「お前らか!!」
どこかへ居なくなっていたカルーを抱えて、謎の大男と傘を差した女がジャングルから出てきた。
カルーはその男たちにやられてしまったのかボロボロだ。
「コイツは返す。必要無ェ。」
「キャハハハハハハ!!」
「カルー…!!」
「お前ら…!!おい、アイツら誰だ?」
Mr.5とMs.バレンタインのことを知らないウソップにルフィがウィスキーピークにいたヤツらだと説明する。
「何故アンタたちが…!!カルーには関係無いじゃない!!」
ビビはカルーをやられた悔しさに叫ぶ。
「そうとも、この鳥には一切関係無ェ。ただ俺達が危険視していたのはその麦わらの男。ソイツと一緒にいる王女を一人おびき寄せる為にこの鳥に鳴いてもらおうと思ったんだが…」
カルーは怯えながらも決して鳴かなかったようだ。メアはその時のカルーはどれほど怖かったか、どれほど痛かったか、主人を守るためそこまでしたカルーに涙で目が潤む。
しかしルフィは岩の下敷きとなり、もうカルーに用はないとMr.5は言う。
「キャハハハハハ!!馬鹿な鳥ね。キャハハハハハハ!!」
そのMs.バレンタインの言葉にビビは怒りをあらわにする。
「アンタたち…!!」
「お前らなのか!!酒に爆弾を仕込んだのは!!」
その問いに肯定しながら、リストには入っていないウソップを二人は不審がりながらも恐らくは仲間であるから消しておこうと話し合う。
「お前らが巨人たちの決闘を…!!!」
「アイツらかーー!!ぶっ飛ばしてやるーー!!!」
ここでビビが動く。
「消えるのは、アンタたちよ!!」
「おー?足掻いてみるかMs.ウエンズデー。」
「キャハハハハ!!私たちオフィサーエージェントにあなたが敵うの?」
「クジャッキースラッシャー!!」
「くらえ!必殺火薬星!!」
ウソップの火薬星は確かに届いたように見えたが、Ms.バレンタインには躱されMr.5には効いているように見えない。
「ノーズファンシーキャノン!!」
『うそっぷ!!』
逆にこちら側が攻撃を食らってしまった。
「キャハハハハハハ!!お気の毒!!」
「ウソップーーーー!!!」
『うそっぷ!!うえ!!』
まだウソップへの攻撃は止ま無い。
「一万キロブレス!!!」
『!!』
あれは結構な衝撃だろう、果たしてあれを受けたウソップは無事だろうか。
「う”わ”ああああぁぁぁぁ!!!」
ビビもMr.5へと挑むが足元に爆風を受け、捕らえられてしまう。
「そうカッカしねーでも俺たちはまだお前らを殺しはしねーよ。ただ攫いに来ただけだ、Mr.3に言われてな。」
『…?』
「Mr.3!?ドルドルの実の男…!!アイツがこの島に…!!」
どうやらMr.3という男が今回の黒幕だったらしい。ドルドルの実の蝋人間で体から絞り出す蝋を自在に操れるようだ。
「お前ら許さねェ!!」
「何が許さねェだ。」
そう言ってMr.5はルフィとメアを爆破させる。
『うぅ…!!』
「メア!!」
幼いメアにはかなり堪えるようだ。しかしそんなことはMr.5は気にする様子もなく爆破を続ける。
『だめ…るふぃ、めあがまもるの…!!』
「そこをどけ、ガキ。」
それでも尚、必死に立ち上がるメアをMr.5が蹴り飛ばす。
『ぎゃんっ!!』
「いい加減しつけェんだよ!!」
流石のメアもとうとう動けなくなってしまった。
「お前…!!」
ウソップだけでなく、メアもやられてしまったルフィは本気で怒る。
だがルフィもMr.5の爆破を受ける。ビビ以外の四人は動けなくなってしまった。
「キャハハハハハハ!!大人しくしなさい。あなたごときが本気でバロックワークスの追っ手から逃げ切れると思ってたの?キャハハ!!流石の三千万の賞金首もアレじゃあね。キャハハハハハ!!」
「ウィスキーピークでの礼が出来て嬉しいぜ。」
こういうデリケートな問題に海賊風情が首を突っ込むべきじゃ無かったとMr.5は続ける。
「テメーの相棒の剣士ももう一人の女も捕獲済みだ。」
「…ゾロを捕まえた…?」
「あぁん?」
「じゃあ…お前ら斬られるぞ…!!」
「まだ口がきけるか、この俺のキッキーボムを顔面に受けておいて。」
「こんなもん効くか…!!お前らぶっ飛ばす!!」
「呆れた。」
「ハアアアァァァァ!!」
ドカアアアアアアァァァァァン!!!!
