TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

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元々は前話後半部分だったけど気付いたら中身が濃く長くなっていたから分けた
あと名前沢山出てくるけどぶっちゃけ覚えなくても大丈夫です


配信者視点の考え方

 料理の話から始まり雑談に移行したわけだが、そこはライバー関係者の集まり。

 自然と配信の方針の話が出てくるようになる。

 

 

「やっぱり方向性を絞る部分と広げる部分をある程度はっきりとさせて――」

 

 私はメインをはっきりさせてそれ以外を混ぜる形が良いと主張。

 柱になる要素を決めておけば迷走しても最悪柱の部分に興味がある人は残る。

 根に当たる柱を決めずに活動すると興味を持ってくれた視聴者にも優しくない。

 こういう点で興味を持った、という人も活動の方向が見える方が追い易いだろう。

 

 

「ですがそうやって意図的に層を偏らせるより、偏りなく幅広くやる方が――」

 

 伊甲(いこう)天巌(てんがん)さん担当の(まもる)さんはやることの幅が大切だと主張。

 例えばいろんなゲームをすれば見慣れないゲームでも視聴するような人が残る。

 案件の受け易さや視聴者数の安定させ易さなどを考えれば偏らせない方が良い。

 概ねそんな感じの話だ。

 私としては本人のキャラが余程強くない限りは難しいやり方だと思う。

 

 ……なお名前呼びしている理由は苗字だとややこしいことになりそうだから。

 特に距離感が縮んだとかではない。

 

 

「そもそも配信者によって方針との相性が――」

 

 (ハソシウル)担当の(つぐ)さんは配信者の性格に合わせることが大切と主張。

 実際、私は研究を積み重ねるタイプなのである程度繰り返す方が持ち味が出る。

 対して、羽田野君(レトリクーン)は初見で四苦八苦しながら進める方が持ち味が出る。

 ある意味では私と(まもる)さんの折衷案と言っても良いだろう。

 問題は『その持ち味を活かせるやり方をどう判断するか』というところだが。

 

 

「配信者云々を言うなら、まず本人のモチベーションの問題も――」

 

 江島(えとう)日和(ひより)さんは配信者の感覚や感情が重要と主張。

 配信者の気分に合わせた配信なら少なくとも実力相応の力は発揮できる。

 言い換えると『気分に合わないものをやらせても微妙になる』という話だ。

 冷雪(コルス)さんとしての配信はむしろ偏りがはっきり出ていたので意外だった。

 私のRTAも(もと)を正せばモチベーションの話で始まっているので一理ある。

 でもこれを本気で重視すると活動の内容が不安定になる。

 個々はともかく全体のバランスは微妙なものになりそうだ。

 

 

「お金貰いプロとして活動する以上、モチベーションよりできること重視で――」

 

 (わた)志織(しおり)さんはできることから逆算するべきと主張。

 個性を活かす方向性はある意味(つぐ)さんに近い考え方だ。

 違いとして、あちらは配信者側の主観重視に対してこちらは視聴者側の主観重視。

 本人がどう思っていようと他の人が持たない強みを持つなら活かすべき、となる。

 但しこれは『期待されたことは嫌でもやる』みたいなのとはまた違う。

 この辺りの基準は詳しい話で逆によくわからなくなったのでノーコメント。

 

 

「でもまず大半の視聴者はある程度知っていることの方が楽しみ易いわけで――」

 

 途中から加わった日向(ひむかい)(ゆう)さんは知られている要素こそが大切と主張。

 例えば流行のものは多くの視聴者が知っているから自然と楽しめる人も多くなる。

 有名なレトロゲームや専門性の低い雑談も同様。

 つまり『広まる上では多くの人が知っている要素こそが大切』という考え方だ。

 私としては、自力の重要度が高くなるから人を選ぶやり方だと思う。

 

 

「そもそも求められる要素は幾らでも変わるし方針をはっきりさせなくても――」

 

 とはいつの間にか加わっていた日向(ひむかい)(のぞみ)社長の主張。

 でもそれは少し話が違う気がする。

 

「今は配信者単位の話であって企業とか界隈とかの規模の話じゃないんですよ」

 

 私の言いたいことは(ゆう)さんのツッコミ通りである。

 今しているのは『配信者視点でどういう方向を考え目指すか』という話だ。

 言い換えると『カレー屋にするか定食屋にするか』みたいなレベル。

 間違っても『必要に応じて変えればいい』みたいな無茶は含まれない。

 

「いやいや、それこそ視点が狭すぎるよ」

 

 聞いてみると、確かに考え方は違ったが、私の想像よりは現実的なものだった。

 

 社長曰く、複数の方針を抱え込み使い分けることは不可能ではない。

 例えばコラボであればコラボの趣旨によってはいつもと違う方針の活動になる。

 そのような『方針を切り替えて許される要素』を幾つも利用してやればいい。

 それなら本人を活かせる要素や求められる要素を臨機応変に全て活かせる。

 

「基本はあっても良いけど、そこに縛られ過ぎたら飽きが来やすくなるだけだし」

 

 なるほど、言いたいことは分かった。

 聞いた限りだとある程度は正しいだろう。

 だけど私は言いたい。

 

「その自由度を活かしきることってできるんですか?」

 

 方針の切り替えを前提にすると、今度はやれることの選択肢が広すぎる。

 そこから最適解を選び続けるというのはまず現実的ではない。

 高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に、とは要するに行き当たりばったりという。

 

「そうだね、最初からは難しいからまず考え方として――」

 

 

 そんな感じで大人数で集まり話し合っていたわけだが――

 

「えっと、ちょっとお茶取ってきますけどついでに何か要ります?」

 

 羽田野君(レトリクーンの中の人)は話に全くついてこれてなかった。

 なんとなく分かってはいたけど、君はフィーリング型(こういうこと考えないタイプ)だもんね。

 こっちばっかり盛り上がってごめんよ。

 何なら他所(よそ)の会話に交じりに行っても良いから。

 

 

 なおこの後、話が盛り上がり食事の片付けを忘れていた件で怒られた。




名前は必要なところで復習入れたりするのであまり覚えなくても大丈夫です
※大事なことなので以下略

一応興味ある人向けに章の最後に主人公視点で全員分の情報まとめを入れます


ついでの復習
【話題】配信の考え方【参加8人/全体12人】
 なお不参加の内二人はおっさん

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