TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

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多分この章で一番重要な回


『私』と『家族』と『俺』と

 毎年『私』の一家はお盆に父の実家へ帰る。

 そして『私』は、お墓参りに行く度に思うのだ。

 ここにいる『私』は本当にこの家の子と言って良いのか、と。

 

 ……毎回最後は『そんな深く考えても無駄』という結論になるわけだが。

 これって前世的なのが無くても同じことを言えるし。

 


 

 それはそれとして、今の私には頼んでおきたいことがある。

 

「お父さん、帰りに幾らかのゲーム機と一緒に送って欲しいんだけど」

 

 一人暮らしを始めてからのRTAはPCゲーに偏っていた。

 これは単純に物を置くスペースに困ると想像できたからだ。

 だがゲーム配信のことを考えれば幾らか持って行った方が良い。

 特にスペースをあまり取らない携帯ゲーム機。

 これの画面をパソコン側に出力するだけで選択肢が大きく広がる。

 なおテレビが無いので据え置き機は基本的に却下。

 

「それは問題ないけど、持っていくならついでにあ●森始めたりしない?」

 

 あー、森と言いつつ最新作では島を開拓するあのゲームか。

 やること自体は問題ない、というか最初からやる候補にはあった。

 但しそれはVtuberとして、だ。

 

 なんだかんだでVtuberになったと両親に伝えるタイミングを逃している。

 この際伝えても良いけれど今伝えるのは何というか勿体ない気がする。

 だが情報を伏せてうっかり別ルートからバレるのはもっと勿体ない。

 そしてオンラインでできるゲームはこのバレる展開になる要素の一つだ。

 具体的には名前の関係で。

 

「うーん、その内始めると思う」

 

 なので答えは濁しておく。

 ……でもよく考えるとフレンド登録は話の流れですることになるよなぁ。

 あのゲーム機のフレンド機能ってどうなってたっけ。

 というか以前使ってた時のアカウント設定どうしてたっけ。

 二台以上持つ場合の設定があったのは覚えている。

 買ってアカウント設定したのが昔過ぎて覚えてない。

 当時は親に見られる想定で名前をハソシウルにしなかったはず。

 

 というか、今家にあのゲーム機一台しかなかったよな。

 本体を買い足したとは聞いてない。

 この父から具体的なタイトルが出る辺り既にやっている可能性は高い。

 

「もしかして私の置いて行った端末でゲームやってる?」

 

 返答は濁されたけど、もうそれがもう答えなんよ。

 


 

 この世界は『俺』だった時と共通点が多い。

 しかし同時に、全く同じというわけでもない。

 では『この世界』とは何だろうか。

 

 この疑問に関連して確認したい候補が――二つある。

 今まではお金か時間、あるいは両方の問題でできなかった。

 いや、やろうとすれば一人暮らしを始めた去年には確認できたかも。

 多分あの時は覚悟が足りなかった。

 覚悟の不足を『お金の不足』に置き換える為に散財していたのかも。

 今考えればそう解釈できる程にお金を使っていた。

 

 しかし『理由を付けて見ない』という姿勢はVtuberになった時変わった。

 形式的な自己紹介の『以前の世界との微妙な違いが気になる』という話。

 これをはっきりと口にしたことで、行動しようという覚悟を決められた。

 


 

 『私』には『私』ではない記憶がある。

 

 それは平凡な男の微妙な人生。

 客観的にはそこそこ恵まれているはずだが、主観ではそれ程恵まれていない。

 タバコ無し、彼女無し、お酒は軽く嗜む程度。

 それなりに見ていたはずのアニメは徐々に追えなくなった。

 ゲームもそこそこするがソシャゲなどは期間要素を理由に手出ししない。

 昔は笑えていたインターネット老人会をじわじわと笑えなくなっていく。

 そんな珍しくもなんともない、時代に置いて行かれつつある人間の一人だ。

 

 その記憶の最後は、偶然見つけた小さな居酒屋。

 ――なら、記憶の後はどうなった?

 

 仕事は?借家は?残した私物は?

 両親は?弟は?祖父母は?友人は?

 SNS……はこの際どうでも良いか。

 

 いっそこれが転生で『俺』が明確に死んでいれば分かり易かった。

 先立つ不孝をお許し下さい、な話で済む。

 でも仮に『俺』が行方不明になっていたら?

 他にも例えば『俺』が植物状態になっていたら?

 あるいは――

 もしくは――

 

 可能性だけなら幾らでも、とまでは言えないが挙げられる。

 だが観測できない以上どれも推測に過ぎない。

 どんな推測をしようとも何もできないのだから考える意味もない。

 意味もないのだが、気になるものは気になる。

 あの後はどうなったのだろう、と。

 そんなことを考えていた時期もあったので『私』は当然気付いた。

 

 

 手掛かりは『俺』が育った土地。

 確認したい候補の一つは、記憶の最後にあった居酒屋。

 覚えている通りなら、そこで『誰か』に会ったのは来年の二月半ば。

 今年で『私』が二十歳になっているのは偶然か仕組まれたものなのか。

 どちらであっても確認して損はないだろう。

 ここまで引き延ばしたついでに、記憶にあるあの日に合わせて行きたい。

 

 

 ……長々と考えたが、やっぱりこれも言い訳かもしれない。

 もっと単純な目的がある。

 

 確認したいもう一つの候補は『俺』の家族。

 そこにはこの世界の『俺』がいるかもしれない。

 でもそこに『俺』が『いる』『いない』はあまり関係ない。

 皆ただの一般人で特に何もわからない、という可能性が高いからだ。

 そもそも今は『私』だから客観的に言えば会う意味だってない。

 けれど『私』であっても、顔を見るぐらいはしたい。

 

 記憶の最後の質問が脳裏に浮かぶ。

 

『これまでの人生に後悔はある?』

 

 ああ、あるよ。

 そうはっきりと言い切れるものができてしまった。

 

 最後に『俺』が『俺の家族』の顔を見たのはいつだったか。

 大学卒業後に会ったのは本当に数える程だったはず。

 別に不仲とかでなく、単純に帰る手間を惜しんだだけ。

 それが積もって帰らなくなった。

 そして『どうせ近くだし何かの拍子に会えるだろう』とも思っていた。

 

 今考えれば、もう少し会っておくべきだった。

 突然だったし不可抗力と言えばそうだろう。

 それでもこれは間違いなく『俺』の後悔だ。




以上で4章本編終了
進んでいそうな雰囲気を出しつつ全く進んでいません
あと同じペースでもう二回、資料情報を投稿して次の章の準備に移ります
次章は今のところ同棲コラボ回を予定


以下蛇足なので反転
社長視点で炎上に対処中の話を書こうとしましたが没にしました
内容が作風に合わないしぶっちゃけ無い方がまとまりも良かったので

ただ炎上対応の情報がちょっと不足するので軽く補足すると
全体的に法をチラつかせて相手を減らすスタイルで対処中

例としてノイト様側では『職場が合わなかった人の為に』という配信で
・辛い職場を辞めたい時の手順
・ブラック企業告発で便利な証拠の集め方
・相談先の弁護士のお勧めの探し方
など法律関係の話をして遠回しな圧かけ

またVの前世云々の話をする配信ではもう一人分の経歴を公開
その一人は過去に『炎上時に誇張記事に対して訴訟』という実績有り
ここから一部が「まずそう」と判断して距離を取るのを待っているところ
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