「!?!?ルフィさんー!?!?」
「オラアアァァ!!」
ルフィへの攻撃はまだ止まない。何発も爆破を体に受ける。ついにルフィは何も言わなくなってしまった。
「ケッ!!馬鹿が!!」
「ルフィさん!!ルフィさん!!」
「キャハハハハハハ!!」
「いくぞ、Ms.バレンタイン!!」
ビビは叫び続ける。
「ウソップさん!!カルー!!メア!!」
しかし一人ではどうすることも出来ずにビビは、Mr.5とMs.バレンタインに連れて行かれてしまった。
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やられてしまったルフィたちはまだ力尽きてはいなかった。何とか意識を取り戻し、ルフィはウソップとメアに問いかける。
「ウソップ…メア…」
『…る…ふぃ…』
「アイツら許せるか…!」
「…いやァ…許せねェ…!!」
『めあも…!!』
そこへカルーがルフィを何とかして救い出そうと、埋まっている地面をクチバシでカツリカツリと掘る。
「お前…!!悔しいか…!!」
「クワアアアアアァァァァァ!!!!」
「!!よし行くか四人で!!アイツらぶっ飛ばしに!!」
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一方その頃ゾロたちはMr.3のキャンドルに掴まり、このままでは蝋人形にされてしまう事態に陥っていた。
「おい、オッサン。まだ動けるだろ?」
「?」
そういうとゾロはおもむろに刀を抜く。
「俺もまだ動ける。一緒に潰さねェか?コイツら!!」
「「なっ!?!?」」
その言葉にこの場の全員が驚く。なんせ足を蝋で固められているのだ。一体何が出来るというのか。
「ちょっとゾロ何する気!?まさか!?」
ナミがゾロのすることに気づいたように慌てる。
「自分の足を!?冗談やめてよ!?」
「冗談じゃねーよ、ここから抜け出るにはそれしか無ェんだ。お前らどうする?」
ゾロがナミとビビに問いかける。
「そんなことしても無駄よ!!そんなことしてここを降りてもすぐ捕まっちゃうわ!!」
「そんなモンやってみねーでわかるかよ。ここにいたらどうせやられちまうんだ、見苦しく足掻いてみようじゃあねーか。」
こんなカス相手に潔く死んでやる筋合いは無ェとゾロははっきりと断言する。これにはMr.5も正気かと戸惑っている。Mr.3はハッタリ、強がりに過ぎないと言う。
しかしその姿にブロギーも心を揺さぶられ、その提案に乗ったようだ。
「嘘でしょう!?本気!?そんなことしてどうやって戦えるっていうのよ!?」
「さぁな、だが勝つつもりだ!!」
本気で足を切り落とすという策略に出るつもりらしいのにまるで勝機を失っていない。その姿にMr.5はイかれてると動揺を隠せない。ビビはそのゾロの目にかつて自分の犠牲となったイガラムを重ねていた。
「待って!!私も戦うわ!!」
「ビビ!?」
「よし、分かった。」
「いくぞォ!!」
「ふざけるな!!何ができるものかァ!!」
「「「『うわああああぁぁぁぁぁぁ!!!!』」」」
しかしそこに何かが飛んでくる。
「お前らぶっ飛ばしてやるからなァ!!」
それはルフィたち四人であった。
「やるぞウソップ!!メア!!鳥!!」
「おう!!」
『うん!!』
「クワアアアァァァァ!!」
「ルフィ!!ウソップ!!」
「メア!!カルー!!」
四人が無事であったことにナミはホッとした。
「ブロギー師匠!!あんたの悔しさは俺たちが受け継いだぜ!!」
「ウソップ…!!」
「んもぅ!!そいつらホントに原型がなくなるくらいボッコボコにして遠くへぶっ飛ばしちゃって!!」
「あぁ、そうするさ!!コイツら巨人のオッサンたちの決闘を汚したんだ!!」
ルフィもドリーとブロギーの決闘に水を差したことを本気で怒っているようだ。
「君かね?イーストブルー最高額の賞金首とは?海軍本部も目が落ちたものだ!」
「あちゃー!変な頭ー!」
「やかましいガネ!!」
「あちゃー数字の3燃えてるし!!」
「黙れ!!」
『ははー!へんなのー!!』
Mr.3のよく分からない頭にルフィは戸惑い、メアはケタケタと笑う。
「その前にルフィ、この柱壊して!私たち今蝋人形になりかけてるの!!」
「んぁ?なんだヤバかったのか?」
「いや、問題無かった。」
「ちょ!!アンタ足!?」
「あぁ、半分くらいいったかな。」
「それのどこが問題無いのよ!?」
『!?!?』
ゾロは半分足を斬っていた。ルフィ達がくるのがもう少し遅ければ完全に斬れていただろう。
その血溜まりにメアは背筋に悪寒が走る。
「とりあえずルフィ、この柱ぶっ壊してくれるか?後は任せる。」
「よしきた!」
やることは決まった。あの趣味の悪い蝋の破壊とナミたちの救出、そしてバロックワークスの幹部達をぶっ飛ばすことだ。
『フンッ!!』
初めての正面からの戦いにメアは意気込んでいた。