エスパー幼女   作:メノメノ

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もう少し1話の文字数を多くした方が良いかと思い、そうすると更新が二日~三日に一度くらいになりますがご理解下さい。



病気

「うひょー!!飛び出たーーー!!!」

 

巨大な金魚に飲み込まれたかと思ったゴーイング・メリー号は、ドリーとブロギーの技、覇国により無事に海へと戻ってこられた。

 

「振り返るなよ!!行くぞ!!真っ直ぐ!!」

 

海ごと削り取るかのような光景がこの技の凄まじさを物語っている。

 

 

「「友よ!!さぁ、行け!!」」

 

 

「ゲーギャギャギャギャ!!」

 

「ガバババババババババ!!」

 

 

見事に折れた二本の武器を海へと投げ捨て、二人は麦わらの一味の姿を見送った。

 

 

 

「みんな、俺はな!!いつか絶対エルバフへ!!戦士の村へ行くぞォ!!」

 

「おう!!よーし!!」

 

「「きょーきょー巨人♪エールバフバフエールバフバフバフ♪みんな高いぞ巨人だし♪」」

 

『きょーじーん♪きょじーんはおっおきいなー♪』

 

ルフィ、ウソップ、メアはリトルガーデンを出ても興奮が収まらず、オリジナルの歌を歌っている。

 

「元気ね…アイツら。」

 

対称的にナミは何だかグッタリしている。

 

「フゥ…何だかアタシ、さっきのでどっと疲れちゃった。ビビ、これ指針見ててくれる?…」

 

ナミがビビにアラバスタへのエターナルポースを手渡す。

 

「えぇ。」

 

「クワァ?」

 

渡された指針を見ているビビの表情はどこか重たげだ。

 

「これでやっとアラバスタへと帰れるわね。ま、最もアラバスタへの航海が無事に済めばの話だけど。」

 

「えぇ、私は必ず帰らなきゃ。だって今王国を救う方法は…」

 

私にしかできないのだから。イガラムの覚悟を思い出し、ビビは改めてその思いを胸に刻む。

 

「必ず生きてアラバスタへ…」

 

その様子に一味も深刻そうな表情になる。しかしその空気を変えようとサンジがスイーツを持って階段を降りてくる。

 

「そう力むことは無ェよ、ビビちゃん。俺がいる!」

 

サンジはそう自分を指差して言うと今日のリラックスおやつをビビへと差し出す。

 

「サンジさん…」

 

ビビもその気遣いに少し緊張がほぐれたようだ。

 

「「うまほーーー!!!」」

 

「クワアアアアァァァァァァ!!」

 

『わぁ!!』

 

「野郎共の分はキッチンだ!!」

 

そう告げられるや否やルフィ、ウソップ、カルーはキッチンへと急ぐ。野郎で無いメアはサンジの持つ皿から一つおやつを口に運び、その美味しさに震えていた。

 

『んま!!』

 

「フフ…」

 

「………」

 

『…なみだいじょーぶ?』

 

心配したメアが声を掛ける。

 

「大丈夫よ、メア。気にしないで。」

 

そうナミは言うものの、額には大粒の汗が浮かんでいる。勿論メアは暑くなど無い。明らかに可笑しい。

 

「ビビ?ごめん、アタシちょっと………部屋で…」

 

メアには先ほどそう言ったが、もはや目の焦点が合わずナミは限界を感じていた。

 

「いいわよナミさん。針路なら私が見てるから部屋でゆっくり休んで。」

 

「うぅ…」

 

『なみ!?』

 

ドサリとナミの体は崩れ落ちた。その様子にビビとメアはナミの元へと駆け寄る。

ビビが額に手を当てる。

 

「大丈夫!?みんな来て!!大変!!」

 

『たいへん!!』

 

「何だァどうしたビビ??」 

 

「ナミさんが酷い熱よ!」

 

「!?!?ナミさんがァ!?!?」

 

ナミはもはや意識も朦朧としているようで、息をするので精一杯といった感じだ。

一同は取りあえずナミをベッドへと運ぶ。

 

「ナ”ミ”さ”ん”死”ぬ”の”か”な”ァ~ビ”ビ”ち”ゃ”ん”…」

 

部屋には荒いナミの息づかいが響く。ビビはそんなナミの額に濡らしたタオルを絞って乗せる。

 

「恐らく気候の所為。グランドラインに入った船乗りは必ずぶつかるという壁の一つは異常気象による発病。どこかの海で名を挙げたどんな屈強な海賊でも、これによって突然死亡するなんてザラにある話。」

