双子岬を出港し一本目の航路に入ったメアたちを待ち受けていたのは、とんでもなくデタラメな天候だった。
『(ブルブル)』
メアは初めての寒さにすっかりやられナミの腕の中に収まっていた。ナミも子供体温で温かいためメアを抱きかかえていた。ルフィとウソップは上着も着ないで雪だるまを作っているようだが、メアにはその感覚は理解出来ない。
どんなからだしてるの…
卵から孵った人間にまでそう思われるとは、ある意味凄いのだろうか。
バリバリッ
『ひっ!?』
一瞬で空が黒に染まり、雷が落ちてくる。メアはその音に軽くパニックになっていた。
『え!?!?ええ!?!?』
「落ち着きなさい、ただの雷よ」
ナミにそういって宥められる。
「けど一体どうなってんのここの天候は…?」
先ほどまでは晴天だったのに突然の雪、しかもこんどは雷まで鳴る始末。噂以上のとんでもない天候だ。
「それがここグランドラインなの」
「君ら何も分かってないようだな」
「さっきからずっと舵取ってないけど大丈夫?」
Ms.ウエンズデーのその言葉にナミは先ほど方向は確認したと言うが、再びログポーズに目を向けると進路と180度違う方向に進んでいた。
「ああああああぁぁぁぁぁ!?!?!?」
ナミは急いで皆に指示し、船を旋回させる。
Mr.9とMs.ウエンズデーも蹴り出され船の舵取りを手伝わされる。
こうしちゃいられないとメアも能力を使いできる限りのサポートをする。本当は雪が冷たくて寒いがそんなことを言っている場合ではない。
「おい、待て!風が変わったぞ!!」
「嘘っ!?」
こんどは日差しが差し込み、強風が吹き荒れる。
「春一番だ!!」
「何で!?」
皆は忙しく船の中を駆け回る。一難去ってまた一難。今度は大きな氷山が目の前に現れる。正面からぶつかれば、メリー号がただでは済まないだろう。
「波が高くなってきた!十時の方角に氷山発見!」
「ナミさん!霧だァ!!」
「何なのよこの海はァ!?!?」
そんなことを言っている間にも氷山はすぐそこまで迫ってきている。メアはサンジとナミと舵を取るのを手伝う。何とか正面からの衝突は免れたが、今度は掠った船底に穴が空いてしまったようだ。
「おい、船底で水漏れしてっぞ!!」
「すぐに塞がなきゃ!!」
「うっしゃあ!」
雲の流れがとても速く、あっという間にまた黒い雲に覆われてしまった。
「風だわ!!」
「デカい!!」
「…来る!」
このまま風を受けては転覆してしまうと帆を畳むようナミは皆に指示する。そしてサンジが食事を持ってきてくれた。小さなメアの口は一個食べただけで一杯になってしまう。苦しさに慌てて飲み込みナミの手伝いに行く。
帆も裂け、さらにもう一カ所船底に穴が空いてしまい、一味はもうてんやわんやだ。
それでも何とかこの嵐を乗り切ったようで、また穏やかな気候に戻ったようだ。
極度の疲れにメアは床に倒れ込む。見れば他の者達も皆同じようだった。
「あーよく寝た。ん?おいおい幾ら気候が良いからって全員だらけすぎだぜ、ちゃんと進路は取れてんだろうな?」
「「『(お前……)』」」
やっと起きてきたゾロに湧いてきたのは初めての殺意だった。
そしてやっと二人組がこの船に乗り、ウィスキーピークへ向かっていることも知ったようだった。
ゾロは二人組のことを何か知っている風だったが、後ろからナミがそれをど突く。そのまま3発の拳骨をお見舞いされていた。
ナミ…こわい…
そしてメア、初めての恐怖である。
ナミはまだまだ気を抜かないように声を掛ける。自身の航海術が一切通用しないから間違いないとも。
だいじょぶかな…
皆の心には不安しかない。
「大丈夫よ、それでもきっと何とかなる!その証拠に、ホラッ!一本目の航海が終わった。」
ナミが指を差す先には、霧の向こうにうっすらとサボテンのような島が見えていた。
「うはは!!」
「おー!!」
「ここがウィスキーピークか。しっかし妙ちくりんな島だなぁ。」
「デッカイサボテンだぜっ!」
Mr.9とMs.ウエンズデーは船の縁に乗り、ルフィたちに礼を言うとそのまま泳いで島の方角へ向かっていった。
「行っちゃった…」
「一体何だったんだ…?アイツらは?」
「ほっとけェ、上陸だァ!!」
島には川が見え内陸に入れそうだった。ただし化け物やら何やらがいる可能性もある。ここはグランドラインなのだ。
ナミは全員に滞在しなければならない時間について説明する。ログポーズが磁力を記録出来なければ次の島を指すことは出来ない。つまり、化け物がいてもすぐには出港が出来ないのだ。
ルフィはそしたらその時考えりゃあいいさといつもの調子で言う。
「ルフィの言う通りだ、行こうぜ。考えるだけ無駄だろ。」
「何があってもナミさんとメアちゃんのことは俺が守るぜ!」
ゾロとサンジもルフィの意見に賛成のようだ。
「おい、待てみんな聞いてくれ…急に持病が…島に入ってはいけない病が「じゃあ入るけど、」
ナミはウソップの言葉を遮り話を続ける。ちなみにメアはウソップの嘘を心配していた。
「いい?逃げ回る用意と戦う準備は忘れないで。」
「いや…だ、だから俺の持病が…」
『!?!?』
メアはその後すぐウソップの嘘だと教えられていた。