TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

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何か前回含め、主人公が筆者の予定よりも本気出している感ある


今後の配信方針とか

 用事で会社に行くと担当の水守さんに会って早々お祝いの言葉を貰えた。

 確かにエゴサした限り反応の数や内容からして成功したと言えるだろう。

 だが話題性を持っていき過ぎな気もする。

 バズったと言うには程遠いが同期と比べれば私の話題が桁違いに多い。

 正直これだと『追加』は要らなかったかもしれない。

 

「RTAの準備もお互い順調に進んでいるようで」

 

 私はあの配信の翌日から新規RTAの準備をしている。

 筋肉は一生の相棒なゲームを、Vtuberらしくバーチャルな身体を表示して、だ。

 身体を動かすゲームとVtuberは相性が良いし妥当な選択と思う。

 できれば土日か夏休みを使い配信上で通したい。

 ちなみにゲームソフト以外の機材他諸々は会社に相談して借りる予定。

 

 不安要素は、これがVtuberとしての宣伝を兼ねること。

 都合上、動画に付ける解説はいつもの機械音声でなく肉声でする必要がある。

 その手の経験は積んでいないので多分いつもより聞き取り辛くなるだろう。

 

「その件は本当にありがとうございます」

 

 まだ通せない程度のRTAを試走した感想。

 Vtuber用トラッカー(現在は重りで代用)が地味に重くてきつい。

 トラッカー付けたままトイレいける恰好とか謎の研究で試走の時間が減ってる。

 正直かなり遅くなる気しかしない。

 まあタイマーつけて完走すればRTAだから問題ないか。

 今から再走は考えておくが。

 

「ところで、よく最初から3Dのやつを用意できましたね」

 

 よく考えると3Dはわざわざお披露目配信をする程度には手間がかかるはず。

 ましてやまだアバターの相談をしてからあまり経っていない。

 なのに、私が見た限り何の問題もなく動いていた。

 

「これは弊社の都合なのですが――」

 

 以前から3Dを動かす技術は扱っており、フルトラッキングも扱うつもりでいた。

 その下地から『イラスト動かすより最初から3Dで良いのでは』となったそうだ。

 つまりこの会社、最初から3Dよりイラストを動かす方が苦手。

 

「実際、普段の配信用の弊社製ソフトでも3Dのアバターを動かしています」

 

 最初からアバターが3D対応済み。

 それを利用し普段の配信から3D用のトラッカーを着ける人もいるとか。

 多分おかしい。

 

「まず何でわざわざソフト開発からしているんですか」

 

 3Dのアバターをカメラ認識で動かすのはまだ分かる。

 分かるが、似たようなソフトは探せば既にあるだろうに。

 私は知らないけど。

 

「その点は社外秘が混ざるのでちょっと」

 

 そう言われると内容を聞くわけにはいかない。

 一応少ししたら情報を出せるようになるらしい。

 それまで期待して待っておこう。

 


 

 軽く話をしたところで場所を移す。

 今回私が会社まで来た理由は現状で配信できるゲームの一覧を受け取るためだ。

 

「とりあえずこちらが一覧です」

 

 なんとなく『俺』の頃に出張先用に作っていた説明書を思い出す冊子を渡された。

 ゲームタイトル、配信できる範囲、スパチャの可不可や注意事項が書かれている。

 

「あとこちらが各ゲームの軽い説明で、ついでにこちらが弊社製のゲームです」

 

 何か渡された資料が思っていたより増えた。

 分かり易いけどわざわざ三冊に分けるのか。

 というか、弊社製のゲーム?

 

「ええっと、宣伝的にこっちのゲームの配信をした方が良いですかね」

 

 会社的には自社製ゲームをしてほしいだろうと思って聞いてみたが否定された。

 

「一般には馴染みが薄く興味を持ちにくい上、知っている人には今更なので」

 

 だから、興味があったらたまにやる、ぐらいで良いのだそうだ。

 私的に入社試験でやったゲームのリベンジもしたかったが一覧にはなかった。

 当然と言えば当然だろう。

 

「それとこちらは要望であって強制ではないのですが――」

 

 水守さんから出た提案は、同期二人と何らかのゲームでのコラボ。

 それを通じて各々の様々な面を出して欲しいという話だ。

 私としても登録者数の差が悪い方向に進まない内にやっておきたいと思っていた。

 

 話題性がある内にどれだけ視聴者を稼げるかは大切だ。

 Vtuberに限らず、伸びる為には存在を広めてくれる人が必要になる。

 その最も分かり易い手段が視聴者だからだ。

 現段階の同期で身内を広める役目は話題性で注目の集まっている私が妥当。

 但し私の役目は私に興味を持った人を二人の配信の入り口に誘導するまで。

 そこから先は本人の能力次第。

 

 

 ……とても当たり前な確認をしよう。

 誰かの規模が大きくなればその近い人物にも影響が出る。

 例えば何らかの理由で誰かの登録者数が大きく伸びたとする。

 そこから何か繋がりがある相手という導線で別の誰かを見る人が出てくる。

 結果、特別何もしていない人が伸びた人から間接的な影響を受けて伸びる。

 これは別に珍しい話ではない。

 少なくとも私が今まで見ていなかったVtuberに興味を持つ例の一つだ。

 

 箱という概念が強いのはこの導線を作り易い点にある。

 対照、似た者、先輩、同期、後輩など、箱の中から幾らでも繋がりを探せる。

 だから私もこれを活かしたい。

 勢いがある内のコラボは余程の事故が起きない限り長期的には利があるはず。

 そういう打算込みだがコラボで同期を宣伝する程度の協力ならして良いと思う。

 

 

 ……とまあ、長々とそれっぽい理屈を並べてみた。

 実のところもっと単純な話、協力する方が将来的に面白くなりそうだと思った。

 最初の方の配信で何かが起きれば一周年とか事ある毎に弄れるし。

 

「分かりました。ちょっと後で二人と相談してみますね」

 

 問題は人数だ。

 二人か四人なら幾つかの候補がすぐに浮かぶ。

 だが三人となると少し難しい。

 特に対戦要素で敵味方に分かれるようなゲームは偏りが出るのでなるべく無し。

 パーティー系のゲームでも人数調整のCPUが混ざらない種類の方が良いだろう。

 

 

 尤も、私の中では何をやるか既にほぼ決まっている。

 後は二人と相談してそれ以上の案が出るかどうかだけだ。




実際三人コラボでやれるゲームの候補って交代でやるとかでないと結構制限かかるよね

元々は即RTA投稿してたけど逆算したら日数足りないと気付き即席で修正
急な修正で推敲足りてないのでどこかにおかしい文章残っているかも

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