 

ちょっとした病状でも死を招くとビビは続ける。

 

「い”い”~~ナ”ミ”さ”ん”…」

 

サンジはナミのその苦しそうな姿に泣き続ける。

 

「この船に少しでも医学を齧ってる人はいないの?」

 

そのビビの問いに対してサンジ以外の残りの三人がナミを指差す。つまりそのナミがダウンしてしまった今誰もいないということだ。

 

「でも肉食えば治るよ病気はァ!なァ!サンジ!」

 

「そりゃあ基本的な病人食は作るつもりだがよ…あくまで看護の領域だ。それで治るとは限らねェ…そもそも普段の航海中から俺はナミさんとビビちゃんとメアちゃんの食事にはテメーらの百倍気ィ使って作ってる。新鮮な肉や野菜で完璧な栄養配分。腐りかけた食いモンはちゃ~んとオメーらに」

 

「っておい!!」

 

「それにしちゃあウメえよな!」

 

サンジがこの船のコックである限り、普段の栄養の摂取に関しては一切の問題を起こさないという。だが病人食となるとそれには種類があり、どういう症状で何が必要なのか、その診断が自分には出来ないと続ける。

 

「ほんじゃー全部食えば良いじゃん。」

 

「そういう事する元気が無ェのを病人っつーんだよ…」

 

「よ、四十度!?また熱が上がった…!」

 

『なみぃ…』

 

メアは涙目でナミを見る。

 

「アラバスタへ着けば当然医者もいるだろォ?あとどれくらいかかるビビ?」

 

「分からないけど…一週間では無理。」

 

例えアラバスタに着いたとしても、それまでにナミが手遅れになっていたのでは意味が無い。

 

「病気ってそんなにツレーのか?」

 

「「いやァそれはかかったこと無ェし…」」

 

『?』

 

「あなたたち一体何者なのーー!?!?」

 

言わずもがなメアもまだ病気にはかかったことはない。

 

辛いに決まっている。四十度の高熱なんて早々でるものではないとビビは語る。

 

「もしかしたら命に関わる病気かもしれない…」

 

「「「!?えーーーーーーーー!?!?!?」」」

 

「ナミは死ぬのかーー!?!?!?」

 

『うぅ…なみぃ…わああああああああん!!』

 

ビビ以外の皆は大騒ぎとなる。

メアもとうとう泣き出してしまった。

 

「狼狽えないで!!静かに!!」

 

「医者を探すぞ!!ナミを助けてもらおう!!」

 

「分かったから落ち着いて!!病気の体に響くわ!!」

 

「ダメよ…」

 

「「「「『!?』」」」」

 

「ダメよ…」

 

「ナミさん!?」

 

「おー!治った!?」

 

「治るか!!」

 

意識を取り戻したものの、やはりナミは辛そうだ。

 

「アタシのデスクの引き出しに新聞があるでしょう?」

 

ナミはその新聞を見るようにビビに言う。

 

「そ、そんな…そんな馬鹿な…」

 

周りの面々もアラバスタの事かと詰め寄る。

 

「国王軍の兵士三十万人が反乱軍に寝返った…もともと国王軍六十万、反乱軍四十万の鎮圧戦だったのに…コレじゃあ一気に形成が…」

 

「これでアラバスタの暴動はいよいよ本格化するわ…三日前の新聞よそれ、ごめんねアンタに見せても船の速度は変わらないから、不安にさせるよりもと思って隠しといたの…分かったルフィ?」

 

「ん~大変そうな印象を受けた。」

 

「そう。思った以上に伝わって良かったわ。」

 

「でもお前医者に見てもらわねェと…」

 

『そーだよ、なみ…』

 

「平気、その体温計壊れてんのね。四十度なんて人の体温じゃないもん、きっと日射病かなんかよ。」

 

「医者になんて掛かんなくても勝手に治るわ、とにかく今は予定通り真っ直ぐアラバスタを目指しましょう。…心配してくれてありがとう…」

 

そう言うとナミは甲板へと足を運ぶ。

 

「おう、何だ治ったのか!」

 

「馬鹿、強がりだ。」

 

『…なみ…』

 

きっと辛いのにビビの為を思って無理してる…そんなことはメアにだって分かった。

 

「このままじゃ直に国中で大量の血が流れる戦争になる…それだけは阻止しなきゃ…アラバスタ王国はもう終わり…クロコダイルに乗っ取られちゃう…」

 

