エスパー幼女   作:メノメノ

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バロックワークス

ルフィたちは離れゆくドラム島を船の上から眺める。

海に出ても尚、城に咲いた桜の美しさには目を見張るものがある。チョッパーはただ黙ってじっとその様子を眺めていた。

 

「おい、チョッパーのヤツ大丈夫か?」

 

「今はそっとしといてあげましょう。」

 

「ヤツは今、男の旅立ちってヤツを体験してんのさ。」

 

「生まれてから一度も出たことの無かった島を、今初めて出ようとしてるんですものね。」

 

 

「いってきます。ドクター、ドクトリーヌ。とうとう始まるんだ、俺の冒険が!」

 

メアにはチョッパーの思いがまだあまり良く分からなかった。ビビに聞くと、それはメアがこの船を離れて別の船に乗るのと同じくらい大変なことよと教えてくれた。

メアはこの船で生まれた、つまりこの船がチョッパーでいうところの故郷、大切な場所だ。そこから離れて過ごすことは確かに並大抵の覚悟ではないだろう。

 

でもチョッパーは決心した。海賊になることを、この一味に入ることを。

ならば自分に出来るのはそんなチョッパーを温かく歓迎することだ。

 

『きょうはうたげだね!』

 

この一味では何かあると宴をする。メアは宴が好きだ。皆が笑顔になれるから。だから早くチョッパーの笑うところを見たいなとメアは思った。

 

 

 

それから暫くして、一味は月と桜を肴に宴を始めていた。

男共はルフィの鼻割り箸で大爆笑している。メアは宴は確かに好きだが、この鼻割り箸が何なのかは未だによく分からなかった。

 

「チョッパー!おいチョッパー!テメこのヤロウいつまでボーっとしてんだ!」

 

そういうとウソップは飲めとチョッパーを連れてきて酒を手渡す。

 

「こっち来て歌え!」

 

「お前も鼻割り箸やってみろ!」

 

「えぇ…」

 

その勢いにチョッパーはタジタジといった様子で、堪らずルフィたちから少し距離を置く。

 

「ビックリした?あんたも大変なヤツらの仲間になったモンよねー。」

 

「な、かま…」

 

「そう。非常識な連中だけど、これからは仲間なんだからアンタも慣れなくちゃね!」

 

ナミのその言葉にチョッパーはちょっぴり嬉しそうに鼻をヒクヒクさせた。

 

「カルー!アナタどうして川で凍ってたりしたの!?」

 

「へへ、大方足でも滑らせたんだろ?ドジなヤツだ!」

 

「黙ってMr.ブシドー!」

 

「クワァクワクワァ…」

 

「うん、うん。ゾロってヤツが川で泳いでいていなくなったから大変だと思って、川へ飛び込んだら凍っちゃったんだって。」

 

「アンタの所為じゃないのよ!!」

 

全ての根源であったゾロをナミが殴る。あのときのかん…何たら水泳かとメアは思い出していた。

 

「トニー君アナタ、カルーの言葉が分かるの!?」

 

「うん、俺は元々動物だからね。動物と話せるんだ。」

 

「動物と…話せる…」

 

「凄いチョッパー!医術に加えてそんな能力もあるなんて!」

 

「!?バカヤロウ!!そんな褒められても嬉しくねェよ!!コノヤロウが!!」

 

「ところでナミ、医術ってなんの事だ?」

 

今回ほとんど城にいなかったゾロは、チョッパーのことをまだよく知らないようだ。

 

「チョッパーは医者なのよ!ドクターくれはにありったけの医術を叩き込まれた超一流のね!」

 

「「「何ィ!?」」」

 

『やっぱりおいしゃさんなんだね!』

 

自分の予想が当たっていたメアはわーいと嬉しそうである。

 

「チョッパーお前医者なのか!?」

 

「すっげェェ!!」

 

「嘘だろ!?」

 

「呆れた、アンタたち何者のつもりでチョッパーを勧誘してたの!?」

 

「七段変形面白トナカイ。」

 

「非常食。」

 

『えぇ!?』

 

こんなかわいいのに食べちゃうなんてダメーとメアはサンジに抗議する。分かった分かったとサンジはメアを宥めるが、本当に分かったのか少々疑問である。

 

「あ!?しまった俺慌てて飛び出してきたから医療道具忘れてきた!!」

 

「嘘!じゃあこれは!?」

 

「え?…俺のリュック!」

 

「ソリに積んであったわよ。」

 

「何で…?」

 

「何でってアナタ自分で旅の支度してきたんじゃないの?」

 

「…あ…」

 

そこでチョッパーは気づいた。全てドクトリーヌのしたことだと。口ではあんなことを言っていたが、何だかんだ自分のことを思ってくれていたのだと。

 

「結局、アンタの考えてること全部見透かされちゃってた訳だ。」

 

チョッパーの目にはさっきようやく止まったはずの涙がまた浮かぶ。

 

「素敵な人ね。」

 

「うん。」

 

ナミとチョッパーの会話を聞き、メアはドクトリーヌのことを思いだす。確かにナミたちと城から抜け出した時も素直に言わず、随分と遠回しな言い方をしていた。

でも、ちょっと不器用なだけで優しい人なのだろう。

そしてそんなドクトリーヌのことがチョッパーは大好きなのだろう。

 

「ったく人がせっかく浸ってるのに…ねぇチョッパー…チョッパー?」

 

黙っていると思ったチョッパーはルフィと同じように鼻割り箸をしていた。

 

「すなーーー!!」

 

『ちょっぱー…』

 

感動が台無しである。

 

 

 

 

「よーし、テメェら注目!!」

 

ガチャンガシャン!!

 

クワァクワァ!!

 

ウソップのそんな声など気にせずにゾロとサンジは喧嘩、カルーは料理を喉に詰まらせている。

 

「サンジィ!!肉ゥ!!」

 

品の欠片も無く、ひたすらに騒がしいだけのこの空間。

 

「俺さ…」

 

そしてチョッパーは未だ鼻割り箸のままである。

 

「聞けよテメェら!!」

 

「俺…こんなに楽しいの初めてだ!!」

 

「うん!!」

 

『そっか!!』

 

「新しい仲間に乾杯だァァ!!!!」

 

「「「「「「「「『おーーー!!!!乾杯!!!!』」」」」」」」」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

 

 

ドラム島出航から日は経ち、今チョッパーはルフィとメアと船首に座り海を眺めていた。

 

「すっげェなァ!!海ってデカいんだ!!」

 

「ったりめェだ!!そのデッカい海を冒険するのが海賊だ!!」

 

「そっか!!やっぱり海賊ってスゲェや!!」

 

そのルフィの言葉にチョッパーは目を輝かせる。その反応がメアには何だか新鮮だった。

一味の中では取り分け幼いメアは周りを年上にばかり囲まれていた。世間的に見ればルフィたちも決して歳を重ねている訳では無いが、0歳児であるメアよりは長く生きている。だから大抵のことは尋ねれば知っていたし、自分よりも知識も経験も豊富だ。

だからこんな風に自分と同じようにまっさらな反応を見せる相手はメアには今までいなかったのだ。

 

「ん?」

 

『あれ?』

 

「あぁ?」

 

その時、黒い大きな影がメリー号を覆う。

 

「!?何だアレ!?」

 

「カモメだ!!」

 

『でもおっきくない?』

 

「そうよ、あんなに大きいカモメはいないわよ。」

 

「おおーい、カァモメェーー!!」

 

『あんまりよぶのはよくないとおもうけど…』

 

メアの忠告も虚しく、ルフィの声に反応するかのように巨大な怪鳥がこちらへと進路を変えた。

 

「来たァァァァ!!」

 

「ほら見ろ、やっぱりカモメじゃねェか!」

 

「それどころじゃないでしょ!!アンタが呼ぶからよ!!来ちゃったじゃないのよ!!」

 

「すっげェ!!大冒険だ!!」

 

ルフィはまだカモメと言い張るし、チョッパーはワクワク顔だ。

 

「きゃああああァァァァァァ!!!!」

 

水しぶきとナミの悲鳴が上がる。

 

「…ちょっとルフィは?」

 

顔を上げたナミの視界には今まで船首にいたルフィの姿は無く、チョッパーとメアに尋ねる。

 

『たべられちゃった。』

 

メアは指を上空を指してのんびりとした声で述べる。

 

「いやっふううゥゥゥゥ!!!!」

 

「何やってんのよーー!!!!」

 

「大変だーー!!ルフィが食われた!!」

 

チョッパーは慌てて他の一味の元へと向かう。

しかしゾロたちは呑気にトランプをしていた。

 

「そんなことしてる場合じゃないだろ!?ルフィが大変何だってば!!」

 

「助けてくれっつったか?」

 

「言ってない。」

 

「なら問題ない、ほっとけよ。」

 

『そうだよ、ちょっぱー。ほっといてだいしょぶだよ。』

 

チョッパーのことを追いかけてきたメアも放っておくように言う。でもとチョッパーは未だルフィのことが心配なようだが、そんなにヤワなものならこの船の船長などやれる訳がないのだ。

 

「ゴムゴムのォ!!」

 

『あ。』

 

腕をゼンマイのように捻り出したルフィにあればマズいとメアは呟き、その場をそっと離れる。メアの行動の意味が分からずに混乱しているチョッパーは上空を見上げ、圧倒される。

 

「プロペラァーーー!!!!」

 

「スゲェ…!」

 

そして怪鳥がルフィと共にメリー号の甲板へと落ちてきた。

 

「「「「わああああァァァァァァ!?!?」」」」

 

なぜメアが避難したのかが分かったチョッパーであった。

 

「おーいサンジ肉取ってきたぞ!!あん?何だオメーら寝てんのか?」

 

「「「オメーの所為だろ!!」」」

 

「どーしてくれんだよ、俺良い手だったんだぞ!!」

 

「そっか、悪ィ!!」

 

「おぉ!!スゲェな!!」

 

「これでやっとまともな飯が食えるぜ!」

 

「食えんのか!?」

 

『さぁ?』

 

まぁでもこの船のコックにかかればどんな食材でも美味しくなるのだから心配は要らないだろう。

 

「ん?チョッパー?どうした?」

 

「…うん、…あのさ、海賊って、海賊ってやっぱスゲェや!!」

 

「そっかー!!スゲェか!!」

 

「ちょっとアンタたち!!この船はもうすぐアラバスタへ着くのよ。遊んでる余裕なんて無いわよ!ほら!」

 

「「「「うぃーす」」」」

 

階段を降りながらチョッパーは尋ねる。

 

「ねぇ、アラバスタって?」

 

「ビビのお父さんが治める国よ。」

「そのアラバスタを今クロコダイルっつー悪党が乗っ取ろうとしてるんだ。」

 

「クロコダイルってのは七武海の一人だそうだぜ。」

 

「七武海?」

 

『そういえばわたしもよくわかんない。』

 

海賊に成り立てのチョッパーはまだ七武海の存在も知らないようだ。ぶっちゃけメアもよく分かってはいない。

 

「ヤツらは世界政府公認の海賊なのよ。」

 

「海賊が政府公認!?」

 

「あぁ、ヤツらは圧倒的に強い!!んでもって海賊を片っ端から潰しちまうんだ。だから政府は彼らを公認して海賊潰しを認めてるんだな。」

 

『あーそういうことだったんだね!』

 

ナミとウソップがチョッパーの為に七武海の制度を説明する。海賊潰す、だから政府が認めるんだね!と言うメアに本当に分かってんのかとウソップはツッコミを入れる。

 

「クロコダイルかァ。早く会ってみてェな!!」

 

「クロコダイルはアラバスタでは英雄なの。街を襲う海賊を潰してくれるから。でもそれはクロコダイルの表の顔にすぎない…。」

 

「ヤツは影で糸を引いてアラバスタに内乱を起こしているの。アラバスタを乗っ取るために…。誰もその事に気づいていないのよ…、国民も…お父様も…。」

 

『ひどい…』

 

「よォしとにかくお前そのクロコダイルをやっつけりゃあいいんだろ?」

 

「えぇ、まず内乱を抑えて国からバロックワークスを追い出すことが出来れば。」

 

「バロックワークス…?」

 

「あーそっか、それもよく分かんなかったんだよな。実は俺もよォ、イマイチよく分かんねェんだ。バロックワークスってシステムが複雑で。」

 

「システムは単純よ。」

 

ビビはバロックワークスについて二人に分かりやすく説明をする。

 

「まず頂点にボスのクロコダイル。つまりMr.0がいる。そのボスの指令を直接受けるエージェントが十二人と一匹いるの。彼らはそれぞれ女性エージェントとペアを組んで行動する。」

 

「Mr.1とMs.ダブルフィンガー。Mr.2だけはペアがいないけど。」

 

「Mr.3ってのはリトルガーデンのロウソク男だな?」

 

「えぇ、Ms.ゴールデンウィークとペアを組んでいた。」

 

「あぁ、あの子…。」

 

その時のことを思い出してメアはちょっぴり苦い顔をする。

 

「Mr.4はMs.メリークリスマスとペア。この二人のことは私もよく掴んでないの…。」

 

「あとハナクソ男。」

 

「Mr.5か。」

 

「ハナクソ?」

 

「おぉ、ハナクソが爆弾になってんだよ。」

 

「Mr.5は全身が兵器なのよ。」

 

「Ms.バレンタインはキロキロの実の能力者ね。」

 

「体重を自由に変えられる女だろ?」

 

「Mr.1からMr.5までがオフィサーエイジェントと呼ばれていて、全員が悪魔の実の能力者。本当に重要な任務の時しか動かない。Mr.6からMr.13までは社員を率いてグランドラインの入口で会社の資金集めをするのが仕事。」

 

「そういや変なサルとニワトリもいたな。」

 

「Mr.13とMs.フライデーね。彼らは懲罰隊なの。任務失敗者へのお仕置が主な仕事よ。」

 

「その他にオフィサーエージェントの部下、ビリオンズが200人。フロンティアエージェントの部下、ミリオンズが1800人。これが秘密犯罪結社バロックワークスよ。」

 

「ってこたァ1800と200だから…」

 

「2000人もいるのか!?」

 

「2000人!?」

 

その桁外れの社員の多さにウソップとチョッパーは驚愕する。

 

「よォしよーく分かった。とにかくそのクロコダイルをぶっ飛ばしたらいいんだろ!?」

 

「オメー絶対分かってねーだろ」

 

「バロックワークス社の最後の大仕事がアラバスタ乗っ取りならば、」

 

「そのオフィサーエージェントとやらは残り全員ずらりと、」

 

「アラバスタに集結する。」

 

「えぇ。」

 

「そっかーじゃとにかくそのクロコダイルってヤツを…」

 

「もういい。お前は黙ってろ。」

 

「あ、そう?」

 

 




ちなみにダブルフィンガーっていうのは、元旦のことを指してるんですね。さっき調べました。両手で指を一本ずつ立てると1月1日になるからだそうで。だからなんだといわれたらそれまでですが。話は変わりますが、皆さんは好きなオフィサーエージェントはいますか?私はMs.バレンタインの特に帽子を被ってないビジュアルが好みです。可愛いですよね。性格はあんま可愛くなかったですが。
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