員は全部で二千人くらいはいて、この町のような拠点がいくつかあると聞いているわ。」
「まさか、ホントに二千人も…?」
そこでようやくサンジとウソップが目を覚ましたようだ。現状が全く分かっていない二人はまだこの町で過ごしていこうと叫んでいる。
ゾロが二人に説明をしてやれと言うがナミが面倒くさいところは省いたと拳骨で沈めていた。やはりナミには逆らわないでおこうと思うメアだった。
辺りが明るくなってくる。
朝も近くなり、辺りは霧が発生していた。
「あぁ、追っ手から逃げられて良かった。」
「ホントよねぇ。」
「船を岩場にぶつけないよう気を付けなきゃね。」
「まっかせときなさい!って今のルフィ?」
「いや、」
「……いい船ね。」
振り返るとそこには紫の帽子を被った、見たことの無い女が手すりに座っていた。
「「ひっ!?」」
「なっ!?誰だ!?」
「あ、あんたは…!?」
女の口振りからして、どうやらそのバロックワークスに関係のある人物らしい。
「何であんたがこんな所にいるのよ!!Ms.オールサンデー!!」
彼女はこの件の黒幕である、クロコダイルのパートナーのようだ。最もメアは周りの人間の会話から何となく事態を察しているだけで、バロックワークスやクロコダイルの存在や危険性も分かってはいないが。
Ms.ウエンズデーが何らかの理由でバロックワークスに潜り込もうとしていたのも、彼女は最初から知っているようだった。
「あんたの目的は一体何なの!?」
「…さぁね。」
Ms.オールサンデーは、本気でバロックワークスを敵に回して国を救おうとしている王女様が、あまりにも馬鹿馬鹿しいと言った。
おうじょさま?えほんでよんだことある…
Ms.ウエンズデーの正体が王女だったことにメアはビックリしてしまった。ドレスもティアラも付けてはいなかったが間違いないようだ。
それにしてもMs.オールサンデーの言い方は何となく嫌な感じがするなとメアは思った。あまり好きではないかもしれないとも。
「ナメンじゃ、ないわよーー!!!!!」
一斉にそれぞれが武器を構える。しかしそれらをいともたやすく弾いてしまった。彼女自身は指一本動かしてはいない。まさか悪魔の実の能力者だというのか。全員の頭にその考えがよぎる。
しかし一体何の能力なのか、そう考える内にまた能力を使ったのか、ルフィの帽子が風もないのに彼女の元へ飛ばされる。それにルフィは帽子を返せと怒り狂う。
そしてMs.オールサンデーは麦わら帽子を被り、一味も王女のことも不運だと言った。けれど一番の不運はログポーズが示す次の進路だと言う。
「次の島の名は、リトルガーデン。」
Ms.オールサンデーはバロックワークスが何も手を下さなくともアラバスタへ辿り着けず、全滅するとさえ言う。しかしみすみす全滅するのも馬鹿な話だと彼女は王女にログポーズにも似たものを投げ渡した。
「…エターナルポース。」
「それでリトルガーデンを飛び越えられるわ。」
その指針が示すのはアラバスタの一つ手前の何もない島らしい。バロックワークスの社員ですら知らない航路であると彼女は話す。
ナミは良いヤツなのかと混乱するが、ビビとゾロはあからさまに警戒している。
ビビがそのエターナルポースをどうすべきか迷う所へルフィが近づく。そして次の瞬間、そのエターナルポースを握り壊してしまった。ナミにはアイツが良い奴だったらどうするのかと詰め寄るが、
「この船の針路をお前が決めんなよ!!」
「…そう。残念ね。」
ルフィは、Ms.オールサンデーはイガラムを爆破したから嫌いだという。
「私は威勢のイイヤツは嫌いじゃないわ。生きてたらまた会いましょう。」
「ヤだ!!」
その答えに微笑み、Ms.オールサンデーはデッカイ亀に乗りメリー号を後にした。
そんなMs.オールサンデーを何を考えているか分からないとビビはいうが、ナミやゾロは、ならば考えるだけ無駄だという。そういうヤツはここにもいるからと。
その後訳の分からなかったサンジ、ウソップ、メアに状況が説明された。
「…私、本当にこの船に乗ってて良いのかしら…」
そう弱気になるビビにナミは、迷惑を掛けたくなかったら初めからそうしてと言う。ナミが同意を求めルフィへと聞けば腹減ったぞー!と至極どうでも良さそうな答えが返ってくる。
困惑するビビの手を、心配そうな表情でソッとメアが撫でる。その行動の理由が分からずナミに説明を求めると、ビビに元気になってほしいのではないかとナミは言った。
こんな小さな子にまで心配されてるようでは駄目ね、とビビはメアの頭を撫で返し、もう大丈夫だと告げる。
その様子にメアは心配そうな表情から一転してニパッと弾けるような笑顔を見せる。
か、かわいい!!
その笑顔に胸を打ち抜かれるビビと、そんなことは知りもせず首を傾げるメア。そんな二人の様子を一味は温かく見守っていた。
幼女のスマイルは母性をくすぐります。