「もう無事に帰り着くだけじゃダメなんだ…一刻も早く帰らなきゃ…間に合わないと百万人の国民が無意味な殺し合いをすることになる…」

 

「百万人もいんのかァ!?人が!?」

 

「何ちゅーモンを背負ってんだビビちゃん…」

 

『びび…』

 

ひゃくまんにん…こくみん…せんそう…ころしあい…

 

メアの頭には様々な言葉が駆け巡る。意味の分からないものもある、しかしそれらがとても重い意味を持つことだけは分かった。

 

けどなみは…

 

だがナミの状態は非常に良くない。命に関わるのなら一刻を争う。けれどそんなに時間を使ったらアラバスタ王国は…

 

どうしたらいいんだろう…

 

「おい、テメーら出てこい仕事だ!!」

 

ゾロのかけ声にビビ以外の皆が甲板へと出て来る。

 

「なーにー?」

 

「テメーの号令じゃやる気でねーな」

 

「黙って動け!シートについて左舷から風を受けろ。」

 

「何事だナミさん?波も静かで良い天気だぜ?」

 

一見穏やかに感じる気候での突然の指示にサンジが疑問に思い、ナミに問う。

 

「…風。」

 

「風?」

 

「真っ正面から大きな風がくる。多分ね…?」

 

ルフィが急にナミの額に手を当てる。その手は直ぐに熱々になってしまった。

 

「あちぃー!あちぃーぞお前!!やっぱ船止めて医者に行こう!!」

 

「余計な事しないでよ!これがアタシの平熱なの!馬鹿やってないでロープを引いて!!」

 

「ナミさん、そりゃビビちゃんの為だってのは分かるけどよ…あんまり無理すっと…」

 

「クェェ…」

 

カルーも心配そうに鳴く。

 

「平気だっていってるでしょ!?」

 

ナミは強がるが直ぐに手すりに手をつき、呼吸も荒くなる。

 

『…なみ…つらそう…』

 

「おい、ナミ…お前やっぱり…」

 

「いいから早く船を動かして!!」

 

そのナミの剣幕に押される形で皆、船を動かす。

メアはそんな中辛そうなナミに近寄り、だいじょーぶ?と声を掛ける。

 

「…ありがと。けど一体何だろ…嵐とは少し違うみたい…」

 

『…?』

 

一体何の話をしているのだろうか。

そんなことを考えている間に船は進行方向を大きく変える。そしてビビが部屋から出てきた。

 

「みんなにお願いがあるの!!船に乗せてもらっておいてこんなこと言うのも何だけど、今私の国は大変な事態に陥っていてとにかく先を急ぎたい。一刻の猶予も許されない。だからこの船を最高速度でアラバスタ王国へ進めて欲しいの!!」

 

「「「………」」」

 

『……』

 

「当然よ、約束したじゃない!」

 

「だったら直ぐに医者のいる島を探しましょう!!一刻も早くナミさんの病気を治してそしてアラバスタへ!それがこの船の“最高速度”でしょ?」

 

「そうさ!!それ以上スピードは出ねェ!!」

 

『びび…!!』

 

「いいのか?お前は王女として国民百万人の心配をすべきだろう?」

 

「そうよ!だから早くナミさんの病気を治さなきゃ!!」

 

「よく言ったビビちゃん!!惚れ直したぜ俺は!!」

 

「いい度胸だ。」

 

皆もその決断に同意を示す。

 

「悪いわね…」

 

「無理しないでナミさん…」

 

「ごめん、ビビ、やっぱアタシ…ちょっとヤバいみたい…」

 

『なみ!!』

 

「ナミさんしっかり!!」

 

「うおああああああ!?!?何だありゃああああああ!?!?!?!?」

 

突然ルフィが大声を上げたと思った先には、何と巨大な竜巻が姿を現していた。

 

「あれは…!サイクロン!!」

 

「でけェーーー!!!」

 

「ちょっちょっとまってあの方角は…!!」

 

「さっきまでこの船が向かってた方角だ!!」

 

「あ、あのまま真っ直ぐ行ってたら直撃だったぞォ!!」

 

真っ黒い雲からはバリバリと雷が鳴り響き、波も荒れ狂っている。

 

改めてナミの凄さを感じたメア。

 

「よっしゃ!!それじゃあ急ごうか!!このまま医者探しに行くぞーーー!!!!」

 

「「「「「『おーーーーーー!!!!』」」」」」

 

そして二度とゾロに舵は任せないとメアは心の中で誓った。

 

 




ゾロに任せたらそりゃあ船は迷子になりますよね。
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