TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

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良いサブタイトル思い浮かばなかった修正したい(願望)


大人数と言えば焼き肉だけどそれはそれとして今回は海産物

 出てきた昼食は大体海産物中心の料理だった。

 蟹グラタンとか、でかいエビフライとか、刺身とか、天ぷらとか。

 他にも何か(イワシ)を味噌で味付けしたやつとか、サバの刺身にゴマかかったやつとか。

 主観で言うと全体的に白米の進むものばかりだ。

 実際、白米がお店にありそうな大きな炊飯器で炊いてある。

 料理と白米を底が深めの紙皿に分けて食べる形式。

 

 なお食べる用のテーブルは普通に家にあるような四人掛けサイズ。

 一方、料理を並べる用のテーブルはオフィス用の折り畳みのやつ。

 会社だから後者で統一されているものと思っていたがそうでもないらしい。

 

「何でこういう集まりなのに焼肉じゃないの」

「言ってること結構失礼だからね」

 

 私の向かいに座っている失礼なやつは羽田野(はたの)(つばさ)

 要するにレトリクーンの中の人である。

 とりあえず私は顔を合わせておきたかったので彼の食べている席まで来た。

 初見の感想としては『性格だけでなく身長まで小学生みたいだな』である。

 小学生が身近にいないからどっちも完全にイメージだけど。

 これで私と一歳違いの大学一年生というのだから驚きだ。

 なお語尾はキャラ付けなので今は付けてない。

 今思うと私も配信用に何か語尾付けてよかった気がする。

 

「ついでに言うと海産物は大体江島(えとう)さんのお祝いで贈られてきたものです」

 

 羽田野(はたの)君の隣から事情を伝えたのは西月(にしつき)(まもる)さん。

 社長の親戚でその伝手から採用された自称雑用係。

 それと同期である伊甲(いこう)天巌(てんがん)さんの担当スタッフでもある。

 初見の限りなく偏見に満ちた感想としては『何かチャラそう』とかそんなところ。

 実際に話してみるとそうでもなかったわけだが。

 話しかけ易いように、という意図の髪型や恰好が変な化学反応を起こしている。

 

 お祝い、というのは江島(えとう)日和(ひより)さん、つまり冷雪(コルス)さんが企業所属になったこと。

 これを理由に実家から『皆で食べてね』的なノリで海産物が贈られてきたとか。

 皆で、という表現から分かる通り大人数で食べる前提の量がある。

 お陰で現在、冷蔵庫冷凍庫共に容量的にかなりきつい。

 軽く見た程度だか、海産物以外を見つけることが難しい密度だった。

 

 つまりこの昼食会は少しでも冷蔵庫を空ける為に人を集めた面もあるわけだ。

 実際、可食部の割に梱包だの何だのが沢山要る蟹や海老が並んでいるし。

 それと確認した限り、魚料理も明らかに足が早いものが優先されているし。

 

「焼き肉より準備や片付けの手間も増えていますが相応においしいですよ」

 

 私の隣から遠回しに圧をかけるのは私の担当の水守(みずもり)(つぐ)さん。

 その顔は金髪碧眼の如何(いか)にも日本人じゃなさそうなもの。

 しかし生まれも育ちも日本な上に、中学時代の英語の成績は微妙だったとか。

 今回、料理や片付けの手伝いに加わっている。

 つまり焼肉でないことによる負担がかかっている人物の一人だ。

 

 この言葉を受けてか、全面的によくない発言をした羽田野(はたの)君は素直に謝った。

 先にお祝いにケチを付けた点を謝った上で料理の手間のお礼を言えるのはさすが。

 発言のどこを悪く思われたかや行動の優先度をよく判断できている。

 そこまで判断できるなら、あとは考えなしの発言をやめてほしい。

 配信でやらかしてるのも大体そういうところだぞ。

 

 

 ……なおこの集まりに伊甲(いこう)天巌(てんがん)さんは来ていない。

 家の都合で土日は基本的に出てこれないとグルチャで言われた。

 この辺りの話の流れで聞けたところによると、面接や試験も平日にしたとか。

 ただの想像だが、土日の方が忙しい客商売とかそういう系だろうか。

 


 

 雑談をしながら料理を改めて確認する。

 どれも海産物をある程度含んでいる。

 食材の量もだが、これだけの種類の料理を用意できることもすごい。

 

「これって確か、大体江島さんが中心になって料理したんでしたっけ」

 

 海産物の出所である江島さんの実家は漁関係の仕事だとか。

 それで食べる機会も多ければ料理も馴染みがあるのだそうだ。

 ついでに現在は新人教育の都合で一時的にこの寮に移り住んでいると聞いた。

 どういう都合なのかは話の流れで聞きそびれた。

 

「そうですよ。まあ一部はシンプルに焼くだけとかの方が――」

 

 江島さんは雑談に途中から加わっている。

 第一印象は『背丈が(169cm)と大差ないな』とかそんなところ。

 海の人というと日焼けのイメージがあったのだが全然そんなことはなかった。

 出荷先の都合から仕事は夜から早朝になりそれほど日に焼けないらしい。

 言われてみれば、朝から店頭に並べるにはそれ以前に獲る必要がある。

 逆算すれば夜中の内に行動する必要があるのは当然。

 どちらかと言うと髪や肌を潮から守る美容品の方に力を入れているのだそうだ。

 

「時期毎の種類の偏りで飽きがこないように料理勉強したんだっけ?」

 

 その声は話の途中に、斜め後ろから降ってきた。

 振り返ると見覚えのない眼鏡の女性がいる。

 なんか眼鏡のレンズが四角くくて大きいしフレームも妙に太い。

 すぐ消える程度の芸人がかけていそうな感じだ。

 そしてそれが絶望的に似合っていない。

 

 あと突然背後に現れるとか、これが暗殺者なら死んでたぞ。私が。

 

「ニシツキシキ所属、主にソフト担当の(わた)志織(しおり)です。よろしく」

 

 後ろの女性はそう言いながら、首から下げていた社員証を向けてきた。

 何か出し方が名刺みたいな感じだな。

 反射的に取りそうになったじゃないか。

 というか、準備の時に見かけなかったような。

 

志織(しおり)さんは最近働き詰めだったので、この手の準備から外されているんですよ」

 

 私が疑問を口にするより先に隣に座った江島さんから補足が入った。

 なるほど、だから見かけなかったのね。

 

「正直フィジカル弱すぎて任せられる手伝いが少ないというのもありますが」

 

 追加の補足が反対側(渡さんから遠い側)に座っている(つぐ)さんから小声でされた。

 それはつまり、働き詰めとか関係なく準備から外されるような人なのでは?

 早成(わたし)は訝しんだ。




一応補足
 最後の方、駒走さんは緒さんと江島さんに挟まれてます
 元が四人掛けのテーブルでめっちゃ狭いけど人集まりつつあるから合わせた形


裏で出身県を設定していたお陰で料理の部分埋めやすかった(小並感